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侯爵様の悪役令嬢(自称)  作者: 杉野みそら
第十五章

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エルドとルシア

ルシアは誘うように、挑むようにエルドを翻弄する。

そんな中エルドはついに……

(……面白い)


 エルドの口元がわずかに歪む。


(これが……カルミナートの踊りか)


 理性ではなく、本能に訴えかけてくる。


 逃げるな、と。


 見ろ、と。


 感じろ、と。


 ルシアはもう一歩踏み込み、エルドの体を引き寄せる。


 音楽が激しくなる。


 距離が消える。


 視線が絡む。


 観客の誰もが息を呑んでいた。目の前で行われているのが、ただの舞ではないと分かっていたからだ。


 これは命そのものの踊りだと。


「……」


「ーーさあ」


 ルシアは囁く。


「踊りましょう?」


 その瞬間。


 エルドの中で何かが切り替わった。


「……いいだろう」


 エルドは低く答え、銀色の瞳にギラリと光が灯る。


 次の一歩で。


 主導権を奪い返し、ルシアの体をぐっと引き寄せる。


「ぁっ……!」


 ルシアは小さな声をあげた。目の前の男がようやく本気を出したことを本能で悟る。


 エルドの胸、腕、引き寄せる手……それらが全て熱く、ルシアを見つめる瞳は、逃がさないと言っているようだ。


 だがルシアは、逃げない。


 むしろーー


 口端が弧を描き、楽しそうに笑う。


「そうでなくては」


 その笑みは、どこまでも艶やかで。


 どこまでも挑戦的な目で。


 クライマックスではいつのまにか手拍子が巻き起こっていた。


 二人には二人しか見えていない。

 まるでエルドとルシアしかこの世界に存在しないかのように。


 エルドが片手でルシアを軽々と抱き上げる。ルシアはそれに応えるようにエルドの目を見つめる。

 

 姿勢は崩さず、脚元のステップはそのままに。真っ赤な薔薇はいつのまにかエルドの手に渡っていた。


 エルドはルシアの腰を力強く引きつける。

 視線はルシアから離さない。逃がさない。


「……ッ……」


 息を乱さず踊っていたルシアが、思わず小さな吐息を漏らす。


 音楽の最後にエルドはルシアを華麗に抱き上げたかと思うと、ルシアの腕を持ち上げ、ルシアはエルドを、エルドはルシアを見つめたままダンスが終わった。


 割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こる中、二人は曲が終わったあとも見つめあっていた。


 いつまでも、いつまでも……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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