38.感謝祭を楽しもう。
(ふぅ...今日が終わりさえすれば...)
明日からは感謝祭が始まる。
前に言ってたお祭りとはこの事なのだが
始まってしまえば仕事もひと段落。
繁忙期は今日でひとまず終了なのだ。
届いた荷物が山積みになって今にも崩れそう。
それを一つ一つ配達先へと届けて行く。
いつもは配達に出ないケニーも今日ばかりは
ヴィノに跨って大量の荷を祭りの運営本部へと運ぶ。
「じゃあここは任せたから。次の運び出しておいて」
「いってらっしゃいケニー」
ヴゥ...ワンワンわんっ!
力強く駆け出して大きな荷車を引っ張るヴィノ。
見た目は犬なのにさすがはライガー。
背中にケニーを乗せると猛スピードで走り去った。
「じゃあカレンは小さいのを向こうへ運んで」
「了解しましたぁ〜!」
残された俺達は黙々と作業を進める。
感謝祭の間は店を閉めるから一週間のお休みになるし
働いた分だけボーナスもくれると言うので
疲れていてもみんなヤル気に満ちていた。
パンパンッ!
「はい、これで終了。みんなお疲れ様でした」
結局全部終わったのは夜の11時。
でもボーナスに残業手当も付いてホクホクだ。
飲みに行こうと言っていた人達も
グッタリしてみんな真っ直ぐ家に帰った。
「レオ、お祭りって何をやるの〜?」
「屋台が出たり、花火が上がったりもするよ」
「はなび?」
意外にも花火を見た事がないらしく
上手く説明ができなかったから端末を開き
画像検索で探して見せてあげた。
「本物はもっと綺麗ですごい迫力なんだよ」
目をキラキラ輝かせるカレン。
明日の夜は早速お祭りに出かけようと思う。
(とりあえず今日はもう寝るかな...)
寝る前にいつもの日課である
“女神級アイドル精霊フローリア”のログをチェック。
(ああ可愛いなぁ〜癒される...)
写真と共に彼女のポエムも書かれているのだが
それもまたいい。うん。
その後カレンは最近俺達のログの中で始めた
“ウェザーの天気予報”の更新をしている。
「明日の天気は...はれっ!風は強くなくてー」
パチ...パチパチ.....
街の人達は大喜びで一気にフォロワーが増えた。
三人に一人は登録してるんじゃないかな...すごい。
歩いていてよく声をかけられたりもするし。
「終わった?じゃあ、もう寝ようか」
「うんっ!明日が楽しみだから今日は寝るー!」
めずらしくちゃんと早めに眠る彼女。
二人とも仕事で疲れていたからか
翌朝遅くまで起きることなく眠り続けた。
「おはよぅございますぅ、れお...」
「おはようぅカレン...」
寝すぎてなんだか頭が痛いし
カレンも寝ぼけた顔をしていて調子が悪そう。
お湯を沸かして少し濃いめのシビ珈琲を淹れる。
砂糖を入れなかったから苦味で一気に眼が覚めた。
「そろそろお腹が空きました〜!」
でも、もうどちらかと言えば昼食の時間なので
早めに出かけて感謝祭の屋台で食事をする事にした。
昨日の給料で何を食べようかと嬉しそうな彼女は
この後片っ端から屋台の肉料理を平らげては
サーカスを見たり乗り物に乗ったりして
始めての感謝祭を満喫するのであった。




