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沈没船 その5

海底の沈没船。


暗闇の中――


巨大な海竜がゆっくり顔を上げました。


青い鱗。


長いヒゲ。


深海みたいな目。


その体だけで船の半分ほどあります。


『……誰ダ。』


低い声が海を震わせました。


ショウタは完全に固まっています。


「む、無理無理無理……。」


サヨもピースケの後ろへ隠れました。


「でっかい……。」


しかし海竜はすぐには襲ってきません。


じっとこちらを見ています。


魔王が前へ出ました。


「王冠を届けに来た。」


海竜の目が細くなります。


『……人間ガ?』


「ニワトリもいるけどな。」


ショウタが小声でツッコみます。


海竜はピースケを見ました。


しばらく沈黙。


そして――


『……変ワッタ鳥ダ。』


「否定できない。」


そのとき。


沈没船が激しく揺れました。


ドゴォン!!


外から海喰らいの触手が叩きつけられたのです。


海竜が低く唸ります。


『……来タカ。』


ベルフェルが顔をしかめました。


「この船を狙っているのか。」


海竜は静かにうなずきます。


『コノ王冠ニ宿ル力ヲ欲シテイル。』


サヨが王冠を見つめました。


青い宝石が静かに光っています。


ショウタが震える声で聞きます。


「そんなヤバい物なの?」


海竜は答えました。


『深海ノ流レヲ鎮メル王冠ダ。』


全員が止まります。


『コレガ失ワレテカラ、海ハ荒レ始メタ。』


魔王が腕を組みました。


「なるほど。」


クロノワールも目を細めます。


「だから霧喰らいが現れたのか。」


海竜はゆっくりうなずきました。


『船長ハ最後マデ王冠ヲ守ロウトシタ。』


外ではまだ戦いの音。


ドォォン!!


海喰らいが暴れています。


サヨがぎゅっと拳を握りました。


「届けなきゃ。」


ピースケも静かにうなずきます。


「ええ。」


しかし。


その瞬間――


海喰らいの巨大な触手が船体を貫きました。


バゴォォン!!


海水が一気に流れ込みます。


ショウタ絶叫。


「沈む沈む沈むぅぅ!!」


「もともと沈んでる。」


ベルフェルが冷静にツッコみました。


海竜が怒りの声を上げます。


『無礼者メ!!』


ゴォォォ!!


海竜の口から青い光。


次の瞬間。


超高圧の水流が放たれました。


ズガァァァァン!!


触手が吹き飛びます。


ショウタが口を開けました。


「ビーム出した!?」


海竜は王冠を見つめます。


『……時間ガナイ。』


沈没船は崩れ始めていました。


『船長ニ届けヨ。』


サヨが王冠を抱えます。


ずしり。


見た目より重い。


そのとき。


海竜がピースケを見ました。


『大キナ鳥ヨ。』


「はい。」


『アノ男ヲ……終ワラセテヤッテクレ。』


静かな声でした。


何百年も続いた未練。


苦しみ。


孤独。


全部終わらせてほしい――


そんな願いのようでした。


ピースケはゆっくりうなずきます。


「お任せください。」


その瞬間。


ゴゴゴゴゴ!!


沈没船が完全崩壊を始めました。


柱が折れ、


壁が崩れ、


海水が渦を巻きます。


ショウタがパニック。


「また脱出イベントぉぉぉ!!」


ベルフェルが叫びます。


「走れ!」


「泳げだろ今回は!!」


ピースケたちは王冠を抱え、


崩壊する沈没船から全力で脱出を始めました。


その背後で――


海竜は静かに海喰らいへ向き直ります。


青い目が光りました。


『……古キ海ノ掟ヲ忘レタカ。』


海喰らいが巨大な咆哮を上げます。


そして。


深海の怪物同士の戦いが、


ついに始まろうとしていました。

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