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魔王の財宝探し その4

ドゴォォォン!!


背後で洞窟が崩れ落ちます。


ピースケたちは全力で走っていました。


ショウタは半泣き。


「死ぬ死ぬ死ぬぅぅ!!」


サヨも必死です。


「がんばってー!!」


ベルフェルは大量のパンを抱えていました。


エリシアが叫びます。


「なぜパンを持っているんですか!?」


「職人魂だ。」


「置いてください!!」


そのとき――


ガラガラガラ!!


前方に巨大な岩が落下。


出口が完全に塞がれました。


全員急停止。


ショウタが絶望顔になります。


「終わった……。」


砂煙の向こう。


出口は岩でびっしり。


びくともしません。


洞窟はまだ揺れています。


サヨが不安そうにピースケを見ました。


「どうするの……?」


沈黙。


そのとき。


魔王が前へ出ました。


ゆっくり、


巨大な岩を見上げます。


「……久しぶりだな。」


ベルフェルが目を細めました。


「やる気か。」


魔王は肩を回します。


ゴキゴキ。


ショウタが嫌な予感。


「えっ。」


魔王の目が赤く光りました。


ゴォォォ……。


黒い魔力が周囲に渦巻きます。


風が吹き荒れ、


洞窟がさらに揺れました。


サヨが目を丸くします。


「魔王さん……。」


エリシアも真剣な顔。


「本気ですね。」


ショウタが後ずさりしました。


「なんか久々に魔王っぽい。」


魔王は拳を握ります。


「下がれ。」


全員が離れた瞬間――


ドン!!


地面が割れました。


そして。


「ぬぉぉぉぉぉぉん!!!」


超全力パンチ。


ズガァァァァァァン!!!


爆音。


巨大岩粉砕。


出口側の崖まで吹き飛びました。


外の光が差し込みます。


風が一気に流れ込んできました。


ショウタ、口が開きっぱなし。


「……。」


サヨもぽかん。


ベルフェルがうなずきます。


「やはり筋力タイプ。」


魔王は拳から煙を出しながら振り返りました。


「行くぞ。」


ショウタが叫びます。


「もっと早くやれぇぇぇ!!」


全員、大急ぎで脱出。


その直後――


ゴゴゴゴゴ……。


洞窟は完全に崩壊しました。


山全体が静かになります。


土煙の中。


みんなその場へへたり込みました。


ショウタは空を見上げています。


「生きてる……。」


サヨも笑いました。


「助かったぁ!」


ベルフェルはパンを確認。


「よし、無事だ。」


エリシアが呆れています。


「本当にパン優先ですね……。」


そのとき。


魔王は静かにノートを見つめていました。


風がページを揺らします。


ショウタが少しだけ真面目な顔で聞きました。


「……その人、どうなったんだ?」


魔王はしばらく黙っていました。


そして。


「病でな。」


空気が静かになります。


「我が魔王になる前の話だ。」


サヨは小さく押し花を見つめました。


魔王は遠くを見るような目をしています。


「強くなれば、守れると思っていた。」


風が吹きました。


「だが、間に合わなかった。」


ショウタも何も言えません。


すると。


ピースケが静かに隣へ座りました。


「……でも。」


魔王が顔を上げます。


ピースケは穏やかに笑いました。


「その人との思い出は、ちゃんと残っていましたねぇ。」


魔王は少し驚いたように瞬きをします。


ノート。


押し花。


大切に隠された記憶。


長い沈黙のあと――


魔王は小さく笑いました。


「……そうだな。」


その笑顔は、


昔の恐ろしい魔王ではなく、


どこか普通の旅人みたいでした。


そのとき。


ぐぅぅぅぅ。


大きなお腹の音。


全員が振り向きます。


ショウタでした。


「……腹減った。」


空気が一気にゆるみます。


サヨが吹き出しました。


「さっきまで感動してたのに!」


ベルフェルは即答。


「パンがある。」


「お前マジで頼もしいな。」


みんなで崩れた山を見ながら、


少し遅い昼ごはんを食べ始めました。


夕日が山を赤く染めています。


財宝の多くは埋もれてしまった。


でも――


魔王はもう、少しも残念そうではありませんでした。


本当に大事だったものは、


ちゃんと手元へ戻ってきたのですから。

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