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地震 その1

ピースケが馬小屋で足を休めているときのことでした。


コト……コト……。


最初は、ほんの小さな縦揺れ。


「……おや?」


次の瞬間――


ドンッ!!


地面が強く突き上げられました。


「地震だ!」


ピースケはとっさに立ち上がり、足の痛みも忘れて外へ飛び出します。


その直後――


グラグラグラ……!!


今度は大きな横揺れ。


馬小屋の柱がきしみ、干してあった道具がガタガタと音を立てて落ちていきます。


「これは……長いですねぇ……!」


約30秒ほど続く揺れ。


ピースケは必死にバランスを取りながら、広場のほうを見ました。


「みなさん、外へ!」


声を張り上げます。


村人たちも家から飛び出してきました。


「大丈夫か!?」 「こっちだ、開けたところへ!」


ショウタが走ってきます。


「ピースケ!!無事か!?」


「ええ、なんとか!」


サヨもその後ろから駆けてきました。


「怖かった……!」


やがて――


ピタッ。


揺れが止まりました。


静寂。


誰もが、その場で息をのんでいます。


ショウタがゆっくり言いました。


「……止まったか……。」


ピースケは周囲を見渡します。


家は少し傾いたものもありますが、大きく崩れた様子はありません。


「……被害は少なそうですねぇ。」


しかし、そのとき――


ゴゴゴ……。


地面の奥から、低い音が響きました。


「……まだ何かありますねぇ。」


ショウタが顔をしかめます。


「余震ってやつか?」


ピースケは首を横に振りました。


「いえ……これは少し違います。」


地面の一部が、ゆっくりと盛り上がっていきます。


土が割れ、石が押し上げられ――


やがて、そこから現れたのは。


巨大な“岩の腕”でした。


「……え?」


ショウタが固まります。


その腕に続いて、ゆっくりと体が姿を現します。


見覚えのある存在。


以前、地中で出会った――


岩の精です。


しかし、その様子は明らかにおかしい。


体の一部が崩れ、ひびが入り、不安定に揺れています。


「……グ……ラ……グラ……。」


苦しそうな声。


ピースケの目が細くなります。


「これは……地震と関係がありそうですねぇ。」


岩の精はゆっくり顔を上げました。


「……ササエ……ユルム……。」


ショウタが聞き返します。


「ささえ?」


ピースケが説明します。


「おそらく、大地を安定させる“何か”が弱っているのでしょう。」


そのとき――


ドンッ!!


再び、軽い揺れ。


「うわっ!?」


サヨが思わずしゃがみ込みます。


岩の精が苦しそうに叫びました。


「……コノママ……ワレル……!」


ピースケは静かに言います。


「……これは放っておけませんねぇ。」


ショウタがうなずきます。


「また地下か?」


「ええ、行くしかなさそうです。」


サヨもぎゅっと拳を握りました。


「わたしも行く!」


ピースケは少しだけ驚きましたが、やさしくうなずきます。


「では、気をつけて行きましょう。」


地面にできた裂け目。


その奥へと続く暗い道。


不安定に揺れる大地。


ピースケたちは、ゆっくりと中へ進んでいきました。


足元はぐらつき、空気は重く――


どこかで、また何かが崩れる音が響いています。


ショウタが小さくつぶやきました。


「……今回、結構やばくね?」


ピースケは落ち着いた声で答えます。


「ええ、ですが――」


少しだけ笑いました。


「今までも、なんとかなってきましたからねぇ。」


その言葉を頼りに、三人はさらに奥へ。


揺れる大地の中心へと向かっていきます。


村の足元で起きている“異変”の正体に、たどり着くために――。

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