表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/237

賢者の埋蔵金 その4

笑顔のまま動かない冒険者たち。


金貨を抱えたまま。


夢を叶えた姿のまま。


でも、


目だけが空っぽでした。


ショウタ、後退。


「やだやだやだ!!」


サヨも青ざめます。


「願いに閉じ込められてる……」


市場の扉たちが、


さらに近づいてきました。


ギギギ……。


『選んでください』


『欲しいものを』


『永遠に』


声が重なります。


頭の中へ直接響く。


白もふが耳を押さえます。


『おやついっぱいなのに、こわい』


夜の龍も低くうなりました。


『優シイ罠ダ』


クロックの声が静かに響きます。


『賢者エルドランは、“満たされ続ける恐怖”を残した』


ショウタが震えます。


「満たされるのに怖いって何!?」


そのとき。


ピースケが、


自分の扉をじっと見ていました。


誰もいない食卓。


静かな部屋。


ずっと待ち続けているみたいな景色。


サヨがそっと聞きます。


「……入りたい?」


ピースケは少し考えて、


のんびり答えました。


「うーん。」


「ごはんは誰かと食べたいですねぇ。」


静寂。


その瞬間――


木の扉が、


ピシッとヒビ割れました。


クロックが目を見開きます。


『……試練を否定した?』


ショウタもぽかん。


「え?」


ピースケは不思議そう。


「だって、一人だとさみしいですからねぇ。」


風が吹きました。


やさしい風。


すると。


他の扉たちも、


少しずつ揺らぎ始めます。


白もふが自分の扉を見ます。


無限おやつ。


でも、


誰もいない。


白もふ、しょんぼり。


『……ひとりでもふもふしても、つまんない』


パキッ。


白もふの扉にヒビ。


夜の龍も、


“恐れられない夜”の扉を見つめます。


そこには確かに平和な夜がありました。


でも。


星を見る人が誰もいない。


夜の龍は静かに言いました。


『……見上ゲル者ガイナイト、夜ハ寂シイ』


パキン。


扉が崩れます。


巨大猫の扉。


永遠に静かな昼寝。


でも、


誰も隣にいない。


巨大猫はぼそっと。


『……それはちょっと退屈』


バリン。


扉消滅。


ショウタが周囲を見回します。


「え、これ……」


サヨが気づきました。


「“欲しいもの”だけじゃダメなんだ」


クロックは、


初めて少し笑いました。


『そう。』


『賢者エルドランが残した本当の問いは――』


市場全体が揺れます。


『“誰と生きたいか”』


その瞬間。


無数の扉が、


一斉に砕け散りました。


ガシャァァァン!!


幻の市場が崩壊します。


空が割れ、


景色が霧へ戻っていく。


ショウタが叫びます。


「落ちるぅぅぅ!!」


しかし。


ピースケの風が、


みんなをふわっと包みました。


次の瞬間――


全員、


元の霧の谷へ戻っていました。


時計塔の前。


静かな風。


ショウタは地面にへたり込みます。


「生きてる……」


サヨは周囲を見回しました。


「試練、終わったの?」


そのとき。


ゴゴゴゴゴ……。


時計塔の巨大な扉が、


ゆっくり開き始めます。


クロックが静かに言いました。


『おめでとうございます。』


『賢者は、あなたたちを“次の部屋”へ招待しました。』


静寂。


ショウタ、顔面蒼白。


「……次?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ