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夜空 その1

その夜――


地上では、


みんなが空を見上げていました。


村の人たち。


森の動物たち。


海の漁師たち。


誰も見たことがないほど、


星がきれいだったのです。


「あれ見ろ!」


「星が流れてる!」


「空が歌ってるみたい……」


地上の風が、


やさしく吹きます。


その風は、


天海までつながっていました。


天海では、


夜の龍が静かに空を泳いでいます。


以前の恐ろしい闇ではありません。


星を抱いた、


大きな夜空そのもの。


クジラたちも嬉しそうに歌っています。


ルゥゥゥゥン……。


ショウタはその景色を見ながら、


ぽつり。


「……なんか、ようやく平和?」


サヨが笑います。


「毎回それ言ってる気がする。」


黒いヒヨコは、


夜の龍の頭の上でぴょんぴょん。


『たかいですぅ!』


夜の龍も、


少しだけ笑ったように見えました。


『……賑ヤカダ』


ピースケはのんびり羽を整えています。


「夜も悪くないですねぇ。」


そのとき――


元管理者の少年が、


そっと空を見上げました。


『……きれいだ』


少女――現在の管理者が隣へ来ます。


『初めて?』


少年は小さくうなずきました。


『管理対象としてしか見たことがなかった』


静寂。


サヨがやさしく言います。


「じゃあ、これからいっぱい見ればいいよ。」


少年は少し困った顔。


『……休み方が分からない』


ショウタが吹き出します。


「重症だな!?」


すると。


ピースケが当然のように言いました。


「まずは朝ごはんですねぇ。」


全員ツッコミ。


「結局それぇぇ!!」


でも。


夜の龍が小さく聞きました。


『……朝?』


ピースケはうなずきます。


「夜の次は朝ですからねぇ。」


その瞬間。


天海の遠くで、


淡い光が生まれ始めました。


夜の終わり。


朝の始まり。


夜の龍は、


その光をじっと見つめています。


『……怖クナイ』


サヨが微笑みます。


「うん。夜があるから朝もきれいなんだよ。」


風が吹きました。


夜と朝の境目を、


やさしくなでる風。


そのとき――


天海のずっと奥。


誰も気づかないほど遠くで、


小さな“扉”が、


カチッと開きました。


静寂。


その隙間から、


ひょこっと白い何かが顔を出します。


丸い。


ふわふわ。


そして――


『……おなかすいた』


ショウタ、即反応。


「また増えるぅぅぅ!?!?」

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