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雲竜 その4

『……見ツケタ』


その声が響いた瞬間――


空の色が変わりました。


青空がゆっくり暗くなり、


雲が逆流し始めます。


ゴォォォォ……。


ショウタは耳を押さえました。


「頭の中に響くぅぅ!!」


サヨも苦しそうです。


「あれ……声じゃない……」


雲竜が低く言います。


『“空喰い”は認識する。』


『見られた瞬間、存在を記録される。』


ショウタが青ざめました。


「説明が怖い!!」


そのとき――


黒い穴の奥の巨大な目が、


さらに開きます。


ギギギギ……。


空間そのものが裂けていく。


そして。


ピースケの羽の先が、


ふっと消えました。


静寂。


ショウタが固まります。


「……え?」


羽の一部が、


“切れた”んじゃない。


“最初からなかった”みたいに消えている。


サヨが叫びました。


「ピースケ!!」


ピースケは少し驚いた顔。


「おやぁ……?」


雲竜が吠えます。


『見るな!!』


しかしもう遅い。


空喰いの目が、


完全にピースケへ固定されていました。


『風ト同調スル存在……』


『解析開始』


ショウタ絶叫。


「分析されてるぅぅぅ!!」


その瞬間――


ピースケの周囲の風が乱れます。


ゴォォォ!!


空気が逆流。


風が“拒絶”を始めました。


ピースケの飛行が揺らぎます。


「うわぁぁ、風向きが変ですねぇ!」


サヨが息をのみます。


「空気との繋がりを切ろうとしてる……!」


山神が前へ出ました。


ズドォォン!!


巨大な角が赤く輝きます。


『空を喰うならば。』


『山を越えてみろ。』


次の瞬間――


山神が空へ拳を叩き込みました。


ドゴォォォォン!!


空そのものが揺れる。


紅葉色の巨大な波動が、


黒い穴へ直撃しました。


ショウタが叫びます。


「山神パンチ空まで届くの!?」


しかし。


空喰いは止まりません。


黒い穴がゆっくり広がり、


山神の力すら飲み込んでいきます。


『無意味』


空が削れました。


山神の角の先端が、


少しだけ消えます。


サヨが青ざめました。


「山神さままで……!」


山神は低くうなります。


でも、


退きません。


『……厄介だな。』


そのとき――


ミニピースケ軍団が、


空中へ飛び出しました。


『本体を守りますぅ!』


『いっぱいいますぅ!』


『たぶん何とかなりますぅ!』


ショウタが叫びます。


「雑な作戦!!」


ミニピースケたちは、


空喰いの前へ一斉突撃。


しかし――


触れた瞬間、


『ぴゅっ』


一羽消滅。


静寂。


ショウタ、顔面蒼白。


「軽っ!?!?」


サヨも息をのみます。


でも。


消える瞬間、


ミニピースケは笑っていました。


『風、ありましたぅ!』


その言葉に、


ピースケの目が大きく開きます。


静寂。


風が止まりました。


ピースケは空を見上げます。


黒い穴。


巨大な目。


消えていったミニピースケ。


そして、


小さくつぶやきました。


「……そういうことですかぁ。」


ショウタが聞き返します。


「何が!?」


ピースケは静かに羽を広げます。


消えかけていた羽が、


風で形を取り戻していく。


ふわっ。


雲竜が目を見開きました。


『風で……存在を補完している!?』


ピースケはうなずきます。


「空喰いさんは、“形”を消すんですねぇ。」


「でも。」


やさしい風が吹きます。


「風って、形がないんですよぉ。」


その瞬間――


ピースケの体が、


風と一体化するように揺らぎ始めたのでした。

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