表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/229

紅葉狩り その15

静寂のあと――


山に笑い声が広がりました。


サヨは涙をぬぐいながら笑っています。


「もうー!」


ショウタもその場に座り込みました。


「感動返してくれよぉ……。」


亡山鬼は少し困ったように頭をかきます。


巨大なので、


ゴリゴリ山肌が削れました。


「スケール考えて!」


でも。


さっきまでの恐ろしい呪いはもうありません。


青白い炎も穏やかでした。


山神は静かに鬼を見つめます。


『……戻ったか。』


亡山鬼はゆっくりうなずきました。


『長かった。』


風が吹きます。


紅葉が舞いました。


『ずっと夢を見てたみたいだ。』


骸骨騎士たちも剣を下ろしています。


青い火が、


やさしく揺れていました。


そのとき――


ベルフェルが前へ出ます。


当然のように。


『第二弾』


ショウタが振り向きます。


「まだあるの!?」


ベルフェルは巨大な包みを開きました。


湯気。


甘い香り。


栗。


焼き芋。


はちみつ。


『超巨大・秋まるごとパン』


「ネーミング豪快ぃぃ!!」


亡山鬼の目が輝きました。


『……食っていいのか?』


ベルフェル、真顔。


「食え。」


次の瞬間――


ぱぁぁぁぁ……。


亡山鬼の顔が、


ものすごく幸せそうになりました。


ショウタがびっくり。


「鬼ってそんな顔するんだ。」


巨大鬼はパンを受け取り、


そーっと食べます。


もぐもぐ。


山がちょっと揺れます。


でも今度は怖くありません。


亡山鬼は涙目でした。


『うまい……。』


サヨが笑います。


「よかったね。」


山神も小さくうなずきました。


そのとき――


空から、


一枚の紅葉が落ちてきます。


真っ赤な葉。


亡山鬼の手の上に、


ふわりと乗りました。


鬼はじっと見つめています。


『……きれいだ。』


静かな声。


ピースケは穏やかに笑いました。


「秋、好きになれそうですかぁ?」


亡山鬼は少し考えて――


ゆっくりうなずきます。


『……ああ。』


その瞬間。


山中の木々がざわめきました。


サワサワサワ……。


すると、


黒くなっていた葉が、


全部元の色へ戻っていきます。


赤。


黄色。


金色。


山が完全に蘇ったのです。


タヌキたち大歓声。


「やったぁぁ!!」


骸骨兵たちもカタカタ拍手。


骨なので音が軽い。


ショウタが笑いました。


「平和だなぁ……。」


その夜。


山の広場では、


大きな宴が開かれました。


焚き火。


焼き栗。


きのこ汁。


ベルフェルの大量パン。


山の動物たちも集まっています。


亡山鬼は少し離れた場所に座っていました。


巨大すぎて近いと危険だからです。


ショウタが鍋を食べながら言います。


「結局、今回の敵も孤独だったな。」


サヨは火を見つめながらうなずきました。


「うん。」


ピースケは静かに空を見上げます。


星空。


澄んだ秋の夜です。


「寒い夜ほど、あったかいものが大事なんですねぇ。」


そのとき。


亡山鬼が遠くから小さく手を振りました。


……小さく。


でも巨大。


突風発生。


ショウタ吹っ飛びました。


「うわぁぁぁ!!」


みんな笑います。


紅葉が夜空へ舞い上がり、


秋の山は、


ようやく穏やかな眠りについたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ