ピースケ登場
むかしむかし、ある山あいの村に、ピースケという大きなニワトリが住んでいました。体長は2メートルをゆうに超える立派な名古屋コーチンのオスで、赤いトサカは朝日にきらきらと輝いていました。そして何より不思議なのは、ピースケが人間の言葉を話せることでした。
「おはようございます。今日もいい天気ですねぇ。」
毎朝、村の広場でそうあいさつすると、最初は驚いていた村人たちも、だんだんそれが当たり前になっていきました。子どもたちはピースケの背中に乗って遊び、大人たちは困ったことがあると相談に来るようになりました。
ある日、村に大きな問題が起きました。山の向こうから強い風が吹き続け、畑の作物が枯れ始めてしまったのです。誰も原因が分からず、村はしだいに元気をなくしていきました。
「これはただの風じゃありませんねぇ。」
ピースケはそう言って、山の頂上へ向かうことを決意しました。村人たちは心配しましたが、ピースケは大きく翼を広げて、力強くうなずきました。
「大丈夫。ちょっと見てきますよ。」
ピースケは山道をぐんぐん登っていきました。やがて頂上にたどり着くと、そこには風の原因がありました。古びた祠が壊れ、その中にいた風の精が怒って暴れていたのです。
「こりゃいけませんねぇ。」
ピースケはゆっくり近づき、やさしく声をかけました。
「どうしました?そんなに怒って。」
風の精は驚いて動きを止めました。こんなふうに話しかけてくるニワトリは初めてだったのです。
「祠が壊れて、居場所がなくなったんだ…!」
ピースケはうなずきました。
「なるほど。それはつらいですねぇ。でも、このままだと下の村が困ってしまいます。一緒に直しませんか?」
風の精は少し考えてから、小さくうなずきました。
ピースケは村に戻り、事情を説明しました。村人たちはすぐに協力し、祠を修理しました。すると、風はぴたりとやみ、畑にはまた穏やかな空気が戻ってきました。
「ありがとうございます、ピースケさん!」
村人たちは大喜びです。風の精も、静かに祠の中で眠りにつきました。
その日からピースケは「村を守る賢いニワトリ」として、ますます頼りにされるようになりました。
そして今日もまた、朝日を浴びながらこう言うのです。
「おはようございます。さて、今日はどんな一日になりますかねぇ。」
大きな体とやさしい心を持つピースケは、これからも村のみんなと一緒に、のんびりとした毎日を過ごしていくのでした。




