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進化と白紙の超能力者  作者: ARS
序列戦
10/24

白紙の書庫

 それは5日前のことだった。

 超能力を使えるようになった俺は、喜びのあまりに跳ね回っていた。

 物理的に…。

 まぁ、そんな奇怪な行動を取った俺のことは放っておいて、事件は起きた。

 まず、超能力を使った。

 防音の整った2LDKの寮の中とはいえでも迷惑にならないように小さい能力を使った。

 想像通り、小さな火が起きた。

 その時、僅かな違和感があった。

 俺は何だろうと思い、大きさを変えたり温度を少し変えたりとしていたがサッパリ分からない。

 気の所為だと思い少し強めの炎(・)を出そうとした。


「あれ?

 出てこないな…。」


 少し違和感を覚えつつも再び先程の様に火を出す。


「やっぱり出るよな。

 イメージとか知識を上手く擦り合わせていないからかな?」


 次はしっかりと頭の中でイメージなどを固めようとする?


「あれ?

 出てこない…知識が出てこない…。」


 俺の超能力、【可能性の原書(オリジン)】は自分の得てきた物を考察して、それを知識やイメージとして呼び起こす事が出来る能力なのである。

 その能力の核たる知識が引き出せないのだ。


「待てよ、【白紙の原書(オリジン)】発動!」


 俺の目の前に本が現れる。

 題名には白紙の書と書かれており、装飾が派手ではない。

 厚さは約7センチ弱位の厚さを誇っている。

 この本には俺の今までの経験や得た情報が書かれており、俺の主たる能力の情報はここから発生させている。


「うーん、これは出るのか…。

 この状態で使ってみるとどうなるんだ?」


 俺は本を開き炎を念じる。


「出た…。」


 先程までの火と同じ大きさだが、それと違い火の最大温度と動きの激しさが格段に上がっている。

 同じ工程でも強さの度合いがかなり違うと思い知らされる瞬間だった。

 俺は炎を維持したまま本を閉じると炎が消えた。

 それと同時に俺の頭の中にあった数々の情報が消える。


「ある意味、予想通りだな。

 にしても、扱いにくいな。

 本を出していないと近接攻撃の情報も取り出せないしな…。

 流石に片手が塞がった状態で戦うとか無理があるな。」


 俺は本を消していろいろと試し始める。

 特異能力から工程の原書(オリジン)、他にも進化の原書(オリジン)でもう少し使い勝手が良くならないかと…。

 その結果がこれだった。

 特異能力に関してはほぼ超能力と変わらないレベルで色々な能力の使用が可能だが、その代わり耐久性が無く簡単に弾かれると思う。


 工程の原書(オリジン)に関してはフルで使用可能である。

 おそらく、白紙の原書(オリジン)とは連携関係であるだけでこれ自体の工程に影響はないのだろう。


 最後に進化の原書(オリジン)は昇華や進化、拡張などとは少し違う類らしく効果はまるっきりなかった。


「これは一度大元を探った方が良いな。」


 俺はボソリと呟くとゆっくりと深呼吸をする。

 能力の熟練者は瞑想の際に自分の能力について分かるという話がある。

 俺はそれに沿って瞑想を始めた。


 ************


 確かに瞑想の際に能力が分かる人は多いがそれはより能力の親和性を高めることによって起きた副次効果である。

 しかし、もう既に神刀の能力の親和性は最高状態を維持しており、それでは分かる訳が無いのだ。

 しかし、その時丁度とある事に神刀は成功させてしまったのだ。

 彼の超能力と彼の精神世界が生み出した場所、『白紙の書庫』への入場を…。


 ************


「ここは?」


 周りには大量の本棚と申し訳程度に置かれた机と椅子、そして最後に俺の目の前に本が一冊乗っかっている立て掛けの台があった。


「ここは確か、あの時の場所じゃないか?」


 そう、ここはテロの時に俺が気を失っている時に来た場所だ。

 ここには無数の本が置いてあるのだが、不思議な事が一つあった。

 前回来た時はかなり綺麗に収納されていた筈の本がいくつか俺の足元に転がっているのだ。

 俺はなんと無く手に取り題名を見る。


『火の書』『型の書』『斬の書』『打の書』『集合の書』『奇稲田(クシナダ)劣化の書』『生成の書』『再生の書』『促進の書』『自己の書』『放出の書』『戦闘の書』『最初級の原書』


 俺はこの本を見たときに納得できた。

 これは今まで俺が使ってきた能力の知識である。

 要するに能力を使用するとその名の通り引き出されるのだ。

 おそらく今回の件に関係しているのは『最初級の原書』であろう…。

 俺はその本を手にして読み始める。

 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………


「はぁ、何の収穫も無しか…。」


 速読をしてすべて読んだが情報が載っていなかった。


「仕方ないし、他を当たってみるか。」


 俺は本棚に行き、それっぽい本を数十冊取り出す。

 三時間位経過しただろうか?

 俺は三冊ほど読破していた。

 それらすべてが基本情報しか入っておらずあまり有意義とは言えなかった。

 直後、俺の視界が真っ白に染まる。


 ************


 俺は目が覚める。

 今現在、俺の頭の中には一つの知識があった。


『白紙の書庫の使用は一日三時間半、その範囲内ならいくらでも使用可能。』


 何ともまぁ、使いにくいことだ。

 俺はその日は一つ見逃していた。

『原書』と『書』の違いと『基本情報』と『突き詰めた情報』の違い、そして白紙と進化の連携により普通より条件が緩いことに…。

 そして、俺が調べ切っていた事が世間一般の能力である『最初級』だということを…。

 それに気が付いたのはこれより四日後の事である。

 さらに調べ続けた結果、『白紙の原書』に対してかなりの勘違いをしていた。

 確かに情報を簡単に仕舞い解析するのは嘘では無い。

 それはあくまで『白紙の書庫』と呼ばれるバンクに保存するだけであり、基本共有では無い。

 代償又は媒体を使うことによりそれに合った時間と能力の分だけ共有するのである。

 それで一つ疑問が

 残った、それは前回は何を代償または媒体にしたのかだ。

 それはその時初めての能力の使用が関係する。

 更には今まで俺に渡されてきたものは充電式のものである。

 これでお分かり頂けてだろう。

 そう、今まで溜りに溜まった大量の『十六夜』が代償となり共有状態になったのだ。

 しかし、五日目にそれを試したが、大量に『十六夜』を消費して扱える気がしなかった。

 そんなこんなで、休学を過ごしたのだった。

まさか『白紙の原書(オリジン)』にこんな駄目な部分があったとは!

それと今回出てきた『原書』ですが、超能力についてでは無いので普通に(げんしょ)と読んでください。

ややこしくてすいません。

読んでいただきありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。

よかったら、感想などを下さい。


次回予告

先生に休学の時に知った情報について言う。

俺は媒体を探していろいろな物を試す。

次回『鉱石や宝石の適正検査』(仮)

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