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本当に見渡す限り砂漠だな


 昼食後、午後の鍛錬を行ってからログイン。さてこれから本格的な砂漠の探索だ。玄関でリフレ達3人と合流してから転移門で第6の街へと移動。街から東に一時間程歩いて、砂漠地帯へと突入した。


「本当に見渡す限り砂漠だな」


「これは凄いですわね」


 俺の感想にフタバが同意する。みんな外套をしっかり被り砂漠の中を歩いていると、遠くからこちらに近づいてくる気配が3つ。早速来たかと見てみると、なんと砂の中から背びれが出ている。


「あれがサンドシャークか」


「えぇそうよ。攻撃する時に飛びかかってくるからそれを迎撃すれば大丈夫」


 ネスに言われた通り待ち構えると、サンドシャークが本当に飛びかかってきた。俺達はそれぞれの獲物で迎撃し、一撃で仕留める。砂の上に血が流れるがすぐに砂に染み込んでいく。なんだか呆気ないが、それでも向こうから襲ってくる敵というのはいいな。


「解体はまた皮かな。サメ肉を食う地方もあるが、この肉は毒抜きしないと食えないし」


「背びれも取りましょう。背びれは狩猟ギルドが買取してたはずよ」


 なるほど背びれね、フカヒレかな。ネスに言われた通り背びれと皮を剥いであとは砂に埋める。ここでも土の精霊魔法大活躍だ。そうして奥へ歩いていくと、今度は地面の下から振動。気配と共に砂の下から巨大なヤツメウナギの口のようなものが飛び出した。後ろに飛んで避けるとそいつは身体をくねらせながら砂の上を這ってくる。


「サンドワームですね」


「中々大きいですわね」


 言いながらリフレは飛び上がり槍を降下して串刺しにして、フタバは身体を一文字に斬る。しばらくのたうってからサンドワームは動きを止めた。


「これがネスの鎧の素材か」


「そうね、加工すると頑丈なのよ。さすがにアダマンタイト相手だと分が悪いけど」


「そりゃそうだ」


 ネスの言葉に苦笑しながら皮を剥ぎ肉を得る。サンドワームは魔獣なのでこいつの肉も毒抜きしないといけないが、この大きさなので需要があるらしい。これも狩猟ギルドの買取案件だ。


「こう、襲ってきてくれるのはいいが、手応えが欲しいな」


「基本地面の下から襲ってくる敵ばかりだから、ソウが正面から殴り合うような敵は出てこないかしら」


「サンドアントくらいですかね」


 ネスとリフレの言葉にそんなもんかと思いつつ先へと進む。時折方位磁石を確認しつつ位置を確認し前進する。


「あータイラントタートルと遭遇しねぇかなぁ」


「タイラントタートルですの?」


「超でかい亀らしい。砂漠に出るらしいんだが、目撃情報が少ないんだって」


 フタバの疑問に答える。以前ナリンセンの言っていたレア魔獣だ。そいつと遭遇できれば楽しいファイトができるかもしれない。現状のサンドシャークとサンドワームでは中々手応えがないのだ。


「仕方ないわよ、私達の装備が整いすぎているわ」


「本当に、またヒュドラ並の敵じゃないと相手にならないかもしれませんね」


 2人の言うことも分かるんだがな。中々ままならないものだ。そう思っていると正面からでかい気配が2つ。これは地面を這っているな。どうやら砂の迷彩色をした大きな蛇だ。そいつらは俺達を前にすると上半身をあげて威嚇してきた。蛇というよりコブラだな。


「一匹はやらせろ」


「ではもう一匹はわたくしが」


 シャラシャラと威嚇の声をあげる蛇一匹の胴体をぶん殴る。顔を落としてきたその頭を今度はかち上げた。それで、蛇は動かなくなってしまう。フタバの方を見ると首と胴体がすっぱりとお別れしていた。ふむ、こんなもんか。


「さて、解体は皮かな。毒腺はあるのか?」


「毒腺はあるからそれも必要ね。頭を持っていけばいいわ」


「なるほど」


 ネスの指示通りに頭を分離させて胴体の皮を剥ぐ。蛇革ね、これも丈夫になったりするのかね。蛇革の財布は縁起がいいとか言うが。


「よし、こんなもんだな。それじゃ埋めるぞ」


「よろしくお願いします」


 再び砂に蛇の身体を埋めて処理をする。さてさて、この調子で向かってくる敵をなぎ倒していくか。そうして先へと進みながら敵を倒し、途中で食事を食べ、再び探索を行う。程々に奥に来た所で、そいつらは姿を現した。10体程の赤い1メートルほどの虫。サンドアントだ。


「ようやくか。随分奥にいるんだな」


「巣が街の近くにあったら大変でしょ」


 ネスの突っ込みにそれもそうかと思いつつこちらを威嚇してくるサンドアントに突っ込む。歯をガチガチ鳴らしながら迎撃する体勢を取るサンドアントだが、動きが鈍い。下からすくい上げるようなアッパーを繰り出すと上に吹き飛び、その横から迫ってきた奴を回し蹴りで迎撃する。その勢いのまま裏拳、当たった所に更に上から振り下ろしに回し蹴り。残った正面の敵に正面から正拳突きを放つ。それで俺の周囲の敵は片付いた。他のアリもリフレ達により既に処理済みだ。さてそれでは解体の時間だな。


「解体はどうすればいい?」


「牙と背中の殻、あとお腹の蟻酸袋ですね」


 リフレに言われた通りに顔から牙を切り取り背中の殻を剥がす。腹を裂いて蟻酸の袋を取り除いて終了だ。10匹だったので結構な量だったがまぁこんなもんか。こいつらも全部砂に埋める。ふむ、これで街に戻る頃にはいい時間かな。


「じゃあここで引き返すか」


「そうね、店に行く頃にはいい時間になるわ」


 俺の言葉に全員頷くのでこのまま街へと帰還する。帰還する道すがらもサンドワームとサンドシャークが出たのでついでに処理をして街へと帰還した頃には夕方手前になっていた。身体についた砂を払って街へと入り、そのまま狩猟ギルドへ。狩猟ギルドの受付でサンドワームの肉とサンドシャークのヒレを出すとその量に驚かれたが買取金額通りの報酬を貰った。さてそれでは『電脳遊戯倶楽部』だ。店に入るとカウンターにはやはりマリッサ。リットンは変わらず忙しいようだ。マリッサは俺達の姿を見ると手を挙げた。


「いらっしゃい。買取?」


「あぁ、早速砂漠素材だ」


 マリッサにそう告げて買取カウンターに素材を全て出す。どっさりと山積みになった素材の数に若干顔を引きつらせたマリッサが慌ててメニューを操作した。すると作業場からリットンが出てきてその素材の山を目にすると目を見開く。


「これまたとんでもない数ですね~」


「一緒に鑑定するわよ、リットンはサンドワームの皮を見て。私は他の全部を見るわ」


「了解です」


「あなた達は店内でも見ていて」


 2人で手分けして鑑定を始めたので俺達は店内をぶらぶらする。またショーケースのラインナップが変わっているな、定期的に変えているのかなこれは。そんな感じで店内をぶらぶらして15分くらいで呼ばれたのでカウンターに戻る。そこには若干疲れたマリッサがいた。


「鑑定終わったわ。全部で520万ロンね」


「そんなにしたか。それで問題ない」


「じゃあこれ」


 そう言って金の入った袋を手渡されたので受け取ってすぐインベントリへ入れる。金は丁度増えていた。それを確認しているとマリッサから注意が入る。


「あなた達ね。言っておくけど、サンドワームって、砂漠の中では結構強い部類なのよ」


「あれでか?」


「あれでよ。でないとネスの鎧みたいに高価な値段にならないわよ」


 その割にはリフレとフタバであっさり倒してしまっていたんだがな。そうか、あれで強い部類なのか。


「しかもサンドアントもあるじゃない。相当奥まで行ったんじゃないの?街まで往復できるギリギリの距離まで」


「まぁそんぐらいは進んだな」


「サンドアントもね、強いの。10匹分あったけど、それ一般的なパーティだと結構死に戻りするレベルだからね」


「あれでか?」


「あれでよ。本当にあなた達、もうヒュドラとかドラゴンとか、そういうのだけ標的にした方がいいんじゃないかしら」


 マリッサがはぁと溜息を吐くのに、俺達は苦笑するしかない。


「毎回このペースで納品されると買取相場が崩れるわよ。もうちょっとなんとかならない?」


「とは言え出てきて襲ってくるからな。こちらで制御できるものでもないし」


「ほどほどに進む程度にするとか。どうせタイラントタートルも探してるんでしょ?」


「そうなんだよ、今日は全く見つからなかった」


「そう簡単に見つかるものじゃないわよ。とにかく、なんとかしなさい。今日の買取分だけで通常の半月分くらいは在庫できたんだから」


 そんなに在庫できてしまったのか。確かにそのペースじゃ毎回買い取ってたらいつかパンクするな。ふむ、どうするべきか。


「だがまだ砂漠一回目だからな。もうちょっと探索したいぞ」


「その気持ちは分かるけどね。例えば第6の街だと商業ギルドから砂漠のオアシスまでの護衛依頼とかがあるわ。それだと報酬も貰えてほどほどに敵も出る。それを受けるとか」


「それ片道でどれくらい時間かかるものだ?」


「大体四時間くらいね、往復で受ければ時間的には丁度いいでしょ。商業ギルドから報酬が貰えて、程々に出た敵の素材はこちらで買い取る。程々にこちらは買い取れるから丁度いいわ」


「ふむ、なら次からはそうしてみるか」


「ぜひそうしてちょうだい」


 これはあれだな、鉱山ダンジョンの時と同じパターンに入ってしまっているな。狩る数を程々に制御しなければいけないとは、中々ままならないものだ。しかしマリッサにこう言われては仕方ない。この店に迷惑をかけるのも申し訳ないからな。


「じゃあ次から気をつけるよ。それじゃ」


「本当に頼んだからね」


 再度念押しされて苦笑しながら店を出る。しかしそうか、俺達は狩りすぎなのか。困ったな。


「しかし困りましたね。自由な探索が制限されると」


「わたくし達が強いのが問題になるとは思いませんでしたわ」


 リフレとフタバの言葉に思い切り頷く。しかも一回目であんな注意を受けてしまうとは。今後も同じような問題が発生してしまいそうだ。


「ま、次からはマリッサの言っていたオアシスの護衛依頼をやってみればいい」


「そうね。それで程々で済むんだったらそれをしながら砂漠を探索してみればいいわ」


 そうするしかないよな、本当に。それでダメならもう、次の街へ進んでしまうか。でもそうなるとタイラントタートルは諦めないといけないんだよなぁ。

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