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やはり潜らせる事自体が問題になるか……


 昼食を食べ、午後の鍛錬をしてからログイン。早速狩猟ギルドにロックワームとロックスネークの肉を納品する。大量納品だったがギルドの人達は喜んでいたので良かった。これから夕方頃まで自由時間なのだが俺には一応やる事がある。本拠地で拠点の運営をしている経営陣を一人捕まえ、今後の事を相談する。


「なぁ、今後門下生が鉱山ダンジョンに潜る場合、午前の俺達のように大量にアイアンゴーレムを処分する事になるんだが、何か良い解決策はないかな」


「そうですね……その方達の本来の目的がミスリルや魔鋼ゴーレムであるならば、鉱山ダンジョンに潜らせないようにしてこちらで在庫を確保しておくのが良いかと存じます」


「やはり潜らせる事自体が問題になるか……」


「はい。門下生が潜る度に大量のアイアンゴーレムが手に入るのであれば、結局それを捌く苦労が発生しますので」


 うーむ、しかしダンジョンに潜るなと通達するのもどうなんだろうか、と考える。ダンジョンは一度は経験しておくべきだと思うし、鉱山ダンジョンは手頃だ。罠も単純だし。


「何か今後も継続的にアイアンゴーレムを捌く方法を確立できないものか」


「そうですね、やはり商人に捌かせるのが一番良いかと。宗吾様達ほどの一度の大量納品でなければ、ある程度は可能かと思います」


「分かった。その線での流通ルートを確保しておいてくれると助かる」


「承知いたしました」


 その後の事は経営陣にお任せする。正直俺達では捌ける手立てがない、ここは丸投げしてしまおう。後はよしなにお願いします、経営陣さん。


 しかしダンジョンアタックでこんな問題が発生するとはな。現実は厳しい。ゲームの世界だけれど。少なくとも俺達はもう、鉱山ダンジョンに潜らないようにしなければいけないな。よし、次の街へ向かおう。俺はそう決意するとリフレ達3人に告げた。


「今から第3に行って駅馬車で第4の街に移動しよう。それから転移門を使ってすぐ戻ってくれば戦争に間に合うだろう」


「そうですね、それで大丈夫だと思います」


 俺の言葉にリフレが同意して、早速転移門で第3の街へ、そこから第4行きの駅馬車にすぐ乗って移動する。駅馬車での移動中は本当に暇なので、再びリフレとネスによるフタバへの魔法の講義だ。俺も一応聞いておく。メインは元素魔法と呪法魔法なので俺には使えないがな。そうして第4の街ティトゥリに到着。すぐさま転移門でドゥヴァリエへと戻る。これでフタバも第4への道開通だ。さて、少し遅いが昼食を食べて、再び本拠地へと戻る。本拠地では既に多くの門下生が待機しており、各々が鍛錬をしていた。よしここは俺達も鍛錬だ。


「それで、何の鍛錬をするの?」


「魔法だな。普段使ってない魔法を練習しておこう」


 そうして始まる魔法の鍛錬。俺は精霊魔法しか使えないが、フタバはリフレに元素魔法を教えてもらっている。そうして俺は、ネスに精霊魔法を教えてもらう。今覚えたいのは風の精霊魔法だ。


「いい、こうよ『風よ!』」


 そう言ってネスはその場で一度ジャンプしてから風の精霊魔法を行使し、再びその場でジャンプする。おぉ、二段ジャンプ!これは戦略の幅が広がるな。早速同じ事を試す。


「『風よ!』」


 一度目は足場を作れずゆっくりと下降する事になった。ふむ、何がいけなかったのか。


「タイミングとイメージよ。上昇中にもう一度行使するの。あとは足場が自然とあると意識する。何度も繰り返せば使えるようになるわ」


「わかった、タイミングとイメージだな」


 そうして何度か練習し、六回目の行使。ジャンプして、その場に足場がある!


「『風よ!』」


 トン、と空中に足場がついてもう一度ジャンプできた。できたじゃん!!


「やっぱり熟練度の上昇率が高いわね、ソウは。その刺青のお陰ね」


「そうなんだろうな、刺青様様だ」


 顔の大きな刺青効果を実感する。これは他にも色々試してみたくなるよな。


「後は実用性が高いのは水上歩行ね。水の上を歩けるようになるわ」


「それも便利だよな。でもこの辺水場がないんだよなぁ」


「第4の湿地帯で練習しましょ。地面がぬかるんでいるから水上歩行の練習に使えるわ」


「なるほど、そういう所でも利用できるのか」


 また一つ第4でやる事が増えたな。ポイズントードにジャイアントトード、水上歩行の練習と。夢が広がるな。今はとりあえず二段ジャンプの練習をひたすらしよう。そうして精霊魔法の練習をしていると、やっとそいつらは来た。100名程の集団、今回の相手の【白銀騎士団】だ。全員が大きな盾を持っている。ラウンドシールドというやつかな。それはいい、それはいいんだが。こいつらの鎧めっちゃキラッキラしてる。【キングスロード】が金色だったらこいつらは銀色だ。やはり白銀だからそれを意識しているんだろうか。目に眩しい。その中から一人、代表と思われるやはり妙に顔の整った優男が俺の目の前にやってくる。


「ギルド【白銀騎士団】の団長、アルテウスだ。よろしく頼む」


「【九堂武術道場】のソウです。よろしくお願いします」


 お、今回はまともな受け答えできる人だ。助かる。髪銀色だけど。手を差し出してきたので握手をしてから話を続ける。


「それでは早速だが、ギルドバトルといこうじゃないか。案内を頼む」


「えぇ、こちらです」


 そうしてリットンとナリンセン、俺達道場のメンバーでギルドバトル会場へと向かう。場所は前回と同じだ。同じように相手の集団と距離を取り戦争の準備をする。中央でギルドマスター同士相対して条件を詰める。


「条件はスレの通り、開始は3分後で」


「了解した。必ず勝利しよう」


 こうしてお互い陣地へと戻り、準備を行う。さぁ、そろそろ戦争の開始だ。


「あの、次期師範。なぜ今回はあなたが一番先頭なんでしょうか」


「一番前に出たいから」


 師範代からの問いかけに正直に答える。最後尾だと敵の相手ができないんだからしょうがないじゃん!そうしていつもの号令をかけて戦意を高揚させ、カウント0を待つ。そしてついに、その時が来た。


「総員、突撃いぃぃぃぃっ!!」


『おおおおおおおおおおっ!!』


 号令と共に全員で駆け抜ける。相手は陣形を整えこちらを迎え撃つ形だ。俺達の先頭は間違いなく俺!いける!その時相手の先頭から魔法が飛んでくる。


「《ファイヤーボール》!」


「《ライトニング》!」


 なるほど、直線的な魔法を使用してきたか。【キングスロード】のように上空に打ち出すような魔法では俺達が駆け抜けて着弾するという間抜けな事になってしまうからな。しかしその魔法も見えている!直線的だから横に避けながら前へと突っ込む。すると入れ替わりで大盾を持った集団が盾を構えてアクティブスキルを発動した。


「《フォートレス》!!」


 オートカウンターじゃなくてフォートレス。カウンター狙いでは頭を潰されると分かったか。大盾が魔力により巨大になったように見える。完全防御主体のスキルか。しかしな、盾が巨大になった所で意味がないんだよ!


「壁なんざ通用するかぁっ!!」


 怒号と共に浸透勁を使って拳をぶち当てる。当たった男は大きく吹っ飛んだ。その横で同じように盾を構えている男達も纏めて蹴り飛ばし、殴りつける。他の師範代達も正面から盾にぶつかりその盾に槍を突き立てたり切り裂いたりしていた。門下生はともかく、師範代ならそれくらいできる。九堂武術道場を舐めるなよ。俺はそのまま正面突破を狙い真っ向から突っ込む。中央に風穴を開けて周囲の敵を殴り蹴り飛ばしていくが、なんか、数が多い!!


「ソウだ!囲め!」


「こいつをやれば俺達の勝ちだ!!」


 そうだ、俺をやればお前達の勝ちだ!しかし、しかしだ!周囲に集まりすぎて前に進めない!!


「俺の前を塞ぐんじゃねぇっ!!」


 怒号と共に全方位に全力の気当たりをぶつけ、動きを止めた周囲の奴らを始末していく。敵陣ど真ん中で大暴れするが、それでも周囲から次から次に敵が突っ込んでくる。ちくしょう!前に進めない!俺がそんな風に攻めあぐねていると疾風と共に敵の首が斬り飛ばされ、槍で貫かれ、袈裟斬りにされていく。


「ちょっとソウ!単騎で突っ込みすぎよ!!」


「もうちょっと抑えて下さい!!」


「宗吾さん、落ち着いてくださいまし!!」


 頼れる仲間、ネスとリフレ、フタバだ。おぉ来てくれたか!


「大将首が欲しいんだよ!でも前に進めない!!」


「気持ちは分かりますけど落ち着いて下さい師範代!」


「おぉガントも来たか!イロハッチも!!」


「周囲を殲滅しながら前に進みましょう!!」


 イロハッチの言葉に納得しつつも、それでも俺は大将首が欲しいんだ!でも内弟子達も来たからなんとかなる!うん、内弟子?


「おい、シュンとメープリーはどうした?」


「あいつらなら別行動です!」


 周囲の敵を殲滅しながら少しずつ前へと進む。それにしても次から次に前を塞ぎやがって!しかし別行動か、と思い至った所でまさか、と背筋に戦慄が走る。


「おい!シュンとメープリー絶対大将首狙ってるぞ!食い止めろ!」


「仲間の行動食い止めてどうするんですか!?」


 イロハッチの突っ込みももっともだが、大将首は俺が欲しいんだよ!!横取りされたくない!!そんな事思いながらひたすら敵を殲滅しつつ前へと進むが、とうとうその声が響いてきた。


「敵大将、九堂武術道場のメープリーが討ち取ったり!!」


《ギルドマスターの敗北により、勝敗が決しました。勝者【九堂武術道場】》


 メープリー!!やっぱりやりやがったなメープリー!!ちくしょう、こうなるんじゃないかと思ったよ!!思わずその場にがっくり項垂れていると周囲の敵がリスポーン地点へ帰っていく。お疲れ様でした。そうして俺の前にシュンとメープリーがやってきた。


「敵大将はひたすら盾で守りに入ってましたが、浸透勁で腕ごとへし折ってやりました」


「師範代が中央で敵を引きつけてくれたお陰でうまくやれました」


「お、おう……。お疲れ様2人とも。お前ら、勝ち鬨だ!!」


『エイ、エイ、オーッ!!』


 こうして第二戦も終了した。今回も俺は大将首を取れなかった。ちくしょう。そんな俺達にリットンとナリンセンがやってくる。


「いや~見てましたよ。ソウさん無茶苦茶やりますね」


「ん、上空からの視点がとんでもない事になっている」


「ありがとう。早速動画見せてくれ」


 そうして提供された横視点は俺が単騎で真っ向から敵陣に突っ込んでいく所が映し出されている。そこからはもう集団が我も我もと次々と突っ込んでいく所が。上空からの視点はさらにわかりやすく、敵陣ど真ん中で俺が大立ち回りを繰り広げている所がよく分かる。あ、やっぱりシュンとメープリー別働隊引き連れて側面から突っ込んでやがったな!ちくしょうこいつら!悔しさを覚えながら今回も結果と共に動画を添付して投稿する。よし、それでは本拠地へと戻るか。


「それでは本拠地へと戻る!師範代は損害報告を頼む」


 帰りの道すがら損害報告を受けるが今回は完全に損害はなし。というか俺が中央で敵を引きつけていたせいで敵がそっちに集中してみんな余裕で敵を斬り殺していたらしい。なんということだ。


「いや~さすがは次期師範!」


「大将がこれなら我々も安心して戦えるというもの!」


 また楽しそうに師範代達が言っている。ちくしょう俺を囮に使いやがって。そうして本拠地へ戻ると居残り組とマリッサ、ベルカスとシャマールが俺達を待っていた。


「それでは戦勝の宴を。宗吾様、よろしくおねがいします」


「うむ、それでは。今回も勝利だ、乾杯!」


『乾杯!』


 宴が始まるとマリッサ達がやってくる。


「勝利おめでとう。二戦目も順調ね」


「あぁそうだな、今回も結果的に圧勝だ。次の対戦相手が来るかどうかわからん」


「ま、それもいいんじゃないかしら。当初の目的の相場は元に戻るわよ」


 マリッサの言う通り当初の目的は市場の健全化だ。それが達成できれば問題ないと言えば問題ない。しかしなぁ。


「俺は大将首が欲しいんだ……」


「戦国武将みたいな事言ってますね」


 俺の呟きにシャマールが突っ込みを入れる。その表現は的確だ。戦国集団だし。酒を飲みつつ飯を食っているとやはりスレを観察していたナリンセンから声をかけられた。


「ん、相変わらず結果発表と共にスレが大騒ぎ」


「対戦相手は来そうか?」


「今回の結果を見る限り難しそう」


 そう言ってウィンドウを可視化させて見せてくる内容は『オートカウンターどころかフォートレスも効いてないじゃん』『ソウだけ無双ゲーやっとらんか』『全身鎧が切り裂かれるとか悪夢かよ』といった書き込みの数々。『白銀騎士団の守りでも無理ならどこならいけるんだ』『防御主体で耐えるのは無理だと思う』と弱気なコメントの数々に諦めが入る。


「いつまで受け付けるか締め切り作るかな」


「それがいいわね。永遠に挑戦受け付けるのも手間でしょうし」


「そうだな、明日から休日入るから休み終わるまでかな」


「そうしましょう」


 受付締め切りの投稿を行ってこれ以降のアダマンタイト奪還戦は行わない事にする。マリッサの言う通りいつまでもこの事に縛られるのも無駄だしな。みんなも先に進みたいだろうし。そうしてこの日はログアウト時間まで戦勝の宴が続くのだった。

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― 新着の感想 ―
首級あげるならやっぱ大将首が1番戦果が高いからね 大将討ち取ってしまえば後は烏合の衆でしかないから
[気になる点] 既に第七の街まで行ったことがあるのに何で第四の街に行くのに駅馬車で行くんだ?
[気になる点] ハーレムタグを追加してください
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