男Ωの日
4月4日(水)となりました。笑
勝手に男Ωの日と決め、白指のSSを投稿します。
妊娠が分かった日を、もうちょっと細かく書いています。
なので、妊娠表現が苦手―と言う方はスルーお願いします。
今回はR指定なし?なので、安心して楽しんでいただけたらと思います。
華やかな花の香りの風が吹く心地よい季節。
将獅子様と伴侶になり約半年が過ぎ、
奥のしきたりにも慣れ始めた今日この頃。
美しい黒檀の柱が螺鈿で飾られた広間で、
いつぞやと同じように反物を広げていた。
将獅子様からの男オメガの節句の祝いとして
頂いた、超一級品の贅沢な品物だ。
もちろんマツや他の侍女も同席している。
いつにもまして鬼気迫る勢いのマツは、
縦皺を深く刻んだ眉間を押し広げながら、
縫子部屋の長と話している。
長年の経験のある者の意見を聞きたいと、
わざわざ許可書を取り奥に連れてこられた
縫子長は初め、恐縮してばかりだった。
「男オメガの日に御目見えする際の
晴れ着をと上様から賜りましたが、
どれもこれも良い反物で迷います。」
反物を一目見た縫子長は、これまで肩を
小さくしていたとは思えぬほど饒舌に
しゃべり出した。
「どの品も本当に見事としか
言いようがありません。
どれも素晴らしい物に仕上がるでしょう。
こちらのこの薄紅の反物。
光沢を見て頂けると解りますが、
希少蚕を使用することによって、
このとろみの強い布の手触りと、
流れるような照り・・・」
マツがうんうんと激しく同意しているのを他所に、
誘惑の多い外を眺める。
初夏に向け輝きをました空に、
ゆうゆうと浮かぶ白い雲が流れる様は、
そわそわと私の心を躍らせ、
外に出ろと誘われているかのよう。
こうやって座っているのがもったいなくなる。
毎日、広い庭園を散歩するのが
日課になりつつある私としては、
気になる八朔の様子を見に行きたいところだ。
剥くのに一手間かかるが、
そのしっかりとした歯ごたえと
酸味の強いさっぱりとした味が癖になる。
汁を絞り、はちみつと煮詰めて
寒天で固め冷やしたでざあとが
沢山、山ほど食べたい。
「正妃様。」名を呼ばれはっとする。
皆の視線が私に集中していて、少し伐が悪い。
「正妃様、ひとまず反物はすべて
仕立て上げることにいたしました。
仕上がり前にお袖を通していただき、
お顔映えを確認いたしましてから
節句の日に羽織る打掛を決めることにいたします。
それと、もう一つ。正妃様。よろしいでしょうか?
皆も、良く聞くのです。
正妃様が、上様より、賜った品にございます。
正妃様が心、ここに非ずとは
いかがなものかと存じます。
上様への不敬に当たりますぞ。
また、身だしなみを整えるも、
正室の大事なお役目にございます。
しっかり吟味なさってくださいまし。」
一息に言い放つマツ。さらに威力が増している。
さすがだわと思っていると、
今度は仕える者たちに喝を入れる。
「正妃様は、ご生家、高吉家きっての
美貌のオメガと誉れ高きお方にございます。
が。
多大なる自覚のなさが、ご自身の名誉を
地に落とすことが多々ありまする。
先ほど、伏目がちに外をご覧に
なられている様は、皆が見惚れるほど、
それはそれは美しゅうございましたでしょう。
上様の事をお慕いし、
その思いに胸を焦がしている、
とかようにこちらが思ってしまう程、
なんとも儚げで、繊細なそのお姿は言葉では
言い表せぬ時もございます。
しかし、その姿に騙されてはなりませぬ。
私、マツは正妃様が御生まれになられた時から
お仕えしておりますゆえ、解ります。
正妃様が、熟れた八朔に心奪われていることを。
昔から、人より食い意地が張っている
お子様でございました。
もうこれは、治らぬ事と重々承知しております。
承知はしておりますが、
いくら上様が甘やかそうと、
まずは、
正妃の務めを果たさせるのです。
なぜ、贅を凝らした衣装を仕立てるのか。
その意味を正妃様にご理解いただくのは
まだ先の事とは存じますが、
私達がそれを忘れてはなりませぬ。
上様の正妃として、
国の匠が仕上げた品を着飾り披露することにより、
上様のお力を知らしめることが出来ると共に、
匠の技を誇示し、新たな文化を広め、
需要を広げるという国益も兼ねているということ。
そんな重要なお役目を賜っている
正妃様を支えることは、私たち、
奥仕えの者たちにしか出来ぬことです。
皆、しっかり気を引き締め邁進しましょうぞ。」
あっと。すみません。質問いいですか?
簡単に言うと、
「うちの輝ちん、あんぽんちんだから、
上様にも失礼のないようにうちらで頑張らせてこ。
あと、輝ちんまだ解んないだろうけど、
職人さんまじ神だから
奥から流行りとか盛り上げていこ♪
国の利益のためにもね☆」
てことですよね?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
微妙な空気の流れた反物会議の日から約1週。
3枚の打掛が仕上がろうとしていた。
さすがは奥の縫子達。その集中力に脱帽です。
「さ、お袖を。
軽く羽織られてみてくださいまし。
様子を見とうございます。」
マツが珍しくウキウキと女子的に楽しそうで面白い。
国の一品は、質実剛健なマツにも影響を与える。
すごい。の一言に尽きる。
上様の目に触れる前に
確認しておきたかったのだろう。
袷から、帯から、ほとんど整った状態なので
驚いていると、「お早く。」と焦らせる声がかかる。
ああでもない、こうでもない。と
夢中になって飾りを選ぶ侍女たちの
着せ替え人形になりきり、
3枚の打掛を代わる代わる羽織る。
一刻半後、やっとのことで
合わせる飾りなどは決まったが、
打掛自体はどれにするか決まりかねていた。
将獅子様が表からお帰りになって、
夕餉をすませたあとに披露することになり、
今その準備の真っ最中だった。
また、あの着せ替え人形状態になるのか、
と思うと頭が痛くなるが、
これも正妃としての役目と言われては
嫌な顔も出来ず。
将獅子様に恥かかせるわけにはいかないもんね。
袷を一枚羽織り、将獅子様の前に。
その不埒な手が、
裾の合わせ目に滑り込こみ、
足を撫で始める。
「上様。お戯れは、あっ。」
うち太ももをやわやわと撫でられ、
ちょっと艶っぽい声が出ちゃった。
周りをちらっと伺うと、
誰も気にせず準備をしている。
良かった。
「こちらは薄紅の正絹にございます。
錦糸を指し、撫子を描きました。
この手触り、照りの素晴らしい仕事は、
まさに国一番の匠の技にございます。」
着物の手触りを確かめているのか、
尻の手触りを確かめているのか。
「なかなか良いな。」と上辺の返事を返す将獅子様。
もう。割れ目はダメ。
「続きまして、こちらの薄水に大輪の牡丹を
刺しました一枚にございます。
今時分からは爽やかな物が
よろしいかと思いましたが、
やはり、正妃様が羽織られると
打掛が少し寂しくなるとお見受けいたします。」
裾を少し持ち上げ色味を確認。
しているようでしていない。
「爽やかな青に、薄桃か。」
股を凝視される。え?透けてないよね?
「こちらが一番のおすすめの品、
藤の花の縫込ちりめんにございます。
少し色が落ち着いておりますが、
それが反って正妃様の美しさを引き立てると
存じております。
帯は銀糸を縫い込んだこちらなどが良いかと。」
と、最後の一枚がマツの推しだと確信した。
その清流を銀糸で表した滑らかな帯を腹に当て、
「どう?」と将獅子様に目で伺う。
「うん。洗練された美しさが際立つ・・・。
輝、お前・・・・。少し肥えたか?」
腹を撫でながら将獅子様が言う。
え?嘘?日頃の暴食が祟った?
自分でさすってみると、少し盛り上がっている。
残念だけど、節制する必要がありそうだ。
全然気づかなかった、私の腹具合。
その様子を、表面上は
にこやかに見守っていたマツ。
だがポッコリお腹を確認すると
表情が一変した。
マツが指折り何かを数えている。
「正妃様。輿入れしてから
発情はございましたでしょうか?」
はて?発情。
毎日交わり、何が何だか正直、解らない。
来たような気もするし、来てないような気もする。
私の悩む様子を確認すると、
「御殿医を!」と鋭く叫んだ。
将獅子様の前で、珍しいこともあるものだ。
打掛どころの話ではなくなり、
すぐさま呼ばれた御殿医を
「なぜ?」と不思議に思いながら、
「一緒に。」とぐずる将獅子様と離され
診察を受けた。
ふむふむと、触診をしていた
その熟年の医者は端的に言った。
「ご懐妊ですな。おめでとうございます。」
?改任?何の?
理解できない私とは対照的に、
口元を手で押さえ、飛び上がらんばかりに
喜んでいるマツを元とする侍女一同。
その様子でふと理解した。
あ。妊娠したのか。そうか。
ほお。これが妊娠。
ふーん。そうかそうか。へぇー。
・・・・・・・・・・実感わかなーい。
え?つわり?ないよ。
今まで以上にご飯おいしいもん。
おなかの張り?
張るってどういう感じ?
腰?痛くないよ。
将獅子様が良くもみもみしてくれるもん。
あ。すんごい眠たいではある。
まあいつも通りだけど。
御殿医の報告を受け、
襖を蹴破る勢いで入ってきた将獅子様に
折れそうな程抱きしめられ、
「よくやった!
お前はやっぱり、余の唯一の番だ!」と
鼓膜が破れそうな大声で褒められた。
最初は喜んでいたマツは、
だんだんと肩を落としていった。
問うと、
「ご懐妊に気づくことが出来ませんでした。
マツ、一生の不覚にございます。」と、
声を震わせ、
お暇させていただきとうございますと、
いきなりの辞職宣言をされ、
大慌てで止めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やっとマツが落ち着きを取り戻した
男オメガの日の朝。
布団の中でダーリンに抱き着きながら
「輝にだけじゃないよ。
ベビたんにもおはようのちゅーして。」とか、
ダーリンがお腹を撫でながら
「いつ頃動く?動いたら教えてな。
一眼レフのカメラ欲しいわ。」
とかって言うから
よしよしって頭なでなでとかして戯れていたら、
マツに上掛け布団を引っぺがされ、叩き起こされた。
「パラレルだからって何でも許されると思うなよ。
この馬鹿っぷるが。」
と冷たく言い放たれ、将獅子様と引き離された。
妊娠が解り、大事があっては大変と
交わいはしばらくの間お休みということで、
寝間着を着用するようになり、
マツの遠慮がなくなった。
あれほど上様に不敬だなんだと言う割に、
自分が一番そうではないかと思うが、
それは言うまい。
「しゃきっと起きてくださいまし。
本日は、正妃様のご懐妊を
お祝いする席でもあります。
国中の大名や公家の方々がお見えになり、
名実共に国母と御成りになるのです。
この世で誰よりも美しいそのお姿を
知らしめる格好の場にございます!」
と意気込むマツ。気合いの入り方が半端ない。
朝から念入りに髪を洗い、体も清める。
藤色の打掛に合わせ、髪も高く結い上げる。
マツは指示出しに忙しそうだ。
「少し帯を緩めにお締めいたしますが、
辛うございましたらお伝えくださいまし。」と
着付け係が気を遣う。
うん。と頷くとほっとしたように下がっていった。
妊娠が解り、
今まで以上に大事にされているのはありがたいが、
将獅子様までもが過保護になりつつあり、
少々煩わしい。
支度の間、つまみ食いでもしようと思っていたのに、
マツの目が光りそれも結局、出来ずじまい。
会が開かれるまで、お預けを食らった。
昼前からの開場に合わせ、庭園に下りる。
赤じゅうたんが広々と敷かれ、
家臣や客人達が膝を折る中、
その豪華に着飾った姿を披露する。
感嘆の声が方々から聞こえ、
きっとマツがガッツポーズをしているだろうと
心の中で想像し笑いだしそうになる。
笑いを沈める為、慌てて会場を見渡すと、
その色とりどりの着物が繚乱する様を見て、
将獅子様との出会いの茶会を思い出す。
「上様、覚えておられますか?
初めてお会いした日の事を?」
軽い気持ちで参加した会で見染められ、
番となり、体を開かれ、
今、私の体には小さな命が宿っている。
オメガだと半分諦めていた人生だったのに。
今はこんなにも幸せ。
見上げると、
「忘れられる筈がない。」
と優しい笑顔が見下ろし、
「お前に会えて嬉しい。」と
強く抱きしめられる。
久しぶりの登場の也友に
「客人の前ですぞ。」と咳払いされる。
軽く口づけされ、周りが騒然となる中、
これからも馬鹿っぷるで突き進もうと
将獅子様の首に腕を回し、
より深い口づけを強請った。
読んでいただきありがとうございました。
今回、Rの部分を抜かしております。
朝のいちゃいちゃの部分を入れようかと思っていたのですが、
なんだかまとまらず。
たまにはこんなのもいいかなと思いまして。
何卒、ご了承ください。笑
輝が出産するまではまたちょこちょこ書きたいと思います。
また、リクエストでいただいている将獅子視点でのお話も、ちゃんと書いてみたいです。
なかなか進まず申し訳ないです。
たぶん、イラストをYOUTUBEの方でまたアップします。
そこにR部分いれるかもしれません。
また報告させていただきます。
入れなくても、入ってないよって報告します。笑
では、またー。
YOUTUBEで白指って検索すると一番上に出てきます。
びっくりしました。
ようつべURL
https://www.youtube.com/watch?v=wJlptMbOz3o




