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67泊目 心の嗚咽

「ニュウ、ダメだ。俺はニュウに危険な橋を渡ってほしくない。そんなボロボロの状態で魔力を使い果たしてしまったら、どうなるかもわからない。お前は俺にとっても、もちろんここにいる全員にとっても、大事な仲間だ。だから、今は逃げよう。逃げて、体制を整えるんだ!」


 懸命にニュウを説得したが、ニュウは首を横に振る。


「いいえ。今ですの……。今、じゃないとダメですの……!ユート様もわかっているのでそょう……?この窮地を全員で脱するのは厳しい、ってこと……。今のアイツには、少しだけマナの揺らぎが見えますわ……。今のうちにマナの流れを断ち切って倒さないと……きっと皆が殺されてしまう……。そして、エルさんが探していた大切なものはきっともう手に入らない……!!エルさんはもうただのお客様じゃない、僕にとって……大事な存在。お茶会の日々や……調合魔法を教えてもらって一緒に楽しんだ日々……全部がもう大切な……宝物ですわ。だからこそ! 僕は! エルさんを……助けたい……!! エルさんがどんな気持ちで、どんな覚悟でここに立っているのか……痛いくらいわかるから、それを邪魔するヤツは排除しなければいけない……ッ!!」


 途切れ途切れに自分の心情を吐き出すニュウ。

 その表情は決意に満ち、鋭い眼光がヴァロールを見据える!!


「もし僕に何かあったら……、ミュウ、貴女に全てを託しますわ。記憶の混同があったら、すぐにリカバリーを……」


 ミュウはニュウの言葉に深く頷いた。


「……わかった。もう、ここを切り抜けるには、それしかないんだよね。ニュウの、大魔法しかないんだよね。それならアタシは全力でニュウをサポートする……!」


 記憶の混同……? ニュウが何やら不穏な言葉を発していたが、俺が改めて止める間も無くまた洞窟の中に爆発音が炸裂した。

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