66泊目 絶望の咆哮
エルの手当てをしつつ、オイゲンとミュウに指示を出していると、ジ…ジ…ジ…、と身体に響くような軽い振動があった。
振り向くとそこには、四肢を少しずつ動かしているヴァロールの姿があった。
「コイツ……! まだ生きていたのか!?」
さっき確認した限りでは、確かに呼吸をしていなかった。まさか、少しの間仮死状態になっていたというのか!?
ニュウとエルは痛手を負い、動けない。
そしてこのボスヴァロールは、3人、しかも物理では到底敵いそうな相手ではない。
ここは、一旦退避するのが得策だ。
3人がかりでニュウとエルを支え、その場を逃げようとすると、ヴァロールの咆哮が辺りに反響する!!!
「ギャアァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
咆哮による衝撃に身がすくんでしまい、俺たちはその場で固まってしまった。
ヴァロールは怒りが抑え切れないのか、目が真っ赤に光りこちらを見据える……!!
ヤバい、これはかなり危険な状態だ……!!
ヴァロールの低い唸り声が響く中、俺とミュウに支えられているニュウが言葉を発した。
「僕が……やります!!」
「やるって……!? ダメだよ、ニュウ! そんな状態でまた大魔法なんて使ったら、今度はどうなっちゃうかわからない!! それこそ魔力の暴走が起きちゃうかもしれないんだよ!?」
ーー魔力の暴走、そのワードがミュウの口から発されたとき、全身に悪寒が走る。
ダメだ、魔法の暴走で俺は両親を亡くしている。
これ以上、魔法暴走で大事な存在を失くすわけにはいかないんだ……!!
多分、今この状況で魔法暴走が起きたらニュウ自身がただ事では済まないだろう。
どうにかそれだけは避けなければ……!




