表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
綺羅と嘘とその先  作者: 蛍灯 もゆる
綺羅の結
86/102

それは、げんじょうをかえる

「あら、出かけるの?」


玄関で靴を履いていると、唐突に階上から声が降ってくる。


「雪さんのところ?」

「違うよ。クラスメイトに誘われたから、コンサート」

「もしかして、女の子?」


首を傾げた姉に、春真は小さく笑って見せた。

ふと昨日の夜、雪之丞と姉と交わした会話を思い出す。


「そうだけど」

「どうするの?」

「心配してる?」

「当たり前でしょ。会場で喧嘩なんか始めないでよ?」


子どもでい続けること。

それが春真のこれまでの人生の全てだった。

けれど、


「しないよ」

「怒らせるなら、可愛くね」

「だから、しないって」


苦笑すると、姉はくすくすと笑う。


「でも、決めたんでしょ?」

「そうだね」


今でも、大人になりたいとは思っていない。

それでも、今はピアノをそのための手段にするつもりはない。


「行ってきます」

「気を付けてね」


玄関を開くと、日の光がいつもより明るい気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ