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綺羅と嘘とその先  作者: 蛍灯 もゆる
綺羅の承
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43/102

それは、ものごとのまえぶれ

「雪さん、甘いもの好き?」


開店準備に勤しんでいると、袖のカフスを留めながら前兆もなく春真が尋ねた。


「お菓子ですか?」

「うん。そういうジャンル」

「好きですよ」

「じゃあ、苦手なものは?」

「ドライフルーツが少し苦手ですけど、なんの質問攻めですか?」


くすくすと笑うと、春真が肩を竦める。


「黄波戸が、客寄せのお礼がしたいんだって」

「え? そんな、」

「雪さんの言葉も、かなり嬉しかったらしいよ」


苦笑する春真に、何となくその様子が浮かぶようで、雪之丞も困惑を解いて手を叩いた。


「それなら、」

「それなら?」

「またヒーローショーを見に行きたいです」


きょとんとした春真は次の瞬間笑い出す。


「紅野君?」

「雪さんて、本当予測不可能だね」


漸く笑いを納めて目尻を拭った春真が、酷く興味深そうに呟いた。

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