表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
綺羅と嘘とその先  作者: 蛍灯 もゆる
綺羅の承
39/102

それは、そくどをあげる



「なんだ、難しい顔してるな」


テーブルについた右頬に、コップを置いた振動が伝わって、雪之丞は顔を起こすと頬杖をつく。


「良く解りません」

「あぁ?」

「紅野君です」

「なんだよ、デートして仲良くなったんじゃないのか?」

「だから、デートじゃありません」


目の前に置かれた珈琲の注がれたカップに手を伸ばして、雪之丞は向かいに座る緑川を見遣った。


「女の子が、ヒーローショーに興味があるのは、どんな時ですか?」

「主演の男に興味がある。主題歌に興味がある。誘った男に興味がある。ストーリーが好きだとか、小道具が好きだってのは、まぁ少ないだろ」

「そういうものですか?」

「まぁ、それこそ映画も似たようなもんじゃねぇか?」

「先に教えて欲しかったです。それにしても、普通、気があるのか、なんてストレートに聞かないと思うんですけど」

「ほっといても女が寄って来るような奴なんだろ?それくらいの防衛策は日常茶飯事なんじゃねぇの?」


足を組み直して、緑川はこつりと机を叩く。

珈琲を一口含んで、雪之丞は嫌そうに目を細めた。


「境界線を引かれるということは、青柳さんの依頼に支障が出ますね」

「そうか?」

「これ以上近寄るな、といわれて近付けませんよ」

「馬鹿。逆だ」


即座に切り捨てられて、訝し気に顔をあげると緑川が肩を竦める。


「もともと依頼は、相手をどれだけ近寄せられるか、だろ」

「不本意です」

「アクセルを踏んだのはお前だろ。加速に文句を言うなよ」


珈琲を飲み干して、雪之丞は疲れたように溜息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ