↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
綺羅と嘘とその先  作者: 蛍灯 もゆる
綺羅の起
PR
35/102

それは、むちゅうをいくようで

ちらちらと向けられる視線は多いが、声をかけられないのは彼女とともにいるからであろう。

予想通り男性のグループもちらほらいて、春真は僅かに目を細めた。


「紅野君」


とんとんと肩を叩かれて振り返ると、彼女が小さく声を潜める。


「別々にいた方が、良くないですか?」

「どうして?」

「一緒にいると、客寄せパンダとしての効力は弱いと思いますけど」

「個別になるのはお勧めしないよ。絡まれて騒ぎになると、ショーに影響がでるから」

「そう、ですか」


しょんぼりと肩を落とした彼女に、春真は本当に微かに笑う。


「雪さんはもう、十分働いてくれたよ。心配しなくても、あとは黄波戸が頑張るだろうしね」


観客席以外にいる人間をショーに誘えるかどうか、あとは出演者の腕の問題だ。

今屋上にいるだけでも、きちんと客席につけば八割がた埋まるだろう。


「だから、雪さんは何の心配もなくゆっくりショーを楽しんでよ」

「解りました。お友達のレッドさん、楽しみですね。紅野君は何度か、彼の舞台をご覧になっているんですか?」

「そうだね。予定が空いてればね」

「そうなんですか。紅野君は、ヒーローは自体は興味はないんですか?」


唐突な質問に、春真は瞬いて、少し考えるように視線を上げた。


「うん。特にないかな」

「お友達思いなんですね」


思いがけないことを言われて、春真はぴたりと動きを止める。


「どうかな」

「え?」

「舞台には魔物が棲んでいる、って信じる?」


きょとんとした彼女はけれど、ステージに視線を向けて頷いた。


「はい。舞台というのはある意味薄氷だと思います」

「薄氷を踏む思い? 確かに、根底にはあるかもしれないね。俺は、魔物が見たいから、此処に来るんだと思うよ」


理解してほしくて紡いだ言葉ではない。

彼女からステージに視線を向けて、春真は其処に何かがいるように目を細めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。