第六話
翌日、僕はギルドが運営する病院に来ていた。
精密検査をしたいとギルド側から依頼されたので来たのだが、妹のことを思い出してしまい少し憂鬱な気分になった。
うぃーん。入口の自動ドアが開くと、多くの人でごった返しているフロアが現れた。
僕がいくところは、確か 6 番窓口だったな。
メッセージを確認し、人ごみの中をゆっくりと歩いていく。
「すみません、精密検査依頼があり、来院した伊藤と申すものなんですけど」
「少々お待ちください。確認いたします。」
受付のお姉さんは僕の方を見てにっこりと笑った。
「伊藤様ですね、確認が取れました。ご案内いたします。こちらへどうぞ」
そのまま案内された。
そこにいたのは、一人の若い医師だった。
すらっとした長身で、綺麗に切られた短髪のイケメンだった。
「菅生と申します。今日はよろしくお願いします」
ぺこりとお辞儀をされたので、慌ててお辞儀をする。
「伊藤です。今日はよろしくお願いします」
「では、精密検査に移らせていただきますね」
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結論から言うと、結果は変わらなかった。
僕の肉体は F ランク相当で、特に強力なわけではなかった。
「おかしいですね。普通スキルなどで強化されると、常に肉体の強度が上がるものなのですが」
菅生さんは呟く。
「おそらくですが、『視聴者応援』とスキル名にある通り、視聴者の応援が多いほど強くなるのでしょう。具体的には、配信中のみ効力を発揮するスキルで、視聴者数が多いとそれだけ変わるとか」
「確かに、視聴者が多かった時の方が、力が増幅していたような気がします。この間もゴブリンを倒したのですがあまり力が出ず、視聴者の数に比例するとしたら、納得です」
菅生さんは頷いた。
「一旦経過観察ということで。基本的に低層には潜ってもいいけど、中層や深層には行かないようにね」
「わかりました。あ、今度有名な配信者とコラボがあるんですけど大丈夫ですか?」
「ふむ、まあギルドの者もその配信は確認しておくようにしよう。その配信者付き添いで適正なランクまでなら問題ないよ」
「わかりました」
「日時などは決まっているかい?」
僕は首を横に振った。
「では、決まったらギルドに連絡を入れてくれ」
「わかりました」
「では、今日はここまで」
「ありがとうございました」
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帰り道、バスに乗ると、僕はグダっと背もたれにもたれかかった。
ゆっくりと息を吐く。
慣れないことをしたからだろう、疲れが半端じゃなかった。
ふと携帯を見ると通知が来ていた。
「日程の確認のお願い From 香月」
内容を確認すると、明日はどうか?という連絡だった。
僕は少し迷ってから、返信した。
「大丈夫です、明日よろしくお願いします」
そう簡単に返した。
明日も慣れないことをする。
けど、妹のためだ。
バスの車窓に流れる道は、もう暗かった。




