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主は悪役令嬢を名乗る公爵令嬢  作者: 狐のボタン


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9/12

成人した子



僕とお嬢様の結婚式は、ルシフェラーゼ家とベルフェラーゼ家の二家だけで執り行われた。

これには色々と理由があって…。


まず一つは、王家が外交の予定が入っていて参加できない。

王家を抜きにして公爵家が跡継ぎの結婚式というような大切なイベントを進めるなんて普通はありえないのだが…。

それなのに無理矢理に結婚式をしてしまったのは旦那様と奥様、それにリリス様の独断。

王家の邪魔が入らないうちに済ませておきたかったというのが最大の理由だそう。


二つ目は、今日が僕の誕生日でもあり、成人する日だから。

成人するというのは、結婚できるのと同義でもある。結局はこれも早く結婚させてしまおうという意図によるもので…。


身内だけで開かれた結婚パーティだからか、お嬢様もリラックスしていて両家の方々と談笑したりと終始和やかにパーティは進んだ。



パーティが終わり、お客様を見送った後からお屋敷内での僕の呼び方が変わってしまった。

ほんの少し前までは同僚だったメイドの人たちから”若旦那様”って呼ばれるのは慣れない。

お嬢様も”若奥様”と呼ばれて照れていたけど、メリスさんだけはお嬢様と呼び続けている。


夜には、お嬢様…じゃなかった、リリエル様から部屋へと来るように言われてお邪魔したら、メリスさんもいて、何やら揉めてる真っ最中。

「初夜くらい二人きりにさせてよ! なんでメリスまで来るの!」

「私が十年かけて育ててきたものを横から権力という暴力を使い、かっ攫われたのです! これ以上は譲れません! それに、ずっと懸念しておられた疑いも晴れますからお嬢様にも損はないかと思いますが。女にはその手段がありますよね?」

「うっ…確かにそれは気になるけど! ってメリス未経験なの!?その歳で?」

「…わかりました。お嬢様がそういう態度なのでしたら、シンの初めては私がもらいます。お嬢様は二人目の相手になってください」

「序列!! 正妻を後回しとか意味わかんないから!」

えーっと…?何を揉めてるのです?

話の内容から身の危険しか感じないから、こっそり部屋へと帰ろうとしたのだけど、二人のコンビネーションにかなうはずもなく…。



…翌朝…


「若旦那様、お顔の色が優れませんが体調を崩されましたか?」

「大丈夫だよ。睡眠不足なだけだから…」

メイドの子に心配されてしまった…。

頭はくらくらするし、身体に力が入らないけどそうも言ってられない。

数日後にある披露宴の準備をしなくてはいけないのだから。メリスさんも既にテキパキと働いてるし…。


というか、どうしてリリエル様とメリスさんは平気なんだろう。僕と同じで寝不足のはずなのに、むしろツヤツヤとしてて、普段より元気そうにさえ見える。


もうホント意味わからないまま二人にいいようにされてしまったのは不覚でしかない。

普通なら僕がメリスさんと関係を持つなんて、リリエル様は浮気だと言って怒ってもいいはずなのに。

当の二人が結託しているものだから僕に一切の勝ち目がないんだよな…。


フラフラとしながらいつも通りの仕事をしようとしていたら、お嬢様に捕まって部屋へと連れ戻されてしまった。

「シン、シャキッとしなさい。貴方はもう私の夫なのよ? 次期公爵の旦那なの。従者の頃のままでいてはいけないわ」

「そう言われましても…。では僕は何をしたら?」

「そうね、私の側にいればいいわ。何かあれば手伝って頂戴」

「わかりました」

それも普段と変わらないような気もしますが…。リリエル様がそれでいいと言われるのなら構いません。


書類仕事をするリリエル様の側に控え、時々振られる話に答えたりと特に仕事を与えられることもなく。

時折メリスさんがお茶を持ってきてくれたりするけど、僕はもう淹れてもらう側らしい…。

「メリス、準備は?」

「滞りなく。もしもの備えも完璧です」

「ありがとう。頼もしいわ」

「いえ。利害の一致というやつですからお気になさらず」

「貴女って味方だと本当に頼もしいわね。フフッ」

「こちらとしましても同じ思いですよ、お嬢様。フフフ…」

二人は不敵に笑い合っていて、見ているこっちが寒気する…。

またどんな悪巧みをしているのか、想像するだけで恐ろしい。



ーー数日後ーー



披露宴当日。予定より随分と早く公爵家へと訪ねてこられたのは隣国の王子殿下と王女様、それに第一側妃のアスモーラ様だった。

リリエル様は、”そっちが来ちゃったかぁ〜…”と項垂れておられて、それで思い出した。

アスモーラ様って、ぱっと見はゆるふわな雰囲気なんだけど、結構腹黒いというか…。リリエル様が商談をした時にめずらしく言いくるめられてかなり値切られてた人だ。あのリリエル様が悔しがるくらいに強かな人だったから覚えてる。

でも僕にはそっちよりも、ルルナ王女様のがこわい。数年前キャラバンについて行ったときに”愛人にならない?”と迫られた記憶があるから警戒しておかなくては…。


お嬢様は溜息をつきながらもメリスさんに指示を出す。

「メリス、恐らく例の事で話があるから早く来たんだと思うわ。場を用意して」

「かしこまりました」

「シンはここにいるのよ。呼びに来るまで待ってなさい」

「はい? わかりました」

お嬢様は身支度を整えると、お一人で来客の対応に向かわれてしまった。

…やっぱり僕では役不足なのだろうな。





来週の更新で完結予定です。

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