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第28話 闇の軍勢、進撃開始

Jinとその仲間たちは、静寂に包まれた濃密な大地を進み続けていた。

やがて彼らの前に姿を現したのは、エルフ皇帝の聖なる宮殿を取り囲む――

銀の大森林。


風が、奇妙な緊張を運んでくる。

まるで森そのものが、息を潜めているかのようだった。


彼らが木々の下へ数歩踏み入れた瞬間――

一本の矢が凄まじい速度で放たれ、Jinの頭部めがけて一直線に飛来する。


だが、その矢は彼の顔の数センチ手前で、ぴたりと停止した。

見えない力によって、空中に縫い止められている。


腕を掲げたSandraが、冷静な眼差しで矢を見つめていた。

彼女の掌の周囲には、淡い魔風が揺らめいている。


SANDRA(静かだが鋭く)

「次は……別の相手を狙いなさい。

それか、外さないことね」


直後、さらに矢が音を裂いて飛んでくる。


Jackarは左の爪を上げ、視線すら向けずに一本目を切り裂いた。

Jairoは燃えるような瞳で一瞥し、指先の動きだけで別の矢を溶かす。

Princeは両手を地面に当て、瞬時に木の壁を隆起させ、自身に向かう矢を完全に防いだ。


射手の位置を察知したSandraは、突如として両手を大きく広げる。

渦巻く激しい突風が枝葉を薙ぎ払い、木々に紛れていた一人のエルフを強制的に引きずり出した。


彼は弓を手にしたまま地面へと降り立ち、怒りに満ちた視線を向ける。


エルフの弓兵(厳しく)

「貴様らに、この地へ立ち入る資格はない、異邦人ども!

今すぐ立ち去れ。

さもなくば――ここで死ぬことになる!」



エルフの弓兵は弓を引き絞り、矢先を真っ直ぐJinへと向けた。

周囲には、次々と他のエルフたちが姿を現し、いつでも射撃できる態勢を取る。


Jinは一歩、前へ出た。


――矢が放たれる。


彼は流れるような動きでそれをかわした。

続いて、複数のエルフたちが一斉に矢を放とうとした、その瞬間――


青黒い稲妻がJinの周囲で炸裂し、襲撃者たちの動きを完全に封じた。


Jinは何事もなかったかのように歩み寄り、最初の弓兵の前に立つ。

その目を真っ直ぐに見つめ――指先で、軽く額を叩いた。


Jin(穏やかな笑みで)

「無料の忠告だ。

物事を、早とちりで判断するな」


そしてJinは手を伸ばし、エルフたちを拘束していた雷を吸収する。

稲妻は消え、彼らは解放された。


先ほどまで尊大だった弓兵は視線を落とし、恥じ入ったように沈黙する。

やがて、彼は静かに手を差し出した。


Jinは迷いなく、その手を握り返す。


Jin

「俺たちは敵じゃない。

エルフ皇帝に会いに来た。緊急だ」


エルフは、まだ目の前で起きた出来事を消化しきれない様子でJinを見つめる。


エルフの弓兵

「皇帝陛下と……近衛隊は、すでに戦地へ向かわれました。

ドワーフ軍と同盟を結び、闇の帝国と戦っておられます」


Jackar(獰猛な笑みで)

「二つの大軍が激突か……

なかなか見応えのある光景だっただろうな」


Prince(沈痛な声で)

「……もはや小競り合いじゃない。

戦争は、正式に始まったということだ」


その時――

別のエルフが、どこからともなく飛び出してくる。

顔色は青ざめ、封印された書簡を握りしめていた。


エルフの伝令(息を切らして)

「た……大変です!

緊急の報せが……!」


全員が彼に視線を向ける。


エルフの伝令

「誠に……誠に残念ですが……

エルフ皇帝陛下と皇妃陛下が、戦死されました。

戦場にて……命を落とされました」


死のような沈黙が、森を覆った。


Sandraは俯き、

Princeは拳を強く握り締め、

Jackarは歯を軋ませる。


Jin(静かだが氷のように冷たく)

「……世界が、崩れ始めているな」


誰も動けなかった。

胸を締めつける報せに、時間そのものが止まったかのようだった。

沈黙は、固く閉じられた棺のように重くのしかかる。


――だが、次の瞬間。


エルフたちが動き出す。


エルフの隊長

「皇女Elenya様を探さねばならない!

陛下と皇妃様の娘……

彼女こそが、我ら最後の希望だ!」


そう言うと、彼らは迷いなく森の奥へと駆け出した。


Jinと仲間たちは視線を交わし――

何も言わず、その後を追う。


助ける。

それ以外の選択肢は、最初から存在しなかった。


二十分後。

彼らはついに、エルフ皇帝の壮麗な宮殿へと辿り着く。


……いや。

正確には――その残骸へ、だ。


建物の周囲には、数十人ものエルフの戦士たちが倒れていた。

深手を負い、今にも命が尽きそうな者も少なくない。


呻き声、苦悶の声、断末魔が、空気を震わせていた。


Jackar

「俺はここに残る。

負傷者の護衛は任せろ」


Prince

「まだ助かる者たちを、安定させる。

治療は俺がやる」


仲間たちが外に残る中、Jin、Sandra、Jairoの三人は急いで宮殿の階段を駆け上がった。

巨大な扉を押し開ける。


最初の広間には、純白の布をかけられたエルフたちの亡骸が並んでいた。

Sandraは思わず視線を逸らし、瞳に涙を滲ませる。

誰かに説明されるまでもなく、彼女は理解してしまった。


Jin(低く)

「……俺たちは、彼らには間に合わなかった」


三人は、さらに奥の第二の間へと進む。


そこには――

銀色の髪を持つ若いエルフの少女が、瀕死の戦士の手を握っていた。

彼女の唇は震え、必死に何かをこらえている。


老いたエルフの呼吸が、静かに止まった。


少女はそっと彼の瞼を閉じると、ゆっくりと立ち上がる。

悲しみを胸に秘めながらも、その姿は誇り高かった。


彼女はJinたちへと向き直り、氷のように冷たい眼差しで見据える。

その背後には、輝く鎧をまとった五人の守護者が微動だにせず立っていた。

壊れかけた金属装甲が、かすかに鳴る音だけが沈黙に響く。


――だが、その瞬間。


警報

「アラート:攻撃――――ッ!!」


甲高いサイレンが、宮殿全体に鳴り響いた。


Jinたちは即座に外へと駆け出す。


目の前に広がっていたのは――

エルフの都へと雪崩れ込む、怪物の大軍勢。


角まで武装したミノタウロスの部隊が、すべてを踏み潰しながら突進してくる。

大地は蹄で震え、血が滝のように流れていた。


Princeが一歩前へ出て、両手を地面に叩きつける。


Prince(冷徹に)

「ここは――通さない」


次の瞬間、

巨大で鋭利な枝が地面から噴き上がり、先頭のミノタウロスたちへ襲いかかる。

枝は獲物を捕らえ、凄まじい圧力で締め上げ――

肉体は耐えきれず、無残に引き裂かれた。


その一方で、Jackarは負傷者たちの前に立ち、

剣と怒りをもって敵を押し返し続けていた。


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