1話 木と話せる人間
俺は赤ん坊の頃からおかしな子供と周りから見られてきた。何故なら・・・・
・危険だと言われている森に一人で入る。
・何やら木に向かって話しかけている。
・おかしな行動を取る割に孤児院の中では静か・・・・・
だからこそ俺には養子の話が来ず一人15歳になるまで孤児院で育ったのかもしれない。
誰もそんな子供は引き取りたがらないだろう。でも俺はそれでも良かったと思う。
何故なら爺さんの死に目に会う事ができたからだ。爺さんはこの孤児院を作った人だ。
「爺さん、今まで俺を、俺達を育ててくれてありがとうございました。ゆっくりねむってくだい。」
俺はそうお礼を言って爺さんからもらった形見の刀と金を持って孤児院をあとにした。
俺がその後に向かったのは孤児院の近くにあった森の跡地だ。
そして、その跡地に立っている一本の木に話しかけた。
「長老、お別れの挨拶に来ましたよ。まだ生きてますかー」
「なんじゃ、シロか。ひさしぶりじゃの。もう行くのか。」
「ええ、俺はあの夜こうするって決めましたから。」
そう話したところで、俺はあの最悪の夜について思い出した。
5年前(シロ10歳)
「長老、来たよー。今日も世界のことを教えてー。」
「坊主、長老は今忙しいんだ。今日は帰りな。」
「じゃあ兄さん(若い木)が教えてよ。」
この頃の俺は毎晩、孤児院を抜け出して森に行っていた。森の木たちに世界のことを教えてもらうためだ。
生まれつきか後天的か分からないが俺は木と会話することが出来た。
だから森の木たちに多くの事を教えてもらった。あの夜も木とたくさん喋って帰るだけのはずだった。
「いや、今日はダメだ。早く帰りなぁぁ・・・・」
「兄さん?」
「ジロォォォ。俺から、この森からから離れろ。います・・・グギャア」
「え?」
俺の前にいたのはいつもの優しい兄さんじゃなかった。
人を喰らい、人に牙を向ける「悪木」だった。俺はそこから先の記憶はなかった。
後になって聞いたところ、森の中で一番古い木(長老)は「悪木」になっていなかった。
他の木たちはすべて「悪木」になっていてすべて討伐された。
俺は長老の下で眠った状態で発見されたらしい。当然俺は大人達に怒られた。
だが当時俺はそんなことよりも優しかった森の木が「悪木」になったことの方が恐ろしかった。
現在
「そうか、強くなったのう。気おつけて行っておいで。」
「はい、必ず「悪木」となる原因を見つけ、元の状態に戻してみせます。」
そう、長老はあの夜「悪木」から俺を守った結果、「悪木」になりかけてしまった。
外からでは分からないが、本人曰く「悪木」に近ずいてるらしい。
「そうか。有難う。だが無茶はするでないぞ。」
「はい。それでは行ってまいります。」
長老に礼をし、俺は歩き出した。長老を「悪木」にさせないために。
作者の初めての作品なので至らぬ点はご容赦ください。




