三守の想い
されから、一週間が過ぎた。
僕は、三守さんに放課後図書館に来てって言われた。
珍しくその日は、健吾が風邪で休んでいた日だった。
僕は約束通り、放課後図書館に行った。
そしたら、そこには三守さんが立って待っていてくれた。
「神口君、ちゃんと来てくれたんだね。ありがとう。私、自分で呼んでおきながら内心ドキドキしていたんだ。もし、来てくれなかったらどうしようって……でも、来てくれたから嬉しいな」
「三守さん、来たけど僕はどうすればいい?」
「えっとね、神口君ちょっとこっちに来て……探してもらいたいものが……」
僕は、三守さんに言われるまま図書館の奥に入っていた。
夕日が射し込んでいた。
放課後の図書館って言うこともあり、あたりには誰も生徒はいなかった。
「三守さん、どんな本を探せばいいの?」
僕は、三守さんに聞いた。そしたら、三守さんは僕の手を握ってこう言ってきた。
「私、神口君の事が好き!入学式からずっと見てました。私と、付き合って。」
突然の告白に、僕はビックリした。
と、同時に健吾の顔がふっとよぎった。
僕は、返事をどうしたらいいか迷っていた。
三守さんを、傷つけないためにはどうすればいいか、そのため黙っていた。
すると、三守さんが口を開けた。
「……神口君、やっぱり石川君の事が好きなのね?だから、答えられないんでしょ?私見たんだ……この前キスしているとこれを………」
僕は、三守さんの口から意外な言葉が出てビックリしたと同時に、三守さんの顔を見れなくなった。
「やっぱりそうなんだ。石川君の事好きなんだ。ねぇ、神口君。石川君のどこが好きなの?相手は男だよ!ねぇ、神口君!」
僕は、ずっと黙っていた。
「ねぇ、何とか言って!神口君」
三守さんは、今にも泣きそうな顔で僕にずっといいかけてくる。
僕は、その言葉を聞きながら重い口を開いた。
「三守さんの言うとおり、僕は健吾と付き合っているよ。健吾の事大好きなんだ。僕の事を一生懸命思ってくれて、不器用ながらに僕に優しくしてくれて……そんな、健吾が大好き。だが三守さんの気持ちには応えられない。男同士で変だとは思う。けど、僕は健吾の事が好きなんだ!」
僕は、切々と話した。
三守さんはそれを聞いて僕にこう言い残して帰っていった。
「私、諦めない。神口君が私に振り向いてくれるまでどんな手でも使ってみせる……」
僕は、家に帰ってからもこの言葉がずっと頭の中に残っていた。
『どんな手を使ってでも………』
ちょっと、胸騒ぎがした。その夜は、更けていった。