お刺身と冒険者ギルド
「いらっしゃいませ。夕飯は肉と魚が選べるよ。お肉はオークのステーキ、お魚は魚介類の盛り合わせ。どっちにもスープと、黒パンがつくよ。どうする?」
「俺は魚で!」
「俺も魚にしよう」
「あっしは肉で」
「私は魚で」
「俺は肉でお願いします」
「はいよ。魚が3つ、肉が2つね! 少々お待ちくださいね!」
新鮮な魚介類なんて、前世以来だと思う。
俺、ウニが好きなんだけど、あるかなぁ?
待つこと5分、色とりどりの刺身盛り合わせが運ばれてきた。
「うわぁ、美味しそう!」
俺はフォークで、刺身を突き刺した。
赤身魚を口に入れる前に鑑定する。
マグロの赤身
鮮度が良く、美味しい。
ランクA。
この世界にも、マグロがいるんだ!
口に入れると、醤油のまろやかな味が刺身の美味しさを押し上げている。
この町のどこかに、醤油が売ってるんだな。
マグロ、はまち、サーモン、海老、いか、ホタテ貝。
どれもこれも、すごく美味しかった。
黒パンは、スープにつけて食べた。
お水を飲み干し、ふと見ると【紅の剣】のガイウスさん達が入り口にいた。
「アズール叔父様、ご馳走さまでした。【紅の剣】と、冒険者ギルドへ行ってきますね」
「わかった、気を付けて行ってこい」
俺は席を立ち、入り口へ駆け寄った。
「皆さん、お待たせ致しました。冒険者ギルドに行くんですよね?」
「おう、じゃあ冒険者ギルドへ行こう。アルキスは、はぐれるんじゃねえぞ」
外に出ると、真っ暗だった。
こんな夜に出歩くのも、初めてのことだ。
ほとんどの建物は寝静まっているようだが、飲み屋さんはランプで照らして、営業中のようだ。
まず大通り沿いに出て、左に曲がる。
しばらく歩くと、剣と盾の看板のある、冒険者ギルドに到着した。
ガイウスさんの後ろについて、冒険者ギルドに入る。
左手がカウンターで、右手は飲み屋になっている。
冒険者の醸し出す熱気が、部屋中に渦巻いている。
「アルキス、買い取りカウンターはこっちだ。ここに、オークを出してくれ」
「はい、わかりました」
俺はアイテムボックスから、オーク2体を取り出して、買い取りカウンターに乗せた。
「これは、状態の良いオークですね。牙や皮が金貨3枚、睾丸が2つで金貨4枚、肉が金貨3枚です。合計で金貨10枚です。2体で金貨20枚ですね。宜しいでしょうか?」
「ああ。それでやってくれ」
ガイウスさんは、金貨20枚を受け取って、金貨4枚を皆に分配した。
「ほら、アルキスも金貨4枚、取っておけ」
「貰っていいの?」
「お前が運んだんだから、お前のものだ」
俺はみんなの顔を見てから、受け取った。
「ありがとうございます。ありがたく受け取りますね」
俺は金貨4枚を受け取り、アイテムボックスにしまった。
【紅の剣】の面々と宿屋に戻ってきた。
「じゃあ、寝るか。明日は早起きだぞ。午前6時から魚売り場は開くんだ。朝5時半に起きて、朝食を食べてから、魚売り場へ行くぞ」
「はい、わかりました。おやすみなさい」
俺は203号室の前に立ち、ノックをした。
「アルキスです」
「ああ、今開けるよ」
ガチャリと鍵が開いて、アズール叔父様が顔を出す。
俺は部屋の中に入り、たらいに入ったお湯を発見した。
「アズール叔父様、これは?」
「お湯と手ぬぐいだよ。お風呂はないから、お湯で拭って、汚れを落とすんだ。お風呂は貴族の家か、よっぽど高級な宿にしかないんだ」
そうなんだ……!
俺は服を脱いで、手ぬぐいで身体を拭った。
お湯は温かくて、ほっとした。
「使い終わったら、ドアの外に置いておいてくれ。鍵をかけるのを、忘れずにな」
「うん、わかった」
俺は服を着替えて、たらいを部屋の外に置いた。
しっかり鍵をかけてから、ベッドにダイブした。
「移動しかしてないのに、結構疲れたよ。明日は午前5時半起きなんでしょう? 早起きしなくっちゃ」
「明日は俺達が商品を探すから、鑑定でランクを見てくれ。Sランク、Aランクは即買いだ。Bランク以下は見送る。氷を出して、アイテムボックスにしまってくれ」
「うん、わかった! 頑張るね。おやすみなさい」
俺はベッドに入ると、疲れが出たのか、すぐに寝入ってしまった。




