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第1章-41 シャリアさんの冒険 後編

 さて、無事に上の階に着きました。


 話し声は三人分聞こえましたが、実際の人数は呼吸からして六人といったところでしょうか。


 随分と厳重ですね。


 どうやら全員宮廷魔法士のようですし、やはりお嬢様達の救出はアーサー様と合流してからの方が確実のようです。


 そのほうが盛り上がりますしね、色々と。ふふふ。


 せめて少しでもアーサー様のお役に立つ情報を得たいところですが……。




「あ〜ようやく明日でこの狭い部屋に待機する役目も終わりか」


「気を抜くな。何かあればあの勇者様の機嫌を損ねるぞ」


「美少女誘拐犯の……ですよね」


「しかも侯爵令嬢。俺、犯罪の片棒担ぐ為に宮廷魔法士になったわけじゃないんだけどな」


「それは全員一緒だ。……しかも明日の朝には」


「えっ? 団長、明日の式って午後じゃなかったでしたっけ。なんか他にもあるんですか?」


「……お前達にはギリギリまで伝えなかったが、明日の朝に令嬢達をコロシアムにお連れすることも任務に含まれている」


「コロシアム……? 令嬢には全く縁のない場所ですが?」


「……なんか私、続きを聞きたくなくなるんですけど」


「……同じく」


「すまん……俺だけでは止められなくてな。実は……あのお二人に奴隷の洗礼を行うそうだ」


「……へっ? 奴隷?」


「まさか……勇者の指示ですか? 既に一人……あの優秀そうな彼女が奴隷にされているのに」


「………あぁ。美少女奴隷ハーレムを作るんだそうだ」


「相変わらずイカれてますね」




 お嬢様達を……あの腐れ外道の奴隷に!?


 なんということを……。


 今すぐ国ごと消し炭にしてやろうか……。


「っ!? シールドファイア!」


 数秒前まで私が立っていた場所に大量の氷の槍が降り注いできました。


 咄嗟に炎の魔法で防ぎます。


「今のを防ぐとは……手強いな。凄まじい殺気を出していたのはお前か」


 溶かした氷が水蒸気になったおかげで私の姿まではまだ確認出来ないようです。


 怒りのあまり殺気を漏らしてしまうなんて私も未熟ですね。


 とにかく今はここから脱出しましょう。


「ここにいるということは狙いは侯爵令嬢だろう。

どこの手の者か知らないが、消えてもらわねばならない」


 宮廷魔法士が六人、しかもその内の一人は団長となると無傷で逃げるのは厳しいかもしれません。


 それならば……。


「こいつ!? 俺に向かって!?」


 六人の中で一番実力が低いと思われるのは一番最初に話しだした彼だ。


 彼に向かって真っ直ぐ攻撃魔法を受ける覚悟で突撃します。


 他の人は狭い建物内な上に私が仲間に向かっていくせいで咄嗟に魔法を使うことをためらっているようです。


 彼らはまだまだ甘ちゃんさんのようですね。戦場でためらえば待つのは死だというのに。


「このっ、ウォーターアロー!」


「もし当たっても耐えろよ! フリーズランサー!」


 よりによって彼は水属性。相性が悪いですが仕方がありませんね。


 氷の槍は団長ですか。さすがに団長を名乗るだけあって決断力がありますね。


 ですが先程より威力が抑えめなので仲間思いの団長なのでしょう。


「こいつ魔法無しで!?」


 魔法で防ぐと隙が出来てしまうので、逃げることに集中する為に使わないだけです。


「俺達も団長に続くぞ! ウインドショット!」


「ストーンバレット!」


 他の人も魔法を放ってきました。


 威力よりも数を出してこちらを負傷させることが目的のようですね。


 全方位逃げ場無しとは、宮廷魔法士六人は手強いですね。


 さすがに数が多すぎますか。


 ……アーサー様、私はここまでのようですので後はお願い致します。


 どうかお嬢様達を救ってくださいませ。




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