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第1章-1-1 その日、筋肉マッチョに出会った

皆さんこんにちはこんばんはおはようございます。

こたまです。

今回が初投稿となります!

通勤通学中の電車内で少しでも楽しんで読んでもらえたら嬉しいです!

※第1章分は全話ストック済み

 梅雨の時期なのに夏のように暑い日、僕は十四年生きてきて初めて人に対して三度見というものをした。


 今週もようやく学校が終わったなぁと呟きながら、一人寂しく学校帰りの途中にある小さな公園を通り過ぎようとした時のことである。


 一度目は視界の端へ入った人に対して「おや?」と思う程度だったのだが、すぐに『アレ』は普通じゃないと気付いた。


 立ち止まって再び見ると、『アレ』は漫画とか映画なんかで見たことがある気がするけど実際には存在するはずがないと頭が拒否反応を示す。


 そして二度見ることによってようやく冷静さを取り戻し物理的にも頭をブンブンと軽く振って思考をクリアにしてから、そのとある人物に三度目の視線を向けたのだ。


 三度目の正直で『アレ』と呼称した人物を見ると、そこにはブランコに座っている翼の生えた女性がいた。


(あの人って……人間じゃない……ような?)


 いや待て、コスプレという可能性もあるじゃないかとそのまま件の女性を立ち止まったままじっくりと観察してみる。


 そんな僕を第三者から見ると完全に怪しい人であったのは言うまでもない。ならどうして言ったのかというと、こういう時のお約束であるからだということは言うまでもない。


 女性を見つめてまず驚いたのはその眩さだ。

 いや、美しい的な意味ではなく眩しい的な意味である。

 

 頭の上にはLEDも真っ青なくらい光輝く白い光輪が浮かび、背中には懐中電灯の三倍くらいの光量を持つ大きな翼が四対(と言うのだろうか?)生えており、その翼の中央には光が当たる度に黄金よりも眩い色合いの金色の長い髪が地面スレスレくらいまで伸びている。


 色々と眩しすぎて正直目が痛いので間接照明にはならなそうかなぁなんてどうでもいいことを思った。


 コスプレ……にしては完成度が高すぎるし、そもそも全身からオーラとでも呼べばいいのか色んな意味で近寄りがたい空気を感じる気がする。イメージの中の天使とか神様ってあの人みたいな人のことじゃないかと思うほどだ。


 でも……う~ん。


「ふああぁぁ……眠い。まったくあのパワハラハゲメタボヒステリック上司め、毎度毎度無理難題を私にばっかり押し付けてさぁ……。はぁ~あ、どっかに消えてくれないかなぁ」


 天使や神様がブラック企業勤めのサラリーマンみたいなことを言う人だとは思いたくない。


「ん、キミ。私に何か用?」


 気付かれてしまった。

 よく見ようとして、いつの間にか無意識にこの人に近付いてしまっていたようだ。


「いえなにみょっ」


 くっ、焦りのあまり噛んでしまった。

 いやそんなことでショックを受けている場合じゃない。非常に気になる存在ではあるが『アレ』はダメだ。


 知り合ってはいけない類いの人種だ。人かどうか分からないけどとにかくダメだ。


 一般人かそれ以下のポジションを常に維持することを心掛け、学校という地獄のような戦場を目立たずひっそりと生き抜いてきた僕の勘がそう言っている。

 

 まぁ今回の場合、100人中99人は間違いなく回れ右して立ち去るとは思うが。


「ちょっと待って」


 回り込まれてしまった、逃げられない。どうやら立ち去れずに残る一人は僕のようだ。


 というかさっきまでブランコに座っていたはずなのに、この場を立ち去ろうと後ろを見たらもう目の前に彼女の姿があった。十メートル以上は距離があったはずなのだが……。


 実は「私メリーさん、今あなたの後頭部を見てるの」でお馴染みのメリーさんだったのかな?

 あれ、メリーさんってそんなこと言ってたっけ? 前頭葉見てたのだっけ?


 なんてことを考えていたら、いつの間にか正面から両肩をがっしり捕まれてしまった。

 くっ、フローラルないい香りを漂わせてきよる。ウチで使っているトイレの芳香剤より良い香りがするな。


「キミみたいな視線で私を見る人は久しぶりなの。ねぇキミ、もしかして私のこと……見えてる?」


 どんな視線だろう……。

 いやらしい視線はたぶん向けていなかったと思うが。たぶん常識の範囲内なはず。


 立ち止まって女性をジッと見て無意識に距離を詰めるのはどんな常識なのかについては謎に包まれている。


「な、何をでひょう……?」


 この世に生を受けて十四年、僕はここまでゼロ距離に近いほどの距離で女の人と話したことはない……ことはないがあまりない。そのせいで緊張のあまりまた噛んでしまった。


「例えば……これ!」


 そう言って、頭の上に浮かんでいる光輪を指差した。どうする、どう返すのが正解だ……。


「えっと……どれのことか?」


「……ふ~ん」


 少し考えた素振りを見せたあと、彼女は少しニヤリとした。捕まれていた両肩から手を離し、何やら少し気合いを入れている。


「えっと……じゃあ僕はこれで……って筋肉マッチョっ!?」


 嫌な予感がしたのでこの人から視線を外した先に、ボディビルダーみたいな形に変わった光輪があって思わずツッコんでしまった。


「ほらやっぱり見えてる」


「いや、ちょっとむせただけでマッチョ」


 よし、これならなんとかむせた時にマッチョと言ったように聞こえた変な子くらいには挽回できただろう。僕はNOと言える日本人になるために、クラス委員決めで


「いやぁクラス委員長なんて去年もやったし今年はできれば遠慮したいなぁなんて思ったり……ハハハ……えっホントに今回だけ……だよね?

あっ、はい……やりますやらせてください」


 とまで、隣の席に座る先にクラス副委員長に決まっていた世が世なら美人系悪役令嬢になれそうな鋭い目付きで見てくる姫川さんに言えるようになってきた男だ。


 それにしても次々にポーズを変えるマッチョ光輪が面白い。「キレてるよ!」と言うべきか?


少しでも面白い、これなら続きを読んでやってもいいかなと思われた方はポチっとポイントをいただけるととんでもないくらい励みになります!

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