表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
518/521

第五百十八話 狙いを変えた忠行

「フフッ・・・。」


白達からの苛烈な攻めを受けてなお、忠行は余裕を見せている。

押されているにも関わらず焦り一つ見せない真意。それは全てにおいて未だ

圧倒する手立てを用意しているからだった。


「何がおかしい!!」


正気を保てなくなった白達の代わりに戦場に出ていた竜次はその不敵な笑みに

思わず苛立ってしまう。


「いや、面白おかしいと思ってな。互いに牙を見せず小競り合い。

消耗戦にもならない戦が続いているが、飽きずに攻めてくる姿は滑稽だと思ってな。」


白の面々は決して手を抜いていない。今までの敵であれば押し込めるほどの優勢を

勝ち取っているがそれでも攻めきれないのは、忠行の手数の多さもあるが

それ以上に醜い体に秘めたタフさが大きな要因だった。


「まあ、どうせ上にいる奴が絵図を描いているのだろう。

人間の頭で弾きだした浅い計算が狂うのは目に見えていたのではないか?」


「さあな・・・!!だが俺が長だったら簡単に攻め込んでたよ!!」


東京結界が張られてる事を理由での短期決戦を仕掛けていたと語る。

だが、これだけ攻めても倒れる素振りを見せない忠行であればその猛攻に耐えていただろう。


「そうだろうな。むしろそう”仕掛けた”。土御門に挽回の機会を与えたが、

結局は策通りにいかん。小生意気な奴よ。」


ガス欠を狙い、全てを蹴散らす算段をつけていたと語る。

そして東京結界が晴れたタイミングで味方を失った龍穂とぶつかり勝利を収める。

兼定がそこまで読んでいたのかは定かではないが、少なくとも

ここまで永らえてきた忠行の手のひらの上で踊る事だけは避けられた。


「そうかい!!じゃあ、その小生意気な奴らにもう少し付き合ってもらおうか!!!」


龍穂が起きた。その事実は竜次達にも伝わっており、隠しもしない強大な力が

動き出したことも察している。小手先の次は陽動。

未だ戦いを長引かせようとする動きに白達は耐えの姿勢を強要されるが

異論を唱える者は誰一人として現れない。


「付き合うか・・・。攻める姿勢を見せてこないのは面白し味がないな。」


「それが勝利につながるならいくらでもやっているだけだよ!!」


とはいえ離れた位置での陽動は意味を成さない。むしろ白達を攻め立てる好機。

そんな餌を目の前にぶら下げられた状態だが忠行は動かない。

何故なら相手はハスターを使役する龍穂に他ならないため。

先程より数段力を増した存在感。やろうと思えば今の位置からでもこちらに干渉できる

空気というあまりに特殊な力を操る龍穂の存在は危険しかない。


「ふむ・・・・・。」


孤立している龍穂を狙うため、移動する選択肢もある。だがその動きを見せた瞬間、

上で戦況を見守っている兼定が襲い掛かってくる。

優位を取れている。だが攻められない。この状況を作り上げるために

ここまで動く気配を見せなかったのだと考えると、あまり憎たらしい存在であると

忠行は考えを改める。


「奴が興味を持つだけはある。いつでも絶つ事が出来ると甘く見ていたが・・・

優先順位を変えるとしよう。」


動くのであれば結界が破壊されてから。そう決めていた忠行は選択を変える。

戦線を離脱し、数が減っていた今が好機と白達に向けていた標準を一斉に上に向けた。


「貴様らの頭からもぎ取ろうか。」


策を企てる兼定を討ち取り、再び全てを手のひらの上に乗せる。

そう決断した忠行の動きを察知した竜次は大声を上げた。


「兼定!!!」


詠唱なく放たれた攻撃の数々は、危険だと叫んだ竜次の声をかき消す。


「・・!!!」


龍穂の動きを察知し、詳細の把握を行っていた兼定と春。

その僅かな隙を狙われた二人は反応が遅れ、立っていたビル共々攻撃に飲み込まれる。

大きな音を立て瓦礫へと変わっていく姿を見た白達には戦慄が走り、

戦いの渦がさらに激しく蠢き始めたことを示していた。


———————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————


戦場を駆ける龍穂達。事細かく連絡をとるちーを横目にゆーが龍穂に尋ねる。


「さて、何を狙おうか。」


無数にある選択肢の中。何を選ぶのか。向こうの状況を把握しながら決めなければならないが、

隠す気の無い俺の力が選択肢を狭めている。


「俺を含めた不意打ちは難しい。あちらが俺に気付かないほど忠行を追い詰めているのなら

話しは違いますが、そうではないでしょう。

ですので俺の動きは変えず、不意打ちに効果を見いだせる人選で行うのが良いですが・・・。」


白が押し切れない相手に効果を見いだせる者は限られる。

ここまで倒し切れない奴のタフさを考慮した場合、この中にはいない様に思えるが

考え方を変えたのなら話しは違う。


「・・やるとするなら奴の力を削ぐための不意打ちになるでしょう。

一点突破。距離をとっても高火力を叩きだせる人が必要です。」


奴の厄介点。今まで喰らってきた子孫達の力を扱う特殊な技術。

それを少しでも割ければ勝機が生まれる。


「何か策があるんだね?」


「ええ。ですがそれには忠行の動きを把握した上である程度懐に潜り込み、

的確に攻撃を打ち込む必要がある。高度な連携が必要になります。」


「そうか・・・。じゃあ、その策を考えつつ他の案を出してみようか。」


必死に連絡を取るちーさんに負担がかかってしまう。すぐに移すことができない上に

白達にも大きな負担を強いることになる。俺の策は後回し。

今できる事をしようと他のみんなにも案を募る。


「今の案が採用されるのなら、木星を分けて行動もありだな。

龍穂を生かして立ち回るのなら、先ほどの忍びが見つけた安全な場所に龍穂を残して

移動し不意を打つ。」


陽菜が出した案。それは押し切れない白への援軍か。

確かにそちらの方が戦場にいる白達の支援も行える。


「でもそれだけどう不意を打つのか明確じゃないで。中途半端な攻撃を行うくらいなら

龍穂みたいに明確な目的を持った方が効果的やないか?」


「・・まあ、そうだな。」


純恋からの反論を受けた陽菜は大人しく引き下がる。先ほどの指摘が影響しているのか

何時になく弱気に見える。


「いや、いい案だと思う。必ずしも全員で動く必要はない。

最低限の人数を残して戦場に潜伏は考えていいかもしれない。」


「ですがその場合、距離の詰めた忠行がその存在に気が付かないほどの隠密が必要です。

それか・・・忠行が意識できない程の状況であれば可能かと。」


結局は向こうの状況依存になると言う事か・・・。


「・・ひとまず徐々に距離を詰めましょう。俺が近づいている事を

察するだけでも多少は意識が向けられると思います。」


打つ手はない。このままだと攻めた方が良かったのではないかと陽菜に言われそうだが

この行動が必ず役に立つと信じ、縮地も使わずにかける。


「・・・・・みんな。」


そんな中、連絡を取っていたちーさんが全体に声をかける。

荒げているわけではないが、いつもより低い声は大きな動きがあったのかと

全体に緊張を走らせる。


「一つ報告。忠行が動いた。」


緊張が的中した。状況によっては今すぐにでも戦場に向かう必要がある。


「・・どう動いたんですか?」


「結果から言えば兼兄を標的に変えた。白の部隊が疲れた所を狙い、攻撃の的を

兼兄一人に変えたみたいだ。」


白、そして業を仕切る兼兄。その負担は一部隊しか持ったことの無い俺では

分かりかねるほどの重圧があるだろう。

重圧とは責任の証。長を討ち取り、部隊の首を跳ねることが起きる瓦解を狙ったのだろう。


「それは・・・・・。」


「まあ落ち着け。一度は不意を打たれたけど無事。

白の部隊や業が力を合わせて対応していると報告が入っているからひとまずは安心だ。」


一応・・・・・無事か。竜次先生達が支援を行っているのならひとまずは大丈夫。


「・・仕掛け時だ。」


今の報告の重要な点だけを上げるとするなら、兼兄に意識が集中しているという事実。

隙をつくまたとない好機であり、選択を迫られる。


「だね。」


「どうする?」


敵の意識が兼兄に向いている。であればこれ以上の好機はない。


「・・これから指名した者達には戦場に向かってもらう。狙いは賀茂忠行。

一撃を放ち、当たる当たらない関係なく戻ってきてもらう。」


不意を打つこの好機を逃すわけにはいかない。東京結界が破壊される前に

一撃でも喰らわせられれば儲けものだ。


「楓を筆頭に謙太郎さん。そして・・・・・。」


影渡りで戻ってこれる楓と一撃がある謙太郎さん。そしてそれを補助する人選を

行おうとしたその時。視界に入った影が俺の口の動きを止める。


(・・・・・あれは。)


瓦礫の中を駆けている人影。それは戦場にいたはずの二人の姿。


「こっちだな・・・!!!」


縮地を使い、此方へ向かっている猛と真奈美でありその体には大きくの傷を負っている。

その姿を見た俺は思わずただ立ち尽くしてしまった。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

少しでも興味を持っていただけたのなら評価やブックマーク等を付けていただけると

励みになりますのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ