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【Web版】追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双  作者: 日之浦 拓
第一五章 熱血勇者と偽りの魔王

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変わらないことと成長しないことは、似ているようで結構違う

「よし、じゃあ行くぞ……?」


 その後、無事に地下への転移陣を発見した俺達の前で、バーンが謎の石碑に手を乗せる。すると今回もまたバーンの体に青白い稲妻が走り……程なくしてそれが収まると、振り返ったバーンが満面の笑みを浮かべて叫ぶ。


「見ろっ! これがっ! 超! 勇者の盾だっ!」


 左腕を体の前に持ってくると、バーンが拳をギュッと握りこむ。すると左手の手首を中心に光る盾が出現し、バーンの上半身をいい感じに覆い隠した。


「おお、スゲーな。そういうのなのか」


「あら、エドも知らなかったの?」


「ああ、ここに来たのは初めてだからな」


 一周目において、俺達はこんな場所には来ていない。当時は「失せ物狂いの羅針盤(アカシックコンパス)」を持っていなかったというのもあるけど、仮にあったとしてもバーンをここに案内することはなかっただろう。


 当たり前だ。勇者の力が眠る場所を正確に探し当てられるとか、相当態度が悪くても有用すぎて「追放」されなくなっちまうからな。


「うぉぉ、何だこれ!? 超! 格好いいぜっ!」


 そんな会話をする俺とティアの前で、バーンが子供のようにはしゃぎながら左手を握ったり開いたりして、盾を出したり消したりしている。キラキラと目を輝かせるその様は、ようにというかまんま子供だ。


「おめでとうございます、勇者様。また一歩魔王討伐に近づきましたね」


「おう、ありがとなエウラリア! でも欲を言えば、やっぱり剣が超! 欲しかったぜ」


「はは、焦るなよバーン。そいつは次のお楽しみってことにしとけ」


「次? おいエド、まさか……っ!?」


 俺の言葉に、バーンが驚きと期待を込めて話しかけてくる。俺がニヤリと笑ってやると、バーンはゴクリと唾を飲み……


「任せろ。今回みたいな遺跡候補を、まだいくつか見つけてある」


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!? エド、お前って奴は……っ! 超! 最っ高だぜっ!」


「やめろ暑苦しい! 抱きつくな!」


「フフッ、エドったらモテモテね?」


「……回復、いりますか?」


「モテてねーしいらねーから! ったく、ほら、なら次行くぞ」


「おうっ!」


 鬱陶しいバーンを引き剥がし、俺達は次の遺跡へと冒険を続ける。森を抜け道を歩き、国を超えて次に辿り着いたのは、吹雪が吹き荒れる極寒の山。


「エエエエエエエドドドドドドドド……こここここのささささきににににににににに……?」


「いやもう、何言ってるかわかんねーよ。で、目的地はもう少し上だな」


「そそそそそそそうかかかかかかかかか…………っ!」


 雪山を登る俺達のなかで、バーンだけがガクガクと震えている。赤いツンツン髪につららが垂れ下がりそうな勢いのバーンが、そんな俺達に訝しげな視線を向けてくる。


「ににににしても、おまおまおまえたちは、何でへへへ平気なんだよ……っ!?」


「何でって、ティアに精霊魔法で守ってもらってるからな」


「……なななななんで、おれおれおれは……?」


「私が使おうとしたら、バーンが『俺は超! 最強の勇者だから、この程度の寒さなんてなんともないんだぜっ!』って言って断ったんでしょ?」


「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐ……」


「ハァ、もういいだろ。ティア、悪いけどバーンにもかけてやってくれ」


「りょーかい」


 ティアが精霊魔法を発動させれば、バーンの体から震えが収まり、真っ青だった顔にすぐに赤みが差していく。


「ふぅぅぅぅ……超! 助かったぜ……」


「これに懲りたら意味のわかんねー意地を張るのはやめろよな? てか何で魔法はいらないとか言ったんだよ?」


「それは……我慢強い方が超! 格好いいかなって……」


「今のは大分格好悪かったと思うわよ?」


「勇者様…………」


「うぉぉ、見るな! そんな目で俺をっ! 超! 見ないでくれっ!」


 ジタバタするバーンは、近年まれに見る格好悪さだ。そんな勇者様の痴態に思わず苦笑を浮かべるも、俺はすぐに気を取り直して意識を正面に向ける。


「おらバーン! 名誉挽回の機会だぞ!」


「むっ、敵か!?」


 吹雪の向こうから姿を現したのは、白くてでかい猿っぽい魔獣。俺達と目が合ったことで、その猿がけたたましい鳴き声を上げながら突進してくる。


「キキキキキキキキキィィィィ!!!」


「来るぞ! バーン!」


「応よっ!」


 俺が左で、バーンが右。突進してくる猿の腕にそれぞれ剣を振り下ろし、まずはその動きを止める。


「キキィ!」


「チッ、思ったより頑丈だな? 俺が背後を!」


「任せろ!」


 バーンをその場に残し、俺は猿の後ろに回るべくやや距離を取って走り出す。だが当然猿もそれを黙って見逃したりはせず、半分切れ込みの入った腕を振り回して俺をなぎ倒そうとするが……


「させるかっ!」


「ウギィ!?」


 バーンに膝を切りつけられ、その痛みと己の体重に猿がその場でぐらつく。その隙に俺は背後に回りきると、まずは鬱陶しく振り回されている尻尾を切り飛ばす。


「おらっ!」


「キキィ……キュォォォォォォォォ……っ!」


 俺達二人を相手にするのは難しいと悟ったのか、猿が大きく息を吸い込む。この動作から予想される次の攻撃は――


「バーン、吐息(ブレス)だ!」


「現れろ、『勇者の盾』っ!」


 バーンの体の前に、光り輝く盾が出現する。だがそれだけでは終わらない。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ! 超! ガチ守りっ!!!」


「ブフォォォォォォォォォーーーっ!!!」


 バーンの構える光の盾が、急速に大きさを増していく。それはバーンのみならず背後のティアやエウラリアまでカバーして、見事猿の吐く吹雪の吐息を完全に防ぎきった。


「流石勇者! これで……終わりだっ!」


 息を吐ききったところで、俺の剣が猿の頭を切り飛ばす。すると残った吐息が吹き出すようなこともなく、白い巨体がズシンと音を立てて雪の斜面へと倒れ込んだ。


「勝ったな。やるじゃねーかバーン!」


「ホント、格好良かったわよ」


「流石は勇者様です……」


「そ、そうか!? まあな! 俺は超! 最強の勇者だから、このくらい超! 余裕だぜっ!」


「ではエドさん、回復を……」


「お、おぅ……」


 今回もかすり傷一つ負ってはいないが、大丈夫だと言っても通じないのはわかっているので、俺はエウラリアの回復魔術を受け入れる。それが終わって更に進めば、目的地である坑道の入り口へと辿り着いた。


「今回は遺跡じゃないのね?」


「流石にこんな位置だしな。坑道の中に遺跡があるのかも知れねーけど」


 普通に考えれば転移陣だけが存在する可能性が一番高いだろうが、その辺は行ってみないとわからない。そもそも俺はあくまでも「失せ物狂いの羅針盤(アカシックコンパス)」の指し示す方向に動いているだけなので、それぞれの場所や施設の歴史的背景なんかがわかるわけじゃないのだ。


「坑道ってことは何か掘れるんだろ? 少なくとも掘ってた当時はここに町とかあったんじゃねーの?」


「教会の資料では、もう何百年も前に閉鎖された坑道だという話です。なので町を作るのであれば、一からやり直しになるかと」


「廃鉱山の周囲に町とか、採算合わねーにもほどがあるだろ。でもここに留まるなら、それなりの規模の施設がないと難しいんじゃねーかな? ここに配属される奴は大変だ」


 勇者の力が眠る石碑と、そこに通じる転移陣のある遺跡やら何やらは、それがある国が保護することに決まったらしい。なのでここにも誰かが来るんだろうが……人ごとながら同情してしまう。まあうん、頑張ってくれ。


「ってことで、さっさと中に入るか。今回は罠はねーだろうけど、この環境だと魔獣が住み着いてる可能性はあるから、気をつけてな」


「超! わかってるぜっ! んじゃ、早速突入だっ!」


「だからお前はちょっと待てって……おぉぅ?」


 坑道の中に入る直前、バーンが足を止めてこっちを振り返る。


「おーい、早くこいよ! 超! 待ちきれないぜっ!」


「……何だよ、ちゃんと成長してるじゃねーか」


 バーンと旅をするようになって、そろそろ四ヶ月と少し。その根本は変わらずとも、確かに少しずつ成長している。その事実が何となく嬉しくて、俺は口元に小さく笑みを浮かべる。


「さて、じゃあせっかちな勇者様を待たせないように、俺達も行きますかね」


「そうね。多分あと一分も待ってくれないだろうし」


「……行きましょう」


「早くーっ! 超! 早くこいってばーっ!」


 やたらと急かすバーンの声に応えるように、俺達も少しだけ早歩きで坑道の中へと足を踏み入れていった。

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魔王を倒して力を回収されるのを恐れて妨害するための白い力を回復のフリしてねじ込まれてるのかな? でもそれだと本末転倒だよね…? それに違和感を覚えるティアは魔王の使徒というわけでも無いし精霊の加護で…
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