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【Web版】追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双  作者: 日之浦 拓
第一三章 暴走勇者と密林の男達

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祝いの席ですることなんて、飲んで踊れば十分だ

「我らの救世主! 最高にエロい勇者エドに、乾杯!」


「「「乾杯!!!」」」


 集落中央に存在する、大きな広場。そこに集まった沢山の男女が、同じ事を口にして木製のジョッキを打ち付け合う。そこに男女のわだかまりはなく、実に平和な光景ではあるのだが……


「どうだエド! 飲んでるかぁ!」


「ああ、飲んでるよ。スゲー飲んでる」


「見ろエド! これ俺が彫った究極にエロい人形! 勇者エドに進呈する!」


「ああ、うん。ありがとう」


 俺の周囲には、ひっきりなしに男達がやってくる。最初のうちは嬉しかったが、それが三日も続いたら話は別だ。


「うぉぉーん! エド、お前命の恩人! お前になら俺の秘蔵のエロいもの、全部くれてやる!」


「いや、いいから。それはしまっとけ? な?」


「うぉぉーん! 勇者エド、懐深い! エロいもの独占しない、真の強者!」


「わかったわかった。わかったから少し落ち着けって」


 まさかの泣き上戸だったガルガドを宥めつつ、俺は差し出された何体かの人形を押しつけ返す。大事なものだからこそ差し出したいという気持ちはわかるが、俺としては木や石で彫られたエロい人形を何体も渡されても果てしなく困るだけだ。


 ああ、当然だがあの場にいた全員は助かっている。幸いだったのは男達全員が自分で腹に槍を突き刺しただけで、そこから切り裂いたりしていなかったということだ。なので内臓に余計な傷がついたりしていなかったし、腹を刺した程度なら即死にはほど遠い。俺の手持ちの回復薬で十分に治療が可能だった。


 というか、ぶっちゃけあの場で一番重症だったのはドナテラだった。耳のところからスゲー勢いで溢れる血は普通の回復薬では止まらず、やむなくリーエル印の回復薬を使ったのだ。


 これであの薬はあと一つ。今の俺には毒に近いので使えないが、もし万が一ティアに何かあったときのために、大事に取っておくことにしよう。


「我らが里を守ってくれた、最高にいい女! 勇者ルナリーティアに乾杯!」


「「「乾杯!!!」」」


 そんな俺のすぐ側では、ティアもまた女性達から賞賛を浴びせられている。


 場の流れで俺達が魔王……黒い星に戦いを挑んでしまったことで、実はこっちにもそれなりの数の黒い悪魔が追加で流れてきていたらしい。が、それをティアが先頭に立って戦うことでこの集落を守り切ったため、その人気はぶっちゃけ俺より凄い。


 っていうか、俺は事実上男達の一部と行動を共にしてただけで、この集落にはほとんどかかわってないから、まあ当たり前ではあるけど。


「うぉぉー、来たぞー!」


 と、そこで背後から歓声があがる。そちらに顔を向けてみれば、そこには小さく白い薄衣を体の要所に纏ったドナテラの姿があった。もじもじと恥ずかしそうに体を縮めているその姿が今までと別人のようだが、俺としてはむしろこっちのドナテラの方が覚えがある。


 まあ一周目のドナテラはこんな筋肉ムキムキの体型はしていなかったので、その辺の違和感は多分にあるわけだが。


「うぅぅ、なんで私、こんな格好……」


「ハハハ、諦めろドナテラ。これ褒美と罰。皆に迷惑かけた罪償い、皆のために戦った誉れ受け取れ」


「ハモキン……」


 楽しげに笑うハモキンの隣で、顔を赤くしたドナテラが恨みがましげな目でハモキンの顔を睨んでいる。だがいつまでも立ち止まっているわけにもいかないとドナテラが歩き出し、やがて広場の中央にて立ち止まる。


「こ、これから勇者に捧げる舞、踊る!」


「お前達、用意はいいか!?」


「「「ウーララー!」」」


「「「ウンバボー!」」」


 中央のドナテラを囲むように女性達が立ち、その周囲に配置された太鼓は男達が持っている。俺達が喚ばれて来た時はそっちも女性だったが、どうやら本来は踊るのが女、太鼓が男という役割分担になっているようだ。


「ウーララ、ウララ、ウーララー!」


 まず始めにドナテラが大きな声でそう叫ぶ。それを合図に歌と踊りが開始され、中央のドナテラがクルクルと回る度にその身に付けた白い薄衣がヒラヒラと舞う。これは……ふむ?


「エド? 随分熱心に見てるみたいだけど、どうしたの?」


「うおっ!? な、何だよティア。俺はただ、上手に踊るもんだなーって思ってただけだぞ?」


「ふーん?」


 いつの間にか女性達から解放されたティアが、俺の隣で意味深な笑みを浮かべてくる。別に露出が減ってるのにエロさが増してるとか、ここの文化も侮れねーなぁなんて考えていたわけではないので、やましいことは一切無い。なのでその視線は是非ともやめていただきたい。


「ウーララ! ウララ!」

「ウンバボ! ウンバボ!」

「ウーララ! ウララ!」

「ウンバボ! ウンバボ!」


 実際、落ち着いてみる彼女らの踊りは本当に見事だ。汗を流しながら全力で太鼓を叩く男達も楽しそうで、これが本当のこの集落の姿なのだと思えば、何とも感慨深いものがある。


「ねえエド、私達も踊りに行かない?」


「は!? いや、でも……いいのか?」


 突然のティアの提案に、俺は戸惑いの声をあげる。すると近くにいたハモキンが笑いながら話しかけてくる。


「いいに決まってる。勇者の参加拒む、あり得ない! おーいお前等、勇者の二人も踊る! もっともっと盛り上げろ!」


「オォォォォォォォォ!!!」


「ちょっ、おま、ハモキン!? あーもうこれ、踊らないわけにはいかないやつじゃん!」


「いいじゃない! ほら、行きましょ!」


 ちょっと強引にティアに手を引かれ、俺達は踊りの輪の中に入る。気づけばそこかしこで適当に踊っている人達もいて、秩序も何もあったもんじゃない。


 が、それがいい。祭りの熱気に当てられながら、俺はティアと一緒に適当に体を動かして踊りっぽいものをする。


「あはは、何その動き!? 何でそんなにクネクネなの?」


「む? ならこっちの方がいいか?」


「今度はカクカクしてるわ!? 一体どこでそんな踊りを覚えるのよ!?」


「フフフ、これでも色々経験してるんだよ」


 ちょっと呆れ顔をするティアに、俺はニヤリと笑って答える。格式張った城の舞踏会なんかじゃ絶対に披露できない踊りも、こういう場所でなら大歓迎だ。


 弾むリズムに心を躍らせ、思いのままに体を動かす。そうして流した汗の分はいくらでもある酒を飲み干して……ああ、こいつはいい気分だ。


「楽しいわねエド!」


「ああ、そうだな!」


「……でも、それももう終わりよね?」


「……ああ、そうだな」


 魔王は倒したし、理由はわかんねーけどいつの間にかドナテラは元に戻っていた。というか、ドナテラの中にあったやつだと思われる「光る星」は、今何故か俺の中にある。


 あの後本人から聞いた話から推測すると、おそらくドナテラが魔王ラストをぶん殴った際に「光る星」がドナテラからラストへと移り、それを俺が吸収した……という流れであるようだ。


 その結果、俺の右手の人差し指と中指は、今もチクチクと痛んでいる。厄介な荷物が増えたのは勘弁だが、対処法がわからなかったドナテラを戻せた対価と考えるなら、まあこのくらいは仕方ないと割り切れる。


 だが、そうなると俺達にこの世界に留まる理由はもう無い。唯一懸念があるとすれば……


「ねえエド。今回は全然条件を満たしてない気がするんだけど、ちゃんと帰れるの?」


「うーん、それはまあ、やってみるしかねーな」


 勇者であるドナテラと一緒にいたのはティアだけだし、その期間だって半年にはとても満たない。おまけに俺とドナテラは敵対していたので、深い信頼を得ているとも言い難い。


 正直ここから追放されたとして、元の「白い世界」に帰れるかはかなり疑問だ。


「まあでも、駄目だったらここで半年暮らしてから改めて追放してもらえばいいだろ。つーかそれでいいとか、本当に追放の条件が緩くなったよなぁ……」


 今までの苦労は何だったのかと問いたくなるような気持ちだが、楽になっているのだから文句を言うつもりはない。ただどこまで条件が緩くなっても、自分の意思だけで世界から出られるようになる気はこれっぽっちもしない。


 きっとそこは最後の最後まで残る縛りなんだろう。


「なら、もうしばらく楽しみましょうか!」


「おう! まだまだたっぷりこの世界を堪能してやろうぜ!」


 気づけば暗くなってきており、集落のそこここにかがり火が灯される。赤い炎が俺達の顔を照らし出し、燃え上がる祭りの熱はまだまだ冷めることを知らない。


 もう少し、あと少し。この楽しく愛おしい時間が続くように願いながら、俺とティアはひたすらに踊り明かすのだった。

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もしやあと3つ「光る星」を集めれば必殺技ゴッドフィンガーの完成か?
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