51.路地裏でバッタリ
ギルドから少し遠くの路地裏まで逃げた。誰もいないことを確認してから、地べたに座り込む。
彼女の馬鹿にしたような見下したような瞳が、その香水の臭いが、混ざりあって気持ち悪かった。
「・・・・少し態度が悪かったかな。でも、あれ以上いたらなぁ。俺のSAN値がガリガリと減る」
はぁ、とため息をつき、ぎゅっと膝を抱える。あーいう輩は現実だけで十分お腹一杯です。
でも、ずっとこうしてはいられない。時間は限られているのだ。頑張れ、俺。
「まずは、宿を探そう。・・・・んー、ピンからキリまであるだろうし、俺一人で行ったら詐欺られそうだし、どうしたもんかな」
最初のギルドの受付嬢であったら、きっと聞けたんだけどな。多分、ギルドで最初にあったのが、彼女だったら、多分、俺は速攻でこのゲームを止めていたと思う。
「あーどうしよう」
優しそう、街・・・・。あぁ、そういえば、最初にあった人がいるじゃないか。
「あのおっちゃん、あの場所にまだいるかな」
そう、俺には串屋の屋台のおっちゃんがいたことを思い出した。城へ続く道をまっすぐ進めば、あの屋台に着くと思うんだけど、どうだろうな。
よいしょと言いながら、立ち上がる。路地裏から出ようとしたところで後ろから声をかけられた。
「おっ、坊主、久しいじゃねぇか。おめぇさん、こんな所でどうしたんだ?」
急に声をかけられて、体が跳び跳ねる。
後ろを振り向けば、おっちゃんがいた。おぉ、会いに行こうと思ったら、まさか先に会えるとは。うん、運がないのになんか可笑しくないか?運がないというのにこの偶然・・・・考えてはいけない。俺は察した。
「えっと、宿を探してて」
「はぁ?こんなところの宿?止めとけ、止めとけ。ここの宿は治安わりぃ。おめぇさんみたいのはカモにされるぞ」
「いえ、でも、あのどこの宿がいいのか、わからないですし・・・・」
治安が悪いのに、おっちゃんはいるんだな。あぁ、そういうことは考えない、考えない。でも考えちゃうんだよな。
おっちゃんは顎に手を当てて考えいるようだった。その後、顎に当てていた手を頭に持っていきガシガシと掻いた。
「しょうがあるめぇ、おめぇさん、俺んとこ来るか?」
???え、今なんて?おっちゃんいい人過ぎんか?
「坊主みてぇな子供を見て見ぬフリすんのは、性にあわねぇしな」
「あのお金はそんなに持ってないんですけど」
「子供に金なんぞ、もらうわけねぇだろ」
善人か?よし、今の今までの失礼な勘違いは謝ろう。おっちゃん、ごめんなさい。
「良し、ついてこい」
「あ、ありがとうございます」
おっちゃんがスタスタと路地裏を歩いていくので、その後ろをついていく。
「おめぇさん、今までどうしてたんだ?カモにされてなかったか?」
し、心配してくれてる。や、優しい。ダメだ、さっきまでの思考のせいで罪悪感が半端ない。
「あの街の外で、野宿してました」
本当のこと言えるわけもなく、誤魔化して答えた。嘘でも無いし、大丈夫。
「ん?なら、おめぇさんはそこそこ強いのか?」
おっと、これはヤバイな。強いのは俺の回りの魔物達だし、俺なんて絹豆腐のように弱いのにこの勘違いはヤバイ。
「いえ、まさかそんなことはないです。えっと」
なんて答えたらいいんだ?




