198.閑話2
赤い実は、美味しければ美味しいほどお金になる。しかし、ノイジーはこれといった手入れはしていない。穴を掘り、魔物を埋め、育った木に水をやる。それだけだ。雑草は引っこ抜いてないし、虫だって放置している。
あまりにも追いかけ回してくるプレイヤーが多くなったので、ノイジーはそう説明した。しかし、彼らは納得しなかった。ノイジーと同じようにしても何故か上手くいかなかったからだ。そのうち、ノイジーを嫉妬から攻撃するようになる奴らもいた。反対にノイジーを守ってくれるような人達もいた。
そんな対立に嫌気がさして、ノイジーは徐々に森から出なくなり、街に行くことが少なくなった。それどころか、街に行かなくても、商人がノイジーの畑まで来てくれるというので、彼女はお金の心配をしなくても済むようになった。日用品等もその商人が調達してくれるというので、至れり尽くせりだった。
しかし、ノイジーは、農業をしたいわけではない。ノイジーは釣りがしたいのだ。
なので彼女は魔法を極めていった。
何故なら森には川がない。雨だって特殊な雨以外は降ることがない。商人にも流石に水を大量に持って来るのは無理と言われた。なら、水を作り出すのには、魔法の力が必要だった。
職業に水の魔女と表示が出るくらいに、頑張った。
そして、縦横約5m、深さ3mほどの大きな穴を掘り、そこに大量の水を注ぎ入れた。
すると、不思議なことに、空の色が虹色に変化し始め、ポツリと水を降ってきた。その雨は徐々に量が増えていく。
慌ててノイジーは雨が当たらない場所に移動した。その雨は生き物にとって毒でしかないからだ。
雨に降れた場所が結晶化していき、釣り堀の水までも結晶化していくのを目の当たりしてショックを受けるノイジー。水が全て結晶化される頃、今度は、空が真っ青に染まっていく。
彼女は不思議に思った。空が青い事なんて、ここで見たことが無かったから。
その空の青さに見惚れていた瞬間、空にひびが入った。そして、そのひびの奥から何度も打ちつけているような音と衝撃。ひびが大きくなり穴が開いた。ノイジーはあまりの恐怖に悲鳴と共に声を発した。
黒くぽっかりと開いた穴から腕がゆっくりと出てきていた。その腕は真っ黒だったが、艶めかしく、女性だと言うことが分かった。しかしその腕や手の大きさは、尋常ではない。ノイジーの作った釣り堀が覆い隠せてしまうほどだ。
黒い手が地面につくと、何かを確認するかのように、何度もペタペタと釣り堀の水の結晶を触った。
手は軽く振りかぶったと思うと、その次の瞬間、ノイジーごとその一帯を吹き飛ばしてしまった。




