188.3匹目
現実でお昼ご飯を食べてあと、鈍色の狼の体温はじんわりと暖かくなっていた。俺はその温度にホッとする。
狼の体温が何度かまでは俺には分からない。例えるなら、冬の炬燵、あるいは春の日向みたいな感じだ。
「温かくなって良かったね」
俺は仰向けの状態で、狼はその上にかぶさるように乗っている。その頭を手を伸ばしてヨシヨシと撫でた。
エリマキは、抗議の声を上げたあと、俺の首に巻きついている。エリマキから伝わってくる感情は、狼に対して気に食わないという事と怒り、それと眠気だった。
多分、この暖かさにやられて眠くなっているのだろう。それが気に食わないし、怒ってもいるという俺の予想。
俺もこの温度は眠くなる。ふぁと欠伸をする。
「クゥー」
狼が小さく鳴いた。そして、俺と感情がつながった気がした。きっと俺の従属者になったんだ。
従属者になる為に俺の意思は必要が無いのが不思議だ。いや、この狼を従属者にしたくないと言っているわけではない。ただ単純に不思議に思っただけだ。
問題は名前をどうするかだな。エリマキ、スネアテと名前的には身体につける系の名前になってる。だから、狼も似たような名前を付けるか、付けないか。もし、似た名前にすると、なんだ?えっと、こうして身体にまとわりついてくるから‥‥?なんだ?洋服?いや、それはちょっと嫌だな。
俺は、狼に名前を呼ぶ想像をしてみる。おいで洋服。‥‥うん、なんか違う。
それとは別のもの、うぅんと、灰色?グレイとか?カッコいいけど、エリマキ、スネアテ、グレイ‥‥。
なんかちょっと違和感。
だったら、ここは四文字統一の方が良いよな。‥‥四文字?なんで俺はそうやって勝手に難易度を上げてるんだ!バカじゃないのか!!
自分のバカさ加減に俺は頭を抱えた。
よし、こうなったらとっておきを使ってやる!!
ログアウト!からの召喚!!!
「エルドさ~ん!」
俺には強い味方がいる!それこそがエルドさんだ!良いだろう!
チートだ!!なんだと言われても俺は使ってやるぜ、グヘヘヘ。
俺が呼べば、エルドさんはすぐに答えてくれた。
『はい、如何しましたか?』
「あの、すみません、えっと身体を覆うようなものって名前何かありましたか?」
『衣類のことでよろしいでしょうか?』
「え、と、はい。衣類の名前で」
『でしたら、コートやマント、ジャケットや全身タイツなどでしょうか』
‥‥全身タイツ。エルドさん何故それが最後に出た?チョイスがおかしい。いや、これはツッコミ待ちなのか、それとも普通の答えなのか。そこはどうなんですか?
結局、俺は聞く勇気もツッコミを入れる勇気も無く、普通にスルーした。




