175.生け花
最初はエリマキが持ってきてくれた赤いスライムをテーブルの上に乗せた。ぷよぷよしてて、少し罪悪感が湧くけど、心を鬼にしてそのスライムに、塩の花を突っ込んでいく。花は溶けないまま、形を保っている。よし、これならいけるかもしれない。
際限なく入れていき、10つ目からは花びらが飛び出るようになり、スライムは花も拒んでいるのか、跳ね返される。
良い加減ごろだと思って上から肉を乗せて、押す。グッと、力を入れて。しかし残念ながら、カカオの非力さでは肉が跳ね返るだけだった。ので、ここは秘密兵器を使うことに。
「エリマキ~、このお肉をスライムの中に入れて?」
「ミャ!」
「壊さないように慎重にだよ!」
「みゃ」
エリマキはスタッっとテーブルにジャンプして登り、猫の姿のままで、肉に猫パンチを繰り出す。スライムを殺さないようにかなり手加減しているらしいが、素早さが尋常ではない。残像が見える‥‥。
しかし、その努力も虚しく、
パンッ
スライムはまるで風船が破裂したような音を立てて、消えてしまった。
「あちゃ~」
良い線行っただと思ったんだけどなぁ。
エリマキも頭を下げてしょんぼりしている。花は飛び散って、肉はスライムがいた場所に鎮座していた。
「大丈夫だよ。エリマキのせいじゃないからね」
ヨシヨシと頭を撫でて励ましながら、対策を考える。さて、どうしたもんか。
破裂したのは入れすぎたからだと思う。ほかに理由も見当たらないし。エリマキの猫パンチのせいではないと、思いたい。
「ハッ!先に肉を入れればいんじゃね?」
逆転の発想で、スライムの真ん中に肉を入れてから周りを花で覆えばいい。もし、そのスライムの容量が超えそうなときは、スライムの方から拒絶するだろうし。
「よし、さっそく!」
今度はスネアテが持ってきてくれたスライムをテーブルの上にのせて、塊肉を突っ込む。案の定肉は拒絶されることなかった。真ん中の方に調整して、その周りに花を挿していく。刺す、刺す、刺す!
そうしていくうちにまん丸な花のボールが出来た。
「あれ??なんか、想像してたのと違う‥‥」
俺が想像してたのは、肉の周りに花が重なっていくものだったが、けれどこれは、スライムの周りに花が刺さり、生け花のようになっている。花弁はスライムの中に入っておらず、外側に向けて咲いている感じだ。花弁のせいで肉がどうなっているのかは分からない。これは花のがくを外さなかったずぼらな俺が悪いのか?
しかし、とりあえず当初の目的である花で肉を覆うことは達成できたので、良しとしよう。
「ま、まぁ、焼いてみよう!!」
俺は花のボールを持って外に出た。




