16.食べもの?じゃねぇ!(3日目)
可愛い!どうしよう!
朝早くからログインして見ると灰色の猫がすり寄って寝ている。
昨日は、狼達を洗うことに夢中になりすぎて、うっかり強制ログアウトになるところだった。取り敢えず、狼達は湖畔に寝かせ、カカオ君もそこで雑魚寝でログアウト。
強制ログアウトになると、1日間ログイン禁止が待っている。危なかった。もしかして、先生がうろまで運んでくれたのかな?
『起きたか、こっちへ来い』
先生がこっちを覗いて、手招いている。灰色はうろに寝かせたまま、先生についていく。
「ウワッ」
死角になっていた場所に魔物の死体の山が出来ていた。血がだらだらと湖に流れて赤く染めている。
『喰え』
いや、先生喰えって言われてもですね、これはグロいと思うんですよ。不味そうですし。
狼3匹が褒めて褒めてというように、魔物の山の回りに座って尻尾を振っている。昨日の今日でこのなつきっぷり。凄いとしか言いようがない。コイツらもテイムしたのかな?
「これなんですか?」
『お前、同族喰いなのだろう?』
「そうですけど」
『じゃぁ、喰え』
「一応聞きますけど何の魔物ですか?」
『大鬼』
「えっと、大鬼族は俺と同族じゃないですよ」
『鬼は鬼だろう。喰え』
ひぃ、この理不尽さは母を思い出すぜ。反抗する気にもならなくなる。せめて、調理して料理にしたいがフライパンもなければ、塩胡椒などの調味料もない。この際、諦めよう。切れば、肉だ。目を瞑れば、ただの肉だ。
俺はストレージからナイフを取り出した。手が震える。生きてきた中でもこんなことしかこと無いんですけど!
俺は魔物の山からだらんとしている赤黒い1本の腕を掴み、ナイフを突き立てた。だが、いっこうに切れなかった。カカオ君はポンコツだったことを思い出した。もしかして、このままかぶりつかなきゃ駄目?歯も立たなかったりして。まぁ、物は試しだ。
俺は目を瞑って、骨付き肉だと思い込ませる。嫌だ?そんなことない。だってこれは、先生が俺のために取ってきてくれた肉なんだから。俺のために失われた命なら、俺が食わなきゃもったいない。
「いただきます」
口に入った肉は、チクチクと処理されていない毛が痛い。簡単に噛みきれ、血が溢れ出す。汚れるのも気にせずに、血をすすりながら口を動かす。獣臭くて、吐きそうだ。不味い、不味いが食べ物と思えば、こんな精神的苦痛、どうということはないと思う。2度目は願い下げだがな。
2口目、3口目と頬張る。串焼きの肉はもっと固く食べにくかった気がしたが、この大鬼の肉は柔らかい。何が違うんだ?ナイフでは歯が立たなかったけど、歯を立てられましたってか?
「って、なんでこんなことまでしなくちゃいけないんだ!」
ゲームだろ!?
いや、遅いって言うの止めて。うへ、骨が見えるまで食べちゃったよ。朝っぱらから何してるんだ、俺は!服も血塗れだしどーすんだ。格好のせいで街に入れなくなった気が。
そういえば、コレも生放送だよな?規制もの、放送事故じゃね?全編モザイク?うは、ウケる。
『どうだ?』
俺を凝視して、先生は訪ねた。
いや、どうだって言われても。取り敢えず、ナイフを手にとって肉に突き立ててみた。すんなりとナイフは突き刺さり、驚く。あ、ポンコツカカオ君がはじめて攻撃できた。喜んでいいのか悪いのか。
ステータスが改善されたってことか。で、これは何時まで続くんだ?ずっとなわけじゃ無いよな。ポンコツだし。
『大丈夫そうだな。·····行くぞ』




