12.俺に、似てる?
頭を庇うように抱えて、スキルを使い続ける。すると、1匹のスライムが近づいて来るのに気づき頭をあげた。
「先生····」
そこには、青色のスライムがブルブルしていた。あ、これもしかして····。
予想通り先生はぶっ飛び、俺の顔面に当たる。崩れ落ちるように横たわり、俺はスキルも使用できない役立たずになった。この仕打ちは酷すぎません····?
先生は俺を置いて、うろを出ていき、スライムが積もって山のようになっている場所に向かった。
「きも····」
思わず、口に出てしまったが、本当に気持ち悪いんだ。スライムがわちゃわちゃと集まってキモい。月明かりでライトアップされているが、全く幻想的ではない、キモい。
そんなこと思ってたら、もっとキモくなった。スライムの山のてっぺんから人らしき手が生えてきていた。手は、右腕になる。スライムの山は小さくなり、右腕は地面に手をついて、スライムの山から這いずるようにして頭が出てきた。頭が出ると次は肩、肩の次は左腕と、スライムの山が小さくなるごとに、人に近づいていた。
って、俺に似てね?俺といってもぽんこつカカオ君のほうだけど。似てるんだけど、なんか美化してる。何故····?似てるのもそうだが、何故、人型に?
スライムがいなくなると、人型は立ち上がった。髪は白髪で、毛先だけが少し黒い。痩せすぎず、太ってもいない。隈もないし、健康良児って感じだ。青い瞳がキラリと光った気がした。素っ裸なのは、気にしないでおこう。うん、男ですね。どこを見たかはご想像にお任せします。
人型は、まるで確かめるようにジャンプをしたり、体を見回している。
「グゥウ"ゥ」
獣は近くまできていた。そのうなり声が聞こえる。
瞬間、人型から嫌な気配がした。殺気ではない別な、言うなれば不躾な蔑んだ視線。多分、広範囲のヘイトを稼ぐスキルだ。
そのスキルを浴びたであろう獣達は物陰から飛び出して、人型に襲いかかる。人型よりも体が数倍大きく、黒いもやが体を覆っている。
1匹をジャンプしてハイキックで落とし、腕に飛び付いた獣は逆の手で殴り落とす。肩に噛みついた獣は力付くで引き離し、地面に叩きつける。意外にも人型の肩に傷はなかった。強すぎだろ、おい。
ある意味同情せざるおえない倒れた獣達は、もぞもぞと動きはするが、瀕死状態なのだろう。立ち上がったり、歯向かおうともしなかった。他の4匹は3匹がやられると、遠吠えして、逃げようとしていた。人型は落ちていてた枝を拾って、投げる。
「キャインッ」
獣の1匹に刺さり、倒れた。刺さったままの獣を置いて、残りの3匹は逃げた。
人型は枝が刺さった獣を引きずり、うろの中に放り投げた。俺は獣の下敷きになる。外で倒れた獣達も同じ引きずりながら、うろに突っ込んでいく。視界は、瀕死の獣達で真っ暗になった。
スライムってこんなに強かったのか?あの人型は何がしたいんだ。スライムは収集家だとすれば、勝利品はうろの中に突っ込む理由もわかるが。てか、意図せずモフモフに囲まれている。いや、モフモフというよりはチクチクだな。臭いも酷いし。洗ってやりたい。モフモフにしてやりたい。その前に、苦しそうに唸っているので獣の傷をどうにかしてほしい。先生ー!あの草、ください。食べさせてあげてください。
獣達の合間から手を伸ばせたので、手を動かして先生に気づいてもらおう。気づくかな。
パタパタと動かしていたら、手首を捕まれる感覚があったので気づいてもらえたらしい。そのまま手首を引っ張られて、引っこ抜かれた。ずるずると引きずられて、別のうろに置かれる。
いや、そういう意味で動かしてた訳じゃないんだけど。まぁ、圧迫感が無くなったので、良しとしよう。区切りも良いので、ログアウト。




