13.ピザッー!
9時頃になっても、食堂は混んでいた。俺も販売機にならび、順番を待ちながら観察する。
意外と、固まりになって食べているらしい。フムフム、美形もまぁまぁいんだな。····うへぇ、奥のほうに厄介そうな奴がいるよ。
テーブルに足をかけて、ギャハハと下品に笑う男達。あーいうのには関わりたくないな。見なかった事にしよう。
ようやく俺の番になった。素早く決めなくては、時間をかけてはいけない。頑張れ、俺。何時もの優柔不断は捨てるんだ。パッと目に入ったものを押す。出てきた紙を拾い確認する。待ち時間、長そうだな。
俺が押したのは、『日替わりイタ飯』というやつだ。ピザか?ピザなのか?ピザ出てきてくれ。俺のリアルLUKじゃ、厳しいかも知れないが希望は捨てんぞ。
まばらになっていたイスに座り、時間潰すためにさっきの事と人型スライムの事を考える。
先生が俺に一撃食らわしたのは、俺のスキルが邪魔だったんだろう。やる気になったのが空回ったな。本当に俺は運が悪いというか、バカというか。
あの人型は、一体何Lvなんだ?だって、あの獣達を一撃で沈めていたぞ?もしかしたら、Lvが低かったのかも知れないが。それでもスライム単体だったときは勝てる強さなはずだ。じゃないと、獣達も襲ってこないもんな。
「おい、パシリ、早くとってこいよ!」
食堂に大声が響き、思考を中断させる。声の主を見ると、やはり奥の集団だった。ひょろながの男の背中を一人が蹴っ飛ばしていた。それ見てゲラゲラと笑って取り巻き達。
俺は見て見ぬふりしかしない。俺が止めようとすれば、巻き込まれるし、何の役にも立たない。彼らの関係を壊してしまえば、今後、彼がDWMで一人になるかもしれない。俺は未だに先生のところから抜け出せないし、ボッチの俺が彼を頼る相手も探せない。責任が持てないなら、行動をするべきではない。
と、ここで俺へアナウンスが入る。気分を切り替えて、さっさと夕食を食べて再開しよう。
俺は立ち上がり、カウンターに向かう。
「お、おぉ!」
トレイに乗せられた料理に目を輝かせる。ピザが!ピザがある!これはマルゲリータか!珍しく、運は俺に味方したのだった。
トレイにはピザ、トマトのスープ?、トマトとチーズと葉っぱのオイルがけ的なものが乗っていた。俺はトレイを持って席につこうと歩いた。
「いい加減にしなさい!聞いていれば、侮辱した発言ばかり!恥ずかしくはないの?今すぐこの人に謝りなさい。」
女性が蹴っ飛ばした男のほうへかけよっていった。黒の長髪が美しい、燐としたキャリアウーマンのような女性。
「女が俺に指図すんじゃねぇ!」
「僕は大丈夫ですから」
「大丈夫という事はないでしょう。きちんと言わなければ伝わらないこともあります」
スゲー、体格差が一回りもあるのによく歯向かう気になるな。
「貢献度2位だからって調子に乗りやがって!」
あの美人さんが2位のサクラさんなのか。顔も良くて攻略も出来るなんて天は二物を与えるんだな。
そう思いつつも、女性の後ろを通りすぎようとした。
「てめぇなんか、さっさと止めちまえ!」
ドガっ
えっ?
その言葉と共に横から衝撃を受けた。ゆっくりとスローモーションでピザがずり落ちていく。
「ピザーッ!」
スープもトマトも食器もろとも仲良く床に落ちた。
俺のピザは何も悪くないだろう!何故、ピザなんだ!狙うなら俺一人で良かっただろう!?関係ないピザを巻き込むなよ!




