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第六二話 王城へご招待


 俺たちが王城へ向かう日がやってきた。

 俺は約束通りに、迎えが来る時間までに、スフェーンの元を訪れ、隠蔽魔法を施して貰った。


「それにしても、スーちゃんの魔法技術って凄いよねっ。仮面を取っても、ただの少年にしか見えないよっ」


 仮面を外している俺を見て、感心しながら陽は言う。


 俺はスフェーンの隠蔽魔法によって、どこにでもいそうな少年へとなっている。まぁあくまでも空間を歪めて誤認させているだけなので、額に触れると、確かにそこには中鬼族(ホブゴブリン)特有の角が生えているのが判る。


「まぁ触られなければ、判らないしな。それでも一応、仮面は着用しておこうと思っているけど」


 隠蔽魔法はあくまでも保険だ。出来る事なら仮面を外すことはしたくない。


 他愛無い話をしていると、どうやらお迎えが来たようだ。ボロ宿のチェリーパイの前に、豪奢な馬車が止まるのが、「魔力察知」で視えた。


 あの魔人との激闘を経て、俺の存在値も上昇し、「魔力察知」の範囲を増大した。ただ、残念ながら、昇華(クラスアップ)はしていないので、未だ中鬼族(ホブゴブリン)のままである。


 俺らが定宿を出ると、そこにはスッと背筋が伸びた執事風のおじさまが待っていた。


「お迎えに上がりました。リュウヤ様、ソフィ様、ヒナタ様、セツナ様」


 俺らの事を視認すると、執事風の男は慇懃に腰を折った。その所作はまさしく一流で、少し気後れしまう俺たち。

 指示されるままに馬車に乗り込むと、カタコトと小気味良い車輪の音を響かせながら、ゆっくりと馬車は走り出す。


「はぁ~馬車の外見からある程度想像していましたけど、内装もすごく豪華ですね」

「だね~。あたしたちが使っていた馬車とは、ミジンコと蟻だよっ」


 陽よ……ミジンコと蟻って……そこは月と鼈とかじゃないのか?


 今は馬車の中には俺たち四人しかいない。どうやら先程の執事風の男性は、御者であったようだ。御者でありながらも一流の所作である辺り、流石国お抱えの使用人だ。


 王城に辿り着くには結構な時間を要した。王城だからこそ街の中心部にあるのかと思っていたが、どうやら北東の端に位置しているようだ。


《マスター、何を今更当たり前のことを言っているのですか。第一のこの迷宮都市の中心部には、迷宮(ダンジョン)があるのですよ? 危険がある場所に城を構えるはずもないでしょう》


 今日も今日とて、相も変わらずラファは辛口である。


 俺の手首に嵌められた銀の腕輪はただの装飾品ではない。この腕輪は知性保有型魔宝具(インテリジェンス・アイテム)と呼ばれる一級品の魔導具。名前の通り知性を宿す世にも奇妙な魔導具なのだ。

 この脳裡に響く俺だけにしか聞こえない声は、この知性保有型魔宝具(インテリジェンス・アイテム)によるもの。特殊能力(エクストラスキル)「鑑定」を有し、色々と無知な俺のサポートをしてくれている。因みに、大層口が悪く、以前少し頭にきて、外そうとしたのだが、何故だか判らないが、外れない。一度装備したら最後。呪われし魔導具なのである。


《念の為お伝えしておきますが、某ゲームのように、教会で呪いを解くことは出来ませんからね》


 そして、この知性保有型魔宝具(インテリジェンス・アイテム)ラファは俺の精神とリンクしており、元の世界の知識も、俺の記憶を通して学んでいる。


「到着致しました」


 丁寧な御者の言葉を受けて、俺らは馬車を降りる。すると、陽が感嘆したかのように、ほえ~と口を半開きにした。

 その陽が見上げる先には、立派な王城が。壮麗な外観はまさに中世の城だ。ついつい、その外観に圧倒されてしまう。


「こちらへ」


 どうやらこの御者が案内をしてくれるようだ。防備を固める多くの兵士たちが、サッと敬礼を御者に送っていることから、この男性はもしかすると、位の高い人なのかもしれない。


 外見の雄大さもさることながら、内装も豪華絢爛だ。赤いフカフカの絨毯が敷き詰められ、壁には高そうな絵画が。調度品も素人目の俺でも判る程、高価な代物であった。


「ほんと、すごいねっ。まるでお姫様になった気分」


 陽は王城に着いてから、興奮しっぱなしだ。せつなも興味津々なのか、キョロキョロと辺りを見回している。

 ただ一人、ソフィだけはずっと浮かない顔だ。


「どうしたんだ、ソフィ。体調でも悪いのか?」


 俺がそっと小声で訊くと、ソフィは暗い表情のまま、首を横に振った。


「いえ、体調が悪いという訳ではないのですが……わたし、このような場所に居てもいいんでしょうか?」


 ソフィが今にも泣きそうな弱り切った表情で俺を見た。


「当り前だろ。招待されたんだから」

「で、でも……わたし、狼人族(ライカンスロープ)ですよ?」


 ソフィの言葉で全てを理解した。


 人族(ヒューム)至上主義を掲げる聖国で、辺境とはいえ、ソフィはそこで生まれ育った。普通、聖国領内で亜人族(デミヒューム)が安全に生きていく事は出来ない。奴隷にされるか、殺されるかの二択だ。

 それでもソフィがここまで安全に……とは言い難いけれど、元気に育ったのは、聖国の辺境村であったからという理由と、その村の危機を救ったセシルの娘だという事が理由だ。


 しかし、ソフィは村民たちに無視され続けた。それは聖国の悪しき風潮があったから。村民も聖国による処罰を恐れた結果、ソフィは幼き頃からずっとその存在を無視続けられてきたのだ。

 理由があったからといって、それはソフィの心に深い傷を付けてしまった。今ではミンナのように、ソフィに気安く話し掛けてくれる者もいるが、幼き頃に負った孤独と言う名の傷は深く、そう簡単に癒えるものではない。


 俺はそっとソフィの手を握った。余程、緊張しているのだろう。その手は物凄く冷たかった。


「心配するなよ。何が起っても俺が何とかしてやるから」


 ソフィに安心させるように言うと、繋いだ手をキュッと握り返してくる。


 ソフィはどうやらこの後に開かれる祝賀会に不安を感じているらしい。だけれど、俺はそこまで心配していない。

 人族(ヒューム)至上主義の風潮が強かったのは、聖国近隣だけだ。この迷宮都市国家アトリニアでは、数多くの亜人族(デミヒューム)が冒険者として活動しているし、亜人族(デミヒューム)に寛容的な国だといっていい。


「あっ、フィーちゃん、りゅうちゃんと手を繋いでるのっ?」

「え、あ、そ、それは……」


 陽に指摘され、慌てるソフィ。そんなソフィのもう一方の手を陽は握った。


「なら、あたしも手繋いじゃおっと」


 ニコニコして微笑む陽。あぁ、陽はソフィの不安を感じ取ったんだな。これが陽の良い所だ。

 ソフィもそれに気付いたようで、小さく「……ありがとうございます」と呟いていた。


「あ、あの……私は……」

「せっちゃんも手繋ぎたいのっ? なら、りゅうちゃんの片手が空いているよっ」

「え、えっと……先輩……いいですか……?」


 少し緊張気味なせつなはおずおずと手を差し出した。薄っすら頬が赤く染まっている。


 はぁ~……皆で手を繋いでいたらおかしいだろうけど……そんな上目遣いで見られると、何とも断りづらい……。


 俺がサッとせつなの手を取ると、せつなはますます顔を赤らめた。そんな初々しい反応に、こちらまで何故だか緊張してしまう。

 ふと、視線を感じて振り向けば、陽がニヤニヤと笑って俺を見ていた。うん、後で仕返ししてやろう。


 御者の案内に従って付いていくと、見上げる程大きな木扉の前へやってきた。


「こちらが会場でございます」


 御者はそれだけを口にすると、視線で木扉の左右に控えていたメイドに合図し、扉を開けさせた。

 中は、軽く二〇〇人は収容できそうな広大なホールであった。内装は華美な調度品に彩られ、やはり豪華絢爛である。


「あっ、美味しそうな匂いがすると思ったら、ご飯もあるんだねっ」


 陽があっと声を上げた。どうやら陽は食いっ気の方が強いようだ。そんな普段通りの陽を見ていると、場違いな壮麗な雰囲気に当てられ、緊張していた俺も、少し肩の力が抜けるようであった。


「今回の祝賀会では、立食形式を採用しております。まだ開催時刻にはなっておりませんが、お好きなように召しあがって下さいませ」


 脇に控えていたメイドがそう俺たちに告げる。それに陽は、ちょっぴり居心地悪く、あはははと愛想笑いを浮かべていた。

 広大なホールには、まだそれほど人が集まっていない。まぁこれから順次会場入りしていくのだろうし、お先に飯でも頂くとするか。何せ、市井では味わえないような豪華な料理が並んでいるしな。


 各々好きな料理を更に盛り付け、壁際に移動し、食すことに。

 ステーキに、スープ。中にはスパゲッティもあった。懐かしい気分で口に運ぶと、なかなか美味い。流石は王城で饗される料理だ。


「ん~! 美味しいっ! これだけで、今日来た甲斐があったよっ」

「わたしも、こんなに美味しい料理は食べたことがありません」

「……美味しいね」


 三者三様、豪華な料理に舌鼓を打っている。食事に夢中になっていると、誰かが俺たちの方へ近付いてくる気配が。ステーキを頬張りながら眼を向けると、そこには見知った顔があった。


「あ、ユニウスじゃんか。モグモグ、久しぶりだな、モグモグ」

「ええ、お久しぶりです、リュウヤくん。それにソフィさん、ヒナタさん、セツナさん」


 にこやかに微笑みながら、ユニウスは俺と違って、礼儀正しく皆に挨拶をした。


「久しぶりですね、ユニウスさん。それにマルクさんも元気でしたか?」


 食い意地を張る俺と陽に代わって、ソフィがユニウスたちに挨拶を返していた。その様子をみながら、俺と陽はバクバクと豪華な料理を次々と口に運んでいく。

 ソフィに返事をしたユニウスが、俺たちの方へ視線を向けると堪らず苦笑を零す。その後ろでまるで従者のように付き従っているマルクは無言で冷たい視線を俺に向けている。


 何だか居た堪れなくなり、ゴクリと飲み込むと、名残惜しくも料理を傍のテーブルに置いた。因みに、陽は気にすることも無く、引き続き舌鼓を打っている。


「ユニウス、治療院に行ったんだっけ? どうだ? その後の調子は」

「あぁ、二、三日安静にしていたら、治りましたよ。今では痛みも違和感もないですし、迷宮(ダンジョン)にも入っています」

「それは良かった。でも、もう迷宮(ダンジョン)に潜っているなんて、すごいな。俺たちはあれからまだ一度も行ってないや」


 あの満月の夜事件以来、俺たちは未だ迷宮(ダンジョン)には潜っていなかった。まぁあの日までは、毎日のように潜っていたし、少し急ぎ過ぎた感があった。だから、しばらくは休養をすることにしたのだった。


「皆さんに置いて行かれたくはありませんからね。僕ももっと頑張らないとって思いまして。あ、そうそう。皆さん、この度のゴールドクラス昇級おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 ソフィは代表してにこやかに答えた。因みに、陽はまだ料理にがっついている。


「置いて行かれたくないって、ユニウスたちも昇級したんだろ?」

「ええ、シルバーに、ですけど」


 苦笑しながらも、どことなくユニウスは嬉しそうだった。その首元にはシルバーのプレートが輝いている。


「ん? 何だ? 坊主たちは早くから来てたのか」


 ユニウスと談笑していると、大柄な男性が俺たちの方にやって来た。


「バルバトスさん、こんにちは」

「おう。ちぃとばかり、シャロンの奴に急かされて、早めに来ちまって後悔してたところだが、まぁ坊主たちがいるのなら、案外暇にならずに済むかもな」

「あれ? シャロンさんも来ているんですか?」


 俺はバルバトスに思わず聞き返してしまった。何せバルバトス以外、ホールにはシャロンたちの姿が見当たらなかったからだ。


「あぁ、あいつは男漁りに行ったぜ。婚期を逃した年増には、絶好の狩場だからよ」


 ゲラゲラと笑うバルバトス。というか、シャロン……男漁りに行ったのか……何だか身の危険を感じてしまう。


「あ、あのっ。バルバトスさん、先日はありがとうございましたっ」


 陽が決して離そうとしなかった皿を脇に置き、勢いよくバルバトスに頭を下げる。


「ん? 何の事だ?」


 バルバトスに思い当たる節は無いのか、小首を傾げている。


「ひどっ! この前、あたしに剣術を教えてくれたじゃないですかっ! バルバトスさんが会議を抜け出――」


 ブワッと一陣の風が吹いた。見れば、バルバトスがいつの間にか陽の口を塞いでいる。


「お、おい、嬢ちゃん!? そこから先は言うんじゃねぇぞ! 俺が会議を抜け出した事がバレちまったらヤバいだろ!」


 凄い剣幕で陽に言うバルバトス。陽は口を手で塞がれたまま、うんうんと頷く。


「ほぉ~、そんなことがあったんですかぁ~」

「あぁ。クソつまらない会議でよ。連中には体調が芳しくないって仮病を使ってだな」

「仮病ですかぁ~なるほどぉ~」

「そうだ。だから職員にバレちまうとちと厄介で――」


 そこまで言ったバルバトスは、ふと口を噤んだ。そして、ゆっくりと振り返ると、思いっきり目を見開いた。


「な、な、なんで、ここに、チャーチルがッ!? 冒険者の為の祝賀会だったはずじゃ……」


 眼鏡を掛けた神経質そうな痩せた男性は、冒険者組合職員であるチャーチルだ。このチャーチルも俺たち同様、あの満月の夜に迷宮(ダンジョン)に閉じ込めれられた一人だった。


「ええ。バルバトスさんのおっしゃる通り、今回の祝賀会は、あの満月の夜を乗り切った冒険者の慰労を兼ねたものですよ。ただ、この祝賀会の主催はアトリニア王となっておりますが、冒険者組合も協力させて頂いているのですよ」


 チャーチルは眼鏡をクイッと持ち上げる。何だかキランと妖しく光ったような気がする。


「私がこの会を指揮する様に仰せつかっておりますので、先んじて会場に足を運んでいるわけですが……そこでかの有名なミスリル冒険者のバルバトスさんの姿が見えましたので、少しご挨拶をと思いましてねぇ」

「お、おう……そうだったのか。ず、ず、随分と仕事熱心だな」

「えぇ、私はバルバトスさんと違い、不真面目ではありませんから。あぁそうそう、バルバトスさん。私は今何やらとても耳を疑う様な話を聞いたのですが?」

「そ、空耳じゃないかなぁ~なんて、あははは」

「そうですよね。あの高潔で清廉なバルバトスさんともあろう方が、とてもとても重大な会議を抜け出すなんてあり得ませんよねぇ~」

「あ、あぁ。そ、そんなことする訳ないじゃないかぁ。い、嫌だなぁ~チャーチルくんも」


 バルバトスが作り笑いを浮かべ、ポンポンとチャーチルの肩を叩くが……チャーチルの眼は物凄く冷たいものだった。


「そうですよねぇ~。あ、今思い出したのですけれど、ある資料が未だまとめられていないのですよ。確か……どこかの不真面目な方が、突然いなくなったとかで……」


 そこまでチャーチルが言うと、冷や汗を流すバルバトスは、即座に逃走を図ろうとした。のだが……。


「確保ッ!」


 チャーチルが叫ぶと同時に、控えていた職員が一斉にバルバトスに躍りかかった。とはいえ、バルバトスはインクウェルにいるたった一人のミスリル冒険者。冒険者組合職員如きでは捕まらない――はずだったのだが……。


 ブフォンと突風が吹いたかと思うと、大柄なバルバトスは吹き飛ばされ、壁へと磔にされる。


「観念しなさいっ、バルバトス。貴方が仕事をサボったせいで、色んな人に迷惑を掛けているのよっ! 祝賀会が始まるまで、チャーチルの仕事を手伝いなさいっ!」


 バルバトスにも物怖じしない勝気な口調。


「シャロン……裏切ったのか……」


 バルバトスは未だ壁へと磔にされたまま、不機嫌そうに唇を尖らせる。

 職員の後ろから姿を現したのは、金髪ストレートの魔術師――シャロンだった。


「裏切ってなんかないわよっ! 貴方の代わりに色々と手伝っていたのは、私よっ。感謝してもらいたいぐらいだわ」


 シャロンはプンプンと怒っているようだ。美女が怒ると何だか怖いな……。というか、男漁りに行ったわけではなかったんだな。


 渋々、バルバトスは組合職員に連行されていく。その背中は物凄く悲しそうで、ドナドナの曲が聴こえる様だった。


「ハァ~、バルバトスには振り回されてばかりで、ほんと嫌になっちゃうわ」

「ガハハッ。それでも甲斐甲斐しく世話を焼くのはどこのどいつだい?」

「仕方がないじゃない、ブリストン。あの人の評判が落ちたら、困るのは私たちなんだから」


 シャロンが振り返ると、そこにはボールの様な体格のブリストンが楽しそうに笑っていた。クロマもその隣にいる。


「貴方たちもごめんなさいね。情けない所を見せちゃって」

「いえ、別に気にしてませんから。バルバトスさんが会議をサボったのがいけないことですし。でも、あんまり責めないで下さいね? あたし、バルバトスさんに色々とアドバイスを頂きましたから」


 済まなさそうにしているシャロンに、陽がそう言った。


「へぇ~あのバルバトスがアドバイスをね……ヒナタはあの人に気に入られたみたいね。あ、勿論、剣士としてよ? あの人、女に全く興味が無くて、恋愛とか無縁だから」

「も、もしかして……び、BL……」


 せつなよ……一度のお前の頭の中が見てみたいわ。……いや、やっぱりいいや。何だか怖いし。


「それにしても、久しぶりね。貴方たち元気にしていた?」

「まぁ、ぼちぼち。俺たちはこの一週間休養してましたから。ユニウスとマルクは迷宮(ダンジョン)に潜ってたみたいですけど」

「へぇ~もう迷宮(ダンジョン)に行っていたの? ユニウス、あんな事があったのに、怖くないの?」


 シャロンがユニウスに訊ねた。


「ん~、怖くないと言えば、嘘になるかもしれませんね。でも、負けてられないですから」

「うふ。負けず嫌いな男って素敵だと思うわよ」


 シャロンがペロッと唇を舐めた。それに本能的に危険を感じたのか、ユニウスは愛想笑いを浮かべ、マルクの後ろに隠れる。まぁ俺もサッと、シャロンから距離を取ったんだけれど。


「まぁ時間もあるし、お喋りでもして待っていましょうか」


 開催時間にはまだ早い。ぼちぼちと会場入りしている冒険者の姿も見受けられるが、しばらくは待ち時間だ。

 シャロンたちのような上級冒険者の話を聞くのも良い機会だな。でも、シャロンさん? なんで、俺に腕を絡めているのかな?



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