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赤の空  作者: 岩
エピローグ
53/53

そして旅の始まり

 ある朝目覚めるように、ファナは旅に出たくなった。それが昔の自分の想いなのか、とか、そんなことは欠片も考えなかった。


「ねぇそのりあ。ここを出よう」


 まるで必然であるかのように、そう言った。父とも母ともいえないその青年は、困ったようにあきらめたように苦笑した。


「‥‥言うと思った。でもね、ファナ。僕は行けないんだ」


「どうして?」


「無理なんだ。僕は、大地に根を張っているから。いつの間にか、僕もまた違うものに生まれていたんだ」


「・・‥なんで?」


 ファナはソノリアの足元を見た。根を張っている、と言うけれど、彼は歩き回ってはいなかったか?


「‥‥ここは、マナファナがいたからね。僕は行けないよ、ファナ。僕ら、もう一度生まれようか?」



 そう言ったソノリアを置いて、ファナは旅に出た。きっとまたいつか会える。と、それは確信だったから、淋しくはなかった。


 旅の空を見上げる。それはどこまでも青く、青かった。


 大地には緑が溢れ、それは美しい世界だった。

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