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そして旅の始まり
ある朝目覚めるように、ファナは旅に出たくなった。それが昔の自分の想いなのか、とか、そんなことは欠片も考えなかった。
「ねぇそのりあ。ここを出よう」
まるで必然であるかのように、そう言った。父とも母ともいえないその青年は、困ったようにあきらめたように苦笑した。
「‥‥言うと思った。でもね、ファナ。僕は行けないんだ」
「どうして?」
「無理なんだ。僕は、大地に根を張っているから。いつの間にか、僕もまた違うものに生まれていたんだ」
「・・‥なんで?」
ファナはソノリアの足元を見た。根を張っている、と言うけれど、彼は歩き回ってはいなかったか?
「‥‥ここは、マナファナがいたからね。僕は行けないよ、ファナ。僕ら、もう一度生まれようか?」
そう言ったソノリアを置いて、ファナは旅に出た。きっとまたいつか会える。と、それは確信だったから、淋しくはなかった。
旅の空を見上げる。それはどこまでも青く、青かった。
大地には緑が溢れ、それは美しい世界だった。




