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赤の空  作者: 岩
旅の始点
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7.

 つぶさは狂ったように嗤い続ける。それでもやはり恨めない。哀しいと思うだけで、マナファナは彼女を否定できないのだ。


「世界を救うために?おばかさんね。あなた死にたいだけなんじゃないの?」


 それは明らかな嘲笑。そして‥‥敵意。


「あなたは自殺したいだけなのね。おばかさんね」


「‥‥そんなこと‥‥!」


 彼女がもうまともな思考をしていないことは分かっている。それはいつからだったのか。剣を己に突き立てたときか、その前からか。それとも100年の眠りが彼女を狂わせたのか。それでも叫ばずにはいられなかった。


「そんなことない。私は生きたい、生きていたい!生きたかったし生きている、これからだって生きていたいんだ」


 それはまったくの本心だった。そのはずだった。だってこの場所に立つことは、それは安堵もしたけれども、それでも身体は震えるのだ。死の予感に怯えている、そうだ、その傍らにソノリアの存在がなかったら多分、折れていた。


 それなのにつぶさは嘲笑う。


「そう言って死んでいくのね」


 そうじゃない。そうじゃないんだ。


 マナファナは言い募ろうとしたが、唐突にそれはもう無駄なのかもしれないと察した。いや、分かっていたのだ。意識が覚醒する前、ぼんやりと視線を交わした時から、分かっていたような気がした。

だから、彼女の嘲笑う声を無視して、再び声をかけた。


「‥‥つぶさ、さん」


 はじめて敬称を付けた。自分はシフォではないのだ、と、それを宣言するために。


「‥‥何‥‥?」


 マナファナの意図を分かっているのかいないのか、ぴたりと哄笑は止んだ。


「貴女は‥‥どうします?

 あれが貴女の狂気であろうと、人間の罪であろうと、何であろうとまだ世界は救われていない。生命が足りないんです。まだ」


「‥‥何が‥‥言いたいの?何を、言うの?」


「‥‥私は死にに来ました。祖母にできなかったことをするために。

 貴女はどうします?」


 はっきりと己の死を口にする。ソノリアの顔は見ない。見たら迷ってしまうから。そんなことくらい分かっていた、だって、マナファナはシフォとは違って生命に飽きてなんていない。だから死ぬのは怖い。怖くてたまらないけれど、それでも。

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