↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら村人だったのに、なぜか全スキル使えました  作者: コンペイ党


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/126

第28話「噂の火消し」


噂が広がり始めてから一週間ほど経ったある日、教室に入ってきたシャルロットが、どこか得意げな表情を浮かべていた。


「聞いて頂戴。例の噂の件、少し動きがあったわ」


「動き?」


ニコラスが尋ねると、シャルロットは扇を優雅に広げながら説明を始めた。


「私、実家の伝手を使って、学園内の噂の出所を少し調べさせたの。案の定、発信源を辿ると、レイモンド家と繋がりのある数人の生徒に行き着いたわ」


「マジかよ、シャルロット、そんな調査までしてくれてたのか」


ルーカスが驚いたようにそう言うと、シャルロットは涼しい顔で肩をすくめた。


「あなたたちが困っているのに、黙って見ているわけにもいかないでしょう」


その言葉に、ソフィアも小さく頷いた。


「私も、少しですけど、力になれることがあればと思って……。噂を耳にした時、それとなく否定するようにしていました」


「二人とも、ありがとう」


ニコラスが素直にそう礼を言うと、シャルロットは扇の陰でわずかに頬を緩めた。


「それで、その噂の出所が分かったなら、どうするんだ?」


フェリックスが尋ねると、エドワードが答えた。


「証拠として、グレイソン先生に報告する。学園内で根拠のない噂を意図的に広めることは、校則でも問題視される行為だ」


「エドワード様、話が早いですね」


「当然だ。こういう時のために、規則というものがある」


そう言い切るエドワードの様子に、周囲は思わず頬を緩めた。


その日の放課後、一同は再びグレイソン先生の元を訪れ、これまでの経緯と、シャルロットが調べ上げた情報を報告した。話を聞き終えた先生は、深く息を吐いた。


「……分かった。この件は、学園として正式に対応する。噂を広めた生徒たちには、然るべき指導を行う」


「先生、ありがとうございます」


「礼を言われるようなことではない。生徒同士の不当な妨害行為を見過ごすわけにはいかない、それだけのことだ」


グレイソン先生はそう言うと、少しだけ表情を和らげた。


「それに、ローウェル。お前がこうして、一人で抱え込まずに周りに相談できているのは、良いことだ。それも含めて、お前の成長だと思う」


その言葉に、ニコラスは少し照れくさそうに頭をかいた。以前の自分だったら、こうした問題を一人で解決しようとして、余計に事態をこじらせていたかもしれない。仲間を頼るということの大切さを、この一件を通じて、改めて実感していた。


数日後、学園内での噂は、目に見えて下火になっていった。関与していた生徒たちへの指導が行われたことに加え、シャルロットとソフィアが、それとなく事実を正す働きかけを続けたことも大きかった。


「あの噂、もうすっかり聞かなくなったな」


廊下を歩きながら、ルーカスがそう呟いた。以前は聞こえてきていた陰口も、今ではすっかり鳴りを潜めている。


「なんとか、一段落したみたいだな」


放課後の教室、ルーカスが安堵の息を漏らしながらそう言った。


「まあ、これで全部終わったとは思えないけどな」


エドワードが慎重にそう付け加えると、フェリックスも頷いた。


「レイモンド家のことだから、また別の手を考えてくるかもしれないってことだよな」


「その可能性は、十分にある。だが、少なくとも今回は、僕たちの勝ちだ」


エドワードの言葉に、ニコラスも小さく笑みを浮かべた。


「うん。それに、こうしてみんなが力を貸してくれたこと、本当に嬉しかった」


その言葉に、シャルロットが扇を軽く振りながら答えた。


「当然のことをしたまでよ。仲間が困っている時に、力を貸すのは」


「私も、少しでも役に立てて良かったです」


ソフィアも柔らかく微笑んだ。


窓の外には、久しぶりに晴れやかな青空が広がっていた。学園を取り巻いていた不穏な空気は、まだ完全に消え去ったわけではない。だが、こうして仲間たちと共に一つの困難を乗り越えたことは、ニコラスにとって、また一つ、確かな自信となっていた。


「よし、この調子で、これからも頑張っていこうな!」


ルーカスの明るい声に、教室には温かな笑い声が広がった。


「そういえば、シャルロットさんの調査能力、探偵みたいでしたね」


ソフィアがそう言うと、シャルロットは扇を優雅に閉じながら微笑んだ。


「あら、光栄な評価ね。今度から『麗しの探偵』とでも名乗ろうかしら」


「その名乗り、絶対誰も呼んでくれないと思うけどな」


フェリックスの容赦のない突っ込みに、シャルロットはむっとした顔をしながらも、周囲の笑いに巻き込まれていった。


「まあ、名前はともかく、本当に助かったよ、シャルロット」


ニコラスが改めてそう礼を言うと、シャルロットは満更でもなさそうに頬を緩めた。


「次に何かあったら、また頼ってちょうだい。あなたたちのためなら、いくらでも力を貸すわ」


その言葉に、教室にいた全員が、それぞれに温かい気持ちを噛みしめていた。学園二年目の物語は、こうしてまた新たな一歩を踏み出していった。


(第29話へ続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。