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242.ジャングル大帝・・・?

 

 ベアちゃんにフガフガと嗅がれ、その鼻先で転がされつつペロロンと舐められていた私は、ベアちゃんのお尻にかじりついたままの黒ヒョウのお母さんに「だいじょうぶ、この子は私の仲間なの!」と、にゃぁにゃぁと懸命に伝えてみる。


 その言葉が通じたのかは分からないけど、私を見て危害を加えられていない事が理解できたのか、ようやく黒ヒョウさんはベアちゃんから離れて牙を納めてくれた。・・・といってもまだ少し唸っているから警戒はしているようだけど。


「ぷぎ? ぷぎぃー?」


 ・・・なんとなくだけどベアちゃんに「ケガはない? どうしてここに?」と聞かれているような気がする。

 いや、ベアちゃんこそ今までどこに居たの・・・。そもそもは、貴女が迷子になっちゃったから私たちが迷宮に捜しに来たのよ? まぁこうして無事に再会できたから良いのだけれど・・・。

 でもまさかこうして黒ヒョウさんの巣で再会できるなんて思わなかったよ・・・これも鉄砲水に流されたお陰になるのだろうか。


「ぷぎぃ?」


 んー・・・「ほかの皆は?」とか聞かれたのかな。

 私も早く皆と合流したいけど・・・あ、でもロア達がそろそろ近くに来ている気がする。

 そんな魔法具の反応に周囲をキョロキョロしていると、下草のみっしりと生えた場所をかき分けてミケネーさんがひょっこりと顔をだした。


「おぉ、やはりここでしたか! ご無事でなによりですが、心配しましたぞ!」


 そう言ってミケネーさんが先頭で現れたら、後ろから次々と子猫さん達が顔を覗かせた。


「りさちゃん!!」

「ぴゅーっ!(ママー!)」

「リサちゃん、心配したわ」

「・・・ぶじでよかった」

「あ、ベアちゃんもいる!」

「ほんとだ! ベアちゃんだ!」


 そういって私に突撃してくるヴィーちゃんやグレンたちに、心配かけてごめんね、とペロペロとお詫び舐めをしたり、頭をスリスリしていると、皆が出てきた草むらの少し離れた所からロアとゾフィさんが走ってやってきた。


 どうやら、匂いを嗅ぎつけたミケネーさんが先行して草むらの中にある道なき道を行ってしまったようだ。おそらくその道はロアたちの身体の大きさでは通れる道ではなかったのだろう。少し遠回りをしてようやく到着したらしい。


「無事で良かった・・・! ごめん、リサ・・・僕が守り切れなくて・・・」


 そう言って私を子猫さんの中から抱き上げ、胸にギュッと抱きしめてくれた。


「にゃーん、にゃぁぁーん(ロアのせいじゃないよ、わたしこそ心配かけてごめんなさい)」


 だってロアは蝶の鱗粉が毒って分かったとたん、肩に乗っていた私をすぐさま自分の洋服の中に入れてくれたもの。

 でもそのあとすぐ大量の水に流されて、その勢いがあまりにもすごくて私が洋服につかまっていられず流されてしまったのはロアの責任ではない。


 私をかばってその痺れた手で守ってくれていたし、むしろその為に手が塞がってロアの方が身動きが出来なかったのではないかと思う。

 今はポーションで治っていても、洞窟の中を流された勢いでぶつかったりしてロアもどこかケガをしたのではないだろうか。

 足手纏いで本当にごめんね・・・。


「いやぁ、リサ嬢が無事なのが何よりでしたが、まさかここでベア殿にも会えるとは・・・」


「本当にこんな場所でベアさんと再会できるとは思いませんでしたわ・・・さすがリサさんですわね」


 ゾフィさんとネオさんもそう言って驚いているけど、本当に私こそびっくりしたよ・・・。

 しかも黒ヒョウさんの牙に襲われてもお尻に傷ひとつついていないベアちゃんの頑丈さにもあらためてビックリしたけど・・・。


 そんなベアちゃんもヴィーちゃん達との再会を喜んでいるようだ。

 その後ろでは、きゃっきゃしている子猫さん達とベアちゃんを見て困惑している黒ヒョウのお母さん・・・


 うん、カオスだね!




「ほぅ・・・では、この黒ヒョウがリサ嬢を助けてくれた恩獣という事ですか」

「では、お礼を言わなくてはなりませんなぁ」


 私がこのカオスの中、にゃぁにゃぁと今までにあった事を説明すると、私のつたない猫語を理解できたミケネーさんが黒ヒョウのお母さんに話しかけた。


 あれ? 黒ヒョウさんの言葉もミケネーさんは理解できるの?


「我々猫妖精族ケット・シーは、この世界の猫族の頂点でもありますから、この黒ヒョウだって我らの意思が通じますし、なんなら支配下にありますぞ」


 ミケネーさんがさも当たり前のように、何かとんでもないことを言っている気がする・・・。

 じゃぁネコ科ならライオンとかトラも猫妖精族ケット・シーの部下みたいなものなの?


「さすがに魔獣化した猫族は範疇外ですが、ヒョウやトラなどの普通の動物だったらこちらの言葉といいますか・・・意思は通じますな」


 意思は通じる・・・つまり命令をすれば従うってこと・・・?

 いやいや、すごいですよ、それって・・・このジャングルを統べる事だって出来ちゃいそうじゃないですか!

 猫妖精族ケット・シーさんって実はかなり凄い種族なのではないだろうか。


「いやいや、それほどでも・・・。ですがロア殿だってフェンリルの血を引く一族ですから、犬や狼だったら同じように意思は通じると思いますぞ」


「・・・えっ? いや、相手の気持ちはなんとなく分かるけど、どうかなぁ・・・命令なんてしたことが無いし」


 ロアは銀狼族という稀な一族の末裔だから、ミケネーさんたちのような能力も持っている事があり得るのだろうか。

 でもその事実は私と出会ってから、それこそ最近知ったばかりで能力を使う機会は今まで無かったに違いない。

 そんなロアはミケネーさんに聞かれても「銀狼族の能力についてはよく知らないんだ」と、少し困惑していた。


 思わぬところで猫妖精族ケット・シーさんの秘密を知ったが、同時にロアのためにも銀狼族の能力を調べることができないだろうかと思うリサだった。




「にゃぁーん。にゃぁんにゃぁぁぁーん(お母さん助けてくれてありがとう。これからも家族みんな元気でね)」


 私が黒ヒョウ一家の皆さんとお別れの挨拶をしてそれぞれに感謝のキスをすると、まだ心配そうだった黒ヒョウのお母さんは私のキスに驚いて目を瞠り、ミケネーさんが私の後ろで「あっ・・・!」と声をあげていた。


 その時に「なんだろう?」とは思ったものの、足元でうごうごと手足をバタつかせている赤ちゃん達に気をとられその事は聞きそびれてしまった。まぁたいしたことではないのだろう。


 こうしてようやく皆と合流できた私は、探していたベアちゃんも連れて我が家に戻る事ができたのだった。


「にゃー、にゃぁぁぁーん(あー、無事に我が家に帰ってこれて良かったぁ)」

「本当にね・・・」


 ロアがめずらしく疲れた顔で同意してくれている。

 これはよほど心労をかけてしまったに違いないと、私はごめんねの気持ちを込めてロアの頬にスリスリする。


「なんじゃ娘っ子、めずらしく皆してあちこち汚れておるじゃないか。ほれほれ、早くフロに入ってくるんじゃモーン」


 お留守番をしていたガーブさんにそう言って迎えられ、私たちはそれぞれ露天風呂に向かうのだった。

 そして私もまだ子猫の姿のままだったので猫妖精族ケット・シーの皆と一緒に露天風呂に入って温まり、ロアにドライヤーで乾かしてもらう。


 ようやく一息ついた私はくしゃみをして人間の姿に戻り、ガーブさんに迷宮での出来事を、主に皆と離れ離れになったけど魔法具のおかげで無事に合流が出来たことまでをかいつまんで話した。


「そうかそうか、魔法具が役に立って良かったんじゃモーン!」


「本当に助かりました。魔法具が無ければきっと私は皆と合流するのは難しかったですし・・・」


「まぁロアの兄ちゃんは執念で探し当てたじゃろうが、時間はかかったかもしれないんじゃモン」


 確かにロアは魔法具が無くてもきっと探しに来てくれるだろう。それにミケネーさんとか鼻が利く皆がいるから、時間はかかってもなんとか合流はできたかもしれないけど・・・


「私は【転移魔法】があるので我が家には戻ってこれますけど、他の皆はそうもいかないので・・・これは今後の課題ですね」


 皆と離れ離れになった事を考えて、迷子になったらここに戻るとか動かずにいるとか、決めごとも必要だ。

 よく地震とか災害時にも家族とはどこで落ち合うか決める必要があると聞いていたけど、本当にその通りだよね。


 そんな私の報告を聞いて、なぜかニンマリと嬉しそうなガーブさん。


「じゃぁ次に作る魔法具は、皆が集合できる魔法具にするんじゃモーン!」


 えぇ?! 助かりますけど、そんな簡単に作れる物なんですか・・・?


「もちろん、素材は提供を期待してるんじゃモーン!」


「私が持っている物でしたら全部使って構いませんが、他に必要な素材があれば教えてくださいね?」


 海竜王様にいただいた玉手箱にはまだまだ沢山の宝玉があったけど、他にも採取が必要な物もあるかもしれないし。

 でももしそんな魔法具が出来たら、地下迷宮でもしまたバラバラになっても集合できるし、何より迷子になったベアちゃんを探すのも簡単だったかもしれない。


 私はガーブさんに是非とも作って欲しいと強くお願いしておくのだった。



 そしてその隣の部屋では、猫妖精族ケット・シーの夫婦が二人で声を落として話をしていた。


「ねぇ、あなた・・・リサさんがさっき・・・」


「ネオも気がついたか? あれは愛し子様にとっては単なる感謝のキスだったのだろうが、おそらく黒ヒョウにとっては運命が変わるほどの力を持った祝福のキスとなったに違いないね・・・」


「ではきっと黒ヒョウ達は、今後あの一帯を統べるようになるのでしょうね」


「そうだな、次に行った時にはきっとあの黒ヒョウが女帝として君臨しているのだろうなぁ・・・」


 猫妖精族ケット・シーの二人がそんな話をしていたが、事実、その通りとなるのであった。


 あのジャングルで一番強く脅威だったベヒモスがリサと共に去った事でジャングルに平穏が戻った。

 しばらくして黒ヒョウの子供たちが順調に育ち母親と一緒に歩き回れるようになった頃、黒ヒョウはみるみる頭角を現し、その一帯はおろかジャングル中を手中にした女帝として君臨することになる。


 そしてその後も長く黒ヒョウが統べる時代が続く事になるのだが、もちろんそれはリサには知る由の無い話なのであった。





お読みくださってありがとうございます。

今回も時間が開きましたが、更新をお待ちいただいて感謝です。


そろそろゴールデンウィークですか・・・? もしやもう突入されてます・・・?

連休にまったく関係の無い方も、旅行など楽しまれる方も、お時間のある時にまた読みに来ていただけると嬉しいです。

私は4月から職場で仕事の所掌範囲が増え、天手古舞という踊りを嗜んでおります・・・早くお話しを書きたいのに時間が!!!ない!!!!状態です( ;∀;)

せめてGWはゆっくりとパソコンに向かう時間を取りたいです。


皆さまもどうぞ楽しい連休を!


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