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逃げすぎた魔法使い  作者: ぱんどーる


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船着場に着いたら、アルとギャッツにミッシュがいた。


「父さん! 母さん!」

「ぺぺ! エミリア!」

「ぺぺさん! エミリアさん!」


おー、よくここがわかったな。しかもアルとミッシュは、覚悟はしていたが本当に爺さんになってる。ミッシュは白髪になったが、キノコヘアを維持していた。ギャッツがいなかったら、わからなかったかもな・・・。


アルは爺さんになってしまったから、さすがにパパ、ママとは呼ばなかったな。 ん、今の容姿からはその方がしっくりとくるし、悲しくはない。


「はは。久しぶり、ただいま。 エミリアが船酔いで具合が良くない。 医者を呼んでもらえるか?」


「わかった。 すぐ呼ぼう。取りあえず屋敷に転移する。 全員でいいのかい?」


「ああ、頼む」


アルの話し方が爺っぽくなってるな。

マリナも笑いを堪えてる。


皆が淡く光り、屋敷に転移した。


それから茶を飲みながら、お互いの自己紹介をした。


その後は、

ミッシュとギンは2人で色々と話し合っている。

サイ、ゴウ、ドンのトリオは家に手紙を書いている。

アルとギャッツは、マリナと話し合っている。

ロペスはアルの作った魔法人形とアドに夢中になっている。

アンはエミリアの傍にいてくれている。


エミリアは医者がすぐに来て、診てもらった結果は船酔いではなく妊娠だった。無事に産まれたら、今度こそちゃんと子育てしたいな。

子供達は2歳、18歳、 63歳の時しか見てないからな。悲しすぎる。


なんと、昨年アルの所に、ロペスの1番下の弟、マティアスが訪ねてきたそうだ。 婆さんの最期の話をしたら、マティアスも可能性を感じて、悲観せず帰って行ったそうだ。ミッシュもいて、ギャン泣きしたそうだ。


そしてこれからは残念な話だ。


レオンが1番最初に寿命で亡くなり、次にヴィンが病気で亡くなった。その次はレティシアがやはり寿命で亡くなったそうだ。


婆さんやギャッツが近くにいたから長生きが当たり前に感じていたが、普通の人間は60歳くらいが寿命だ。最期に立ち会えなかったのは悲しい。


娘が親の俺より先に逝くのはかなり辛いな。


婆さんの墓の隣にレオンとレティシアの墓もあると聞いて、今はそこで2人に向け、手をあわせたところだ。50年前に植えたブーガンの木は、まだまだ俺の胸くらいだ。実がなるのはいったいいつになるんだろうな。この実があれば皆はもっと長生きできたんだろうか。50年ってのは、やっぱり長いな。

あー、ダメだ。涙が止まらない。


「・・・父さん」


振り返るとアルがいて、タオルを手渡された。


「・・・サンキュ」


「ハンカチじゃ足りないと思って。 隣にいいかい?」


「ああ」


よっこらせと言いながら、座ったアル。 本物の爺さんだな。


「酒を持ってきた」


地面にグラスを2つ置いて、酒をなみなみとつぐアルを見ると、違和感しかない。エミリアのピンクブロンドを受け継いだはずの髪は真っ白になり、目尻にはくっきりとシワもある。そしてジュースではなく、酒を飲むアル。


「ふぅー。 とりあえず私が生きてる間に会えて良かった」


「ああ、そうだな。 この50年はどうだった?」


「・・・私は人としては全くダメだった。 魔導具作りや研究に夢中になりすぎた。 レオンに会ったのは亡くなってからだった。それほどに他に目を向ける事ができなかった」


あらあら。 そうだったのか。でもそれは俺とエミリアの責任でもあるな。


「はは。 アルは婆さんにタイプが似ていたからな。それに親の俺とエミリアが、生まれてからほとんど一緒にいられなかったんだ。 俺らがちゃんと教え、育てなくちゃいけなかったんだ。1人で背負うな」


目頭を押さえるアル。


「本当に父さんはいい人だよね。 父さんの事を知ってる人で父さんの悪口を言ってる人を見たことがない。父さんの子なのに、私はどうしてこうなってしまったんだろう・・・」


「俺の場合はエミリアがコミュ症だから、俺が周りと話して調和をとっていたからな。 アルの名は転移した別の大陸でも聞いたぞ? 親として鼻が高かったし、優遇されたな。 ギンやアンはお前に会いたくて一緒に来たんだし、ロペスも興味を持ってた。 あのトリオも俺が自分の家がわからなかったのに、あのトリオは知っていたからな。アルは、俺達の自慢の息子だ」


「うぐ・・・ありがとう。 私にとっても自慢の両親だ。もっと長い時間、傍にいてほしかった。 爺ちゃんは知ってるらしいが、マリーも私に愛想を尽かしてどっかに行ってしまった。 マリーはレティが亡くなる前に、自分が魔法陣に魔力を流したせいで祖父母が転移したことを聞いたと言ってた。 その時はかなり落ち込んでいたらしい」


「そうか。 あれは事故だ。仕方ない。 レティも教えなくても良かったのにな・・・まったく」


その後もアルの懺悔は続き、渡されたタオルはアルが使った方がいいんじゃないか?と思えるくらい涙を流して、後悔していたのを必死に慰めた。


功績ばかりが耳に入ってきたから、人生を楽しんでくれてるとばかり思っていたが、本人に会ったら逆だった。


多感な時期に傍にいてあげられなかった事が悔やまれる。

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