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泣いて、気持ちを吐き出させたアルは、酔ったのか寝てしまった。アルを担いでベッドに寝かせた。
「寝たのか?」
ギャッツが来た。
あー、ギャッツの顔を見ると安心するな。ギャッツとハグをする。
「色々あったみたいだな。 ギャッツがいてくれて良かった」
「大した事はできてない。 お前らだってまさか別の大陸に転移したとは思わなかった。 よく帰って来た」
ギャッツも力強くハグを返してくれた。場所を移動して話をすりことにした。
レオンとレティはマリーしか子は出来なかった。マリーは獣人の血を嫌う者が多く、学園でも辛い思いをしたそうだ。その後は家に籠もる事が多かったが、3人で楽しそうに過ごしていた。だが両親が亡くなってからはギャッツが訪ねても、部屋は暗く、ご飯もまともに食べない日が続き、かなり痩せた。マリーは泣きながら獣人がいる国に行きたいと言うようになり、ギャッツが連れて行ったそうだ。ギャッツもしばらく滞在して様子を見ていたが、オーンにいるよりあそこで暮らした方が幸せそうだと判断して帰ってきた。 年に1度は手紙を書く約束をしたと言っていた。
「今度俺も顔を出したいから、後で場所を教えてくれ」
「ああ。 そうしてくれ。かなり責任を感じていたからな」
「あれは事故だ。レティシアも言わない方が良かったのに」
「いや、レティは死ぬ前に認めただけだ。 学園で色々言われてたらしい」
そうだったのか。可哀相に。貴族なんてこれだからイヤなんだ。アルが作った魔導具で生活は向上しただろうに、アルの姪っ子をいじめるなんて最低な奴等だな。
「アルは色々と国に貢献はしたが、この国の次の王が良くなかった。約束を守ったのは最初だけだ。見ていられなくなって、親の力を借りてちょっと懲らしめた。 アルはやっと静かに暮らしはじめられたところだ。レオンとレティの最期を看取ることさえ出来なかった。 情報を操作されてな。 あの温厚なミッシュも兄王に怒り狂っていたからな」
アルの誤解を解かなくては。自分のせいだと思ってるからな。
もう貴族辞めよう。 静かに過ごしたい。アルには自分が興味があるものだけを作ってもらいたい。皆でマイロンに移住するか?
「この国から出るか?」
「それもありかもな。 俺は里に帰るかな」
「え、一緒に行かないのか?」
「この50年は人間のイヤな所ばかりを見てうんざりだ」
「え!? 2人ともオーンから出るんですか?」
ミッシュが顔を出した。
「すみません。 聞くつもりはなかったのですが・・・」
「はは、大丈夫だ。 座ってくれ」
「はい」と言って席に着いたミッシュに茶を出す。
「ミッシュはいつ結婚したんだ? マイロンでその話を聞いた時は驚いたぞ」
「ぺぺさん達がいなくなって3年後ですね。 相手はアルに言い寄ってた女性でした。 アルに相手にされず、ダメだったからアルの近くにいる私にしたと、結婚してから本人にはっきり言われました」
なんなんだ。この国は・・・。
せめて貴族らしく、家と家の繋がりの為とか言ってほしかったよ。
「それでも幸せだったのか?」
「・・・私は寄り添う努力はしましたが、幸せかと聞かれると・・・難しいですね、はは」
ミッシュは念願の結婚がてきて、幸せだと想ってたのに、これも違う展開だった。皆、辛い思いをしていた。
「俺とエミリアが50年後に転移しなければ、マリーもアルもミッシュも違う生き方をしてたのかな。 俺達がいたからって何ができたかはわからないけどさ」
「いれば変わってただろうな確実に。お前らは不思議と周囲と揉めずうまく立ち回るからな」
「ええ、わかります。 何か変わったと思います」
「・・・ミッシュ。 国を出る方向で考えていいか?」
「寂しくなりますが、この国がぺぺさんのご家族にしたことは許し難いので仕方ないと思います。 陛下達には私が上手く話します」
「なら、俺らで国を造ろうぜ」
酒ビンを持ったロペスがやって来た。
「俺もユリウスも貴族に振り回された身だ。 よその国へ行ったってきっと変わらない。 俺達はちょっとばかり特殊だからな」
国を造るのはスケールがデカすぎないか?
「俺達で、ちゃんとルールを作ってさ。 楽しそうだろ? お前ら家族と俺と弟とマリナでさ。 戦争して国を奪うつもりはない。魔法が使えるんだから、海のどっかを埋め立てようぜ。誰にもジャマされずにのんびりと過ごそうぜ。 いい考えだろ? がはは」
「それなら俺も里に帰らず一緒に行くぞ。面白そうだ」
ギャッツが乗り気になっている・・・。
ギャッツはごくごくと茶を飲み干し、ロペスに1杯くれとグラスを出してる。見るからに気が合いそうだ。
「エミリアさんが強力な結界を張りそうだから、私を通れるようにして下さい。 絶対に遊びに行きますぅ!」
爺さんになっても興奮すると語尾が伸びるんだな。
少し気持ち悪いぞ、ミッシュ。
「おい、何の話だ? 国を出るのか? 出るならうちに来いよ」
ギンが来て、驚いている。
「お前んとこの長男が王太子だろ? あれは融通がきかん。それに魔法に憧れを持ってる夢見る王太子だ。ここと一緒で結局はあれこれやらされるだろうし、アイツはお前らを使って魔法ショーとか開催しそうな奴だ。やめた方がいいぞ、ユリウス」
はは。 凄くわかる。説得力があるなロペス。
「兄上にはちゃんと言い聞かせる。ダメなら次兄を王太子にする」
「次男は口下手過ぎる。 ついでに3男と5男は論外。 お前が時期国王なら、まだ考える余地はあるな」
「・・・俺は王になるつもりはない」
「でしたら、ギンと私も一緒に行きます」
アンもひょっこりやってきた。
「アン・・・。ご両親の許しが出るわけないだろ?」
「それなら、私は死んだことにして下さいませ。 1人でも絶対に行きます」
アンも乗り気だ。 ロペスは肝が据わったいい女だと笑いながらアンに酒を進めている。どんどん話が進んでしまってる。
「皆の気持ちはわかった。今日のところはここまでにしよう。エミリアの容態も気になるから様子を見に行ってくる」
無理やり話を終わりにした。でないと、明日にでも国を造りそうな勢いだったからな。
急展開で疲れた。
エミリアに会って癒してもらおう・・・。
部屋を出たぺぺだったが、皆は地図を出して、場所を検討したりと話は進んでいた・・・。




