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逃げすぎた魔法使い  作者: ぱんどーる


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朝目覚めて、食堂に行くとギンがいなかった。


「おはよう。ギンは?」

「おはようございます。 殿下はトラブルがあって対処中ですので、先にお食べください」


船の上でトラブルは怖いな。 大した事ではなければいいが。



朝食を食べ終えた後、アンはオーン語の勉強をしている。それにエミリアも加わっている。 くれぐれもアンの邪魔はしないでくれよ?


サイだけが船酔いで部屋から出て来られない状態らしい。ほぼ揺れも感じないのにな。あと4日は船にいる事になるから、早く体が慣れないと辛いな。

乗り越えろ、サイ!


俺はヒマなので天気もいいし、サンデッキでのんびりと景色を見ていた。


「よう、乗り心地はどうだい?」


船長のロペスが、酒ビン片手に話しかけてきた。


「揺れもないし、設備もいいし、快適に過ごさせてもらってる。 ありがとう。 それより操縦席から離れて大丈夫なのか?」


「がはは。何かあれば俺の出番だが、ただ船を進ませるだけなら誰でもできる。 しばらくら天候の不安もないしな」


だから酒を飲んでるのか? 


「オーンって国は色々と発展してると聞く。 この船より凄い船はあるのか?」


「うーん、俺がいた時はなかったな。 ま、50年前の話だけどな」


「がはは。 俺が酔っぱらってると思って適当な事を言ってるな? 50年前って、お前さんは生きてないだろ? 俺だってまだ生まれてないぞ」


「はは。色々とあって、生まれはセー歴1052年なんだ」


「はあ!?」


まあ、そうなるよな。


「オーンが発展したのは、間違いなく俺の息子が関わっていると思うが、息子も俺より年上になってしまった。 生きているかもまだわからない。ま、そんな事を言われても信じられないよな。 はは」


ロペスが俺の目の前にきて、俺の顔をじぃーっと見る。

う・・・酒臭い。どんだけ飲んでるんだ?


「おかしな事を言っているのに嘘じゃねえ。 こりゃ、たまげたな」


くりくりとした目をぱちぱちとさせ、驚いている。

何か見抜く目をもっているのか?


「信じられないと思うが、 俺はこう見えて公爵家の長男だったんだが、貴族の世界特有の欺いて、たぶらかして、惑わせ、計って、陥れようとしてるってのがわかっちまうんだ。対立している家になら、この力は重宝されたが、自分の親ですら子に平気で偽り、ごまかしたのを指摘したら、それからは俺を化け物扱いだ。 だからこっちから家を捨てた」


俺もそんな貴族がイヤだったな。


「俺も伯爵家の3男として生まれたが、勝手に勘違いした長男に呪われ、トラブルがあって平民なり、魔法が使える事が重宝され、また貴族に戻った。 戻されてすぐ、面倒だから息子に譲った。 俺の知らない間に爵位が上がったとも聞いたが、オーンに行かないとわからない」


ロペスはずっと、俺の目をじぃーっと見ながら話す。


「俺の家は、俺が出てから落ちぶれたと聞いた。 爵位は下がったと風の噂で聞いたな。 どうでもいいがな」


「船乗りは楽しい?」


「ああ。馬車と違って渋滞や交通規制に遭遇することもないし、 空とにらめっこして天候を予測するのも面白い」


ロペスも色々あって今があるんだな。 話してる姿は、今の船乗りの生活を本当に楽しんでるように見える。


「がはは。 お前も飲め!」


そう言って、ポケットからコップを出した。あるんじゃねーか、コップが。 見たことがない形だな。なぜラッパ飲みしてるんだ?


「がはは。その方が船長っぽいだろ?」

「・・・そうか」


初めて船に乗って、初めて船長に会ったから、ぽいを理解してやることはできないがな。

手渡された手持ち部分がついた木製のコップに酒をつがれた。


「かんぱーい!!」

「かんぱーい」


ガチンと酒ビンとコップを勢いよくぶつけ、ロペスは酒をあおる。俺もこんな昼間からいいのか?と思いながらも口をつける。


「ぶはっ!!」


なんだこれ!? 喉がやけるように熱い。


「がははっ! アルコール度数がめっちゃ高いからな。 船長っぽいだろ?」


だから、ぽいは理解できないって・・・。

しかし、こんな強い酒を普通に飲めるなんてすごいな・・・。


「・・・俺にはムリだ。水で割る」


水魔法で水を出し、酒を薄めて飲む。


「ん、うまいなこの酒」

「がはは。 だろ?」


その後も色々とロペスと話をしながら飲んだ。ロペスはマジで酒が強い。俺は割って飲んでるし、ペースもロペスよりゆっくりだったのに、めちゃくちゃ酔っぱらった。


ギンが俺を探してたらしく、サンデッキでロペスと肩を組んで大声で歌ってる俺の姿を見て、呆れていたらしい。ギンも雲1つない青空の下で気持ちいい風が吹く天気の時に、広ーい海の上で酒を飲んでみろ。俺の気持ちがわかるはずだ。絶対に歌いたくなるぞ。


結局、昼寝をして起きたら俺はギンに会った記憶はなく、ロペスと酒を飲んでめちゃくちゃ楽しかったな、という記憶しかなかった。


エミリアがせっせと薬を調合してくれたおかげで、2日酔いにもならず、次の日にギンの話を聞く事ができた。

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