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逃げすぎた魔法使い  作者: ぱんどーる


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王宮に出入りしていた者達のチェックも終わり、やっと帰れると思っていたら、ドタバタした。


陛下がやっぱりこの国で暮らしてくれと、無茶を言いだしたり、王妃様は狙いをエミリアに定め、食べ物でエミリアを釣ろうとしてた。

はは、短期間でよくわかっていらっしゃる・・・。


ギンも俺らと一緒に行く事になったが、王太子殿下がギンにお前が王太子になった方がいいと言い始め、揉めた。


「俺はもう元だ。 王族ではない」

「だが、元側妃と隣国の宰相の仕業と分かって、皆も理解した。お前は王族に戻れ。 魔力がある奴が王太子になったほうがいい」

「今さらだ」


こんなやりとりを長い時間やっていた。

そこへエミリアが来て、


「そんなに魔力が大事なのか? 王太子の子は魔力を持っているぞ。子が成長し、王になるまで親なんだから頑張れ」


王太子の背中をポンと叩いていた。


エミリアさん、何目線で偉そうに話してるの?

俺はヒヤッヒヤですよ。

王太子はエミリアの両肩をガシッと掴み、


「本当かっ!?」と、言ってエミリアを揺さぶっていた。


エミリアは王太子の手を払い、とてもイヤそうな顔をして、


「・・・ギンより魔力があるからちゃんと教育した方がいい」


そこへすかさず俺が、


「あの、お察しできるかと思いますが、エミリアは教師には全く向いてませんので、他をあたってください。 オーンの第3王子はエミリアの理不尽さに涙を流したほどです」


「そ、そうか。 教師はこちらで手配する。ありがとう」


そんなやりとりをしている最中に、こっちの話をちゃんと聞いていないブライアン殿下が、「 俺が王になる! 」と叫んだが、すぐにその場にいた全員からお前では無理だと言われ、エミリアもその発言直後に箒を飛ばし、ブライアン殿下に直撃させ、


「約束を守れない者に王は向いていない」

と言って、ぷんすかしてた。


「ふふ。食べ物の恨みは恐ろしいわね」


王妃様と王太子妃は笑っていた。


陛下も引退したら、オーン国に行くつもりだから転移陣を必ず設置しろとギンに何度も言っていた。


アンも行きたいと両親を説得していたが、許しをもらえない状態が続いていた。アンは王子殿下の婚約者に選ばれるだけあって優秀で、完璧ではないが通訳なしでエミリアと会話ができるようになった。その時のエミリアは目をまん丸に見開いた後、ふにゃっと笑い、やはり飛び跳ねて喜び、アンに抱きついていた。それからはアンの家にお泊まりに行ったり、会えば女子トークをしていた。エミリアに放置された俺がひとり寂しくしていたら、エミリアがこっそりと、魔法が解けたギンに、アンがときめいていると教えてくれた。


絶対に元サヤはないと思っていたが・・・。

見た目って大事なんだな・・・。じゃなくて、魔法が解けて良かったな、ギン。


陛下からアルウィンとオーン国王に渡してくれと親書を預かった時に、こっそりとギンとアンが想い合っていることを伝え、ギンの身分を戻して、第4王子殿下として訪問してもらい、アンと再婚約させ、アンも短期間でいいから連れて行くのはどうかと提案した。


陛下は2人を応援していたから、名案だと話に乗り、アンの両親を説得し、納得させた。


ギンは再婚約に泣いて喜び、陛下と俺に何度もお礼を言った。 アンにも2度と間違えない、幼い頃からずっと好きで、今も気持ちは変わらないと泣きながら伝えていた。


アンもギンに素直に気持ちを伝えた。そんな2人を見たアンの両親は想い合っているのなら、仕方がないと笑っていたが、結婚式はマイロンでやるからいつまでも滞在しないでちゃんと帰ってこいと言われていた。


サイ、ゴウ、ドンの3人も一緒に帰るが、家に帰って家族を安心させたら、マイロンに戻り、騎士団で働きたいそうだ。

ん、気持ちはわかる。マイロンはいい国だからな。


その間に、第2王子殿下が転移魔法陣が使えるか、直接現地に行って確認してくれたらしい。 転移魔法陣から船でオーンに移動するが、船もいつでも使えるように整備、点検をしてくれたそうだ。


「殿下、ありがとうございます」


「いや。マイロン国のためにぺぺロール夫妻には、それはもう色々とやってもらった恩がある。 俺も恩返しのために直接動きたかった、それだけだ。本当に世話になった。ありがとう」


第3王子と第5王子以外は素晴らしい王族ばかりだな。


こんな具合にドタバタとしたが、

皆に見送られ、転移魔法陣に向かう時間が来た。


「ぺぺロール殿、夫人、 世話になった。感謝する」


「ふふ。 また食堂に行きましょう」


「ありがとう、いつでも歓迎する」


「弟とアンヌを宜しく頼む」


「今度こっちに来たら、私が父上の後を継いでるかもしーーーっ痛」


最後まで言わせてもらえず、王妃様に扇子で頭をぺしっと叩かれていたブライアン殿下。分かり合える3男にしか会ったことがなかったから、この人には戸惑うことばかりだったな。

ま、お調子者の3男だったということにしておこう。


「こちらこそありがとうございました」

「バイバイ」


「「 行ってきます 」」


ギンが魔力を込め、俺達は淡い光に包まれ転移した。

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