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本物の不幸

 僕にはこの世で一番代えがたい大切な人がいる。


 その人と一緒に入れるだけで僕は幸せだったんだ。



 僕の朝は最愛の人、愛理を起こすところか始まる。


「ほら、起きて」


 強く揺さぶるが、一切反応がない、反応がないだけで起きている事は丸わかりなんだが。


「しょうがない、今日ぐらいしてあげるか」


 僕はこんにゃくゼリーの蓋を開け、寝ている愛理の頭に手を入れ起こしながら唇にそっと触れさせる。


 愛理は幸せそうに眼をつむりながらこんにゃくぜりを吸っている。


「ちゅ、ちゅちゅ、怜君からのキッス、ちゅ、ちゅ、すっごく甘い、ん、ちゅ、ていうかマスカットの味がするような?」


 愛理は目を開けこんにゃくゼリーに唇を付けながら僕の顔を凝視する。


「おはよう愛理、どうだった目覚めのこんにゃくゼリーは?」


「ふっごく、甘いよ」


 愛理は寝ぼけているのか、いまだに僕とキスをしていると思っている、だが徐々に目が覚めていき頭が働くようになり違和感を感じ始め、ついに今の現状を理解した。


 愛理は僕とキスをしていないなら今、口についているのは何か、確認をするため、より目をする。


「ジュるるる、ほれ、ほんにゃぐジュエリー、もにゅもにゅ」


「何言ってるかわかんない」


 こんにゃくゼリーはのどに詰まるので、よく噛んでから飲み込む。


「これ、こんにゃくゼリーじゃないの」


「そうだけど」


「もう、怜君のバーカ」

 そういいながら二度寝に突入する。


「起きろよ、遅刻しちゃうだろ」


 やはり、一切反応を示さない。


「ほんとに、しょうがないな」


 今度は本当に唇と唇を重ねる。


「ほら、もう起きて」


 だが、愛理は起き上がらなかった、僕は初めてのことで少し動揺をしてしまった。


「おーい、おい、大丈夫? ねぇ本当に、ねぇ」


 僕の焦りが愛理にも丸わかりなぐらいに取り乱してしまう。


「スピー、スピー、こんにゃくぜりと今のでプラマイゼロだからもう一回(裏声)」


 僕の不安が刹那に安心に変わり、愛理を強く抱きしめ、朝で一番深いキスをした。


「ごめん、私、怜君に心配かけちゃうようなことしちゃって」


「大丈夫、ただ心配しただけだ。けどもうしないでね」


「うん」


「じゃあ朝ごはんにしようかちょっと待っててね今作るから」

 いつも通り朝の支度にしようとする、だが僕はすぐに気づかされた、今日はいつもと違うことを。


「あああ、ヤバいよ怜君、もう三十分だよ、今すぐでないと電車間に合わない」


「ほんとだ、は、早く着替えて、ご飯はコンビニで適当に買って」


「やだ、怜君の朝ごはんがいい、遅刻してもいいから食べたい」


「ダメに決まってるだろ、ご飯と会社どっちが大事なの」


「ご飯」

 即答だった、嬉しい気持ちが沸き上がって来たが、抑えて仕事に行かせることに注力を注いだ。


 そのかいあって電車にぎりぎり間に合う時間に送り出すことが出来た。


 その後は普通の主婦と同じように家事をこなす、ただ普通の主婦と違ってあまり無理ができない体のため時間は二倍以上かかる。


 一通り家事をこなしたらリモートでプログラミングの授業を受ける、頭がよくない僕は覚えが悪く習得するには時間がかかりそうだ。


 昼食を済ませ自主勉強をしている時いつものようにインタホンが部屋に鳴り響く。


 杖を取り、何も確認せずそのまま玄関に向かい窓を開けた。


 そこにいたのは愛理ではなく、制服を着た二人の警察官だった。


(この辺で事件でも起きたのかな?)


「広瀬愛理さんのご主人で間違いないですか?」


「はいそうです」

(僕に用があるのか、何もしてないんだけどな……それとも愛理が会社でトラブったのかな?)


「申し上げにくいのですが、広瀬愛理さんが刺されました」


「…………は?」



 




 


 




 

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