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最初からここに私の居場所はなかった  作者: kana


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「りりーちあでしゅ。よろちくおねがいしましゅ」


 ・・・・・・もう本当に嫌。いつになったらちゃんと話せるようになるの?

 おい! そこの幼児! 笑うな!


 ここには私よりしっかり話せる子もいれば、似たレベルの子もいたし、あまり気にしなくてもいいみたい。


 お! 20代半ばか後半の騎士様が一歩前に出てきた。


「ここ幼児部では家格も性別も関係なく5歳までの子供がのびのびと体を動かせる場だ。少年部は体力作りと基本の動き、本格的な鍛錬は青年部になってからだ。・・・・・・ただ」


 ん? 一瞬だけれど騎士様と目が合った気がする。


「ただ、年齢を追うごとに体力も力も男女の差ができてしまうのは仕方のないことだと分かるな?」


 当然よね。


「・・・・・・年齢に関係なく、私たちは騎士であり紳士だ。責任を持てない言動には気を付けろ」


 いやいや、言動って・・・・・・ここに居る子供たちって4、5歳だよ? 思ったことを言ってしまっても仕方がないと思うんだけどな。


「特に・・・・・・令嬢の髪の長さについては余計なことは言うな。・・・・・・髪の長さだぞ。わかったな?」


 隣でお婆様が厳しい顔でうんうんと頷いているのも気になるけれど、確かに貴族の令嬢は髪が長いのは当たり前。だけど、それに対して文句を言われても貴族令嬢である限りどうすることも出来ないよ。


 それよりもだ! 私以外にも女の子が何人かいる! 仲良くなれると嬉しいな。


「まずは鬼ごっこだ」


「「きゃー」」「「わー」」


 凄い! この世界にもそんな遊びがあるんだ~。子供たちはいっせいに走り出した。もちろん私も。


 あれ? あれれ?・・・・・・もしかして私、走るの遅い? 見えるのは子供たちの後ろ姿だけなんだけど?このままじゃ、一番に鬼に捕まってしまう! それはイヤ~! 足を高速で動かしても前に進まない~


「こっちだよリリーシア」


 え?


「僕と一緒に逃げよう!」


 オレンジ色の髪に、緑色の瞳の男の子が笑顔で私の手を引いてくれた。まるで太陽みたいな暖かく優しい笑顔の子だった。うん、素直そうで可愛い。


 






「ごめんなしゃい」


「僕のほうこそごめんね」


「でも、ありあとう」


 彼は足手まといの私を見捨てることなく、一緒に捕まってしまったのだ。それも!一番にだ!


「僕はレイドリック。レイドリック・マシュー。()()と呼んで」


「れい?」


「そう。僕もリリーシアと呼んでもいいかな?」


「いいよ~」


 これが私とレイの出会い。

 この日から、週に1回ある幼児部の練習場で会うようになり、6歳からは週に2回、10歳からは週に3回と会う頻度が増えるのと同時に私たちは仲良くなっていった。


 もちろん練習に参加してキツイ訓練に励まし合いながら頑張ってきたメンバーとは男女関係なく皆んな友達だ。




 そして、私は母国に一度も帰ることなく、この国のマシェリア王立学園に通えるようになる15歳になった。







 制服って偉大だよね~これがドレスなら支度に2時間は早く起きなくてはならないもの。


「おはようございます」


「おはようリリーシアちゃん」


「「「おはようリリーシア」」」


 いや~ 朝から眼福眼福。

 年齢を感じさせないお婆様はいつもと変わらず美しく気品がある。

 伯父様も初めて会った10年以上前から姿見が変わっていないように感じる。若いわ~


 そして、目の覚めるような美しいユーリ兄様と相変わらず童顔で可愛らしい見た目のアルト兄様。タイプは違えど2人とも美形には違いなく、さらに長身で引き締まった体がまたいい! 細マッチョ! 最高~!


「今日からリリーシアと学園に通えるなんて嬉しいな」


 照れくさそうにそう言ったアルト兄様は今年で最終学年で18歳になるというのに素直で本当に可愛い!


「私も嬉しいです!」


「リリーシアちゃん? 分かっていますわね?」


「は、はい」


 お婆様は・・・・・・普段はとっても優しくて孫には甘い方だけれど、さすが元王族の姫だったこともあり、言葉遣いや礼儀にはとても厳しい。

 そんな私は7歳からはギッチリ淑女教育をお婆様直々に叩き込まれた。まあ? 私も前回は王子妃教育を受けた身ですし? 楽勝楽勝とナメていた。が、7歳までのびのびと育てられた私は頭脳は合格でもその他はダメダメだった。歩けばガニ股、姿勢も悪く、口も悪くなっていたのだ。

 ま、そのへんも厳しく躾られたお陰で自分で言うのもなんだが、今では見た目だけなら完璧な淑女だ。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「リリーシアおはよう」


「おはようレイ」


 あの世話をかけた鬼ごっこの日からレイとは気の合う友達だ。

 レイはあの太陽のような眩しい笑顔はそのままに、今では男らしく凛々しい男前に育った。


「おう、リリーシアおはようさん」


「おはようエド」


 このエドも騎士団の練習場で知り合った。

 確かに同じ歳だったはずだけど、どう見ても年上にしか見えない。

 てか、態度も口調もオッサンくさい。何より身長がすでに180cmは超えている・・・・・・まだ15歳だよ? 成長期だよ? まだまだ大きくなるよ。本人曰く2m超えを目指しているらしい。


「「おはようリリーシア」」


 リズベットとマリエル。

 彼女たちとも練習場で出会った。

 見た目可愛くてお姫様のようなリズベット。アリントン侯爵家の令嬢だ。性格は見た目に反しサバサバしていてとても辛口。

 マリエルは、キンバリー辺境伯の令嬢で、少しつり上がった目は猫のようで気が強そうに見えるが、実は大人しく涙脆い。綺麗な顔立ちの美人さんだ。


 その後も次々に挨拶してくれるのは練習仲間だ。

 仲間意識が強く、男女関係なく皆んな仲がいい。別に待ち合わせをしていた訳ではなかったが、私たちは揃って入学式会場である講堂に向うことになった。


 ちなみに一緒に登校したアルト兄様は生徒会の仕事のため、レイやエドと合流したあたりで別れている。


 今の私は前回では考えられないくらい、楽しい日々を送っていた。


 それといまだに週一でクロイツ殿下に会いに行っている。

 私より8歳年上の23歳。いまだに婚約者は居ない・・・・・・きっと性格が問題なんだろうね。見た目は良いのに残念な王子様だ。

 そろそろ"学業が忙しい"を理由に面会をブッチするつもりだ。


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