やり直し
「うわああああ!!」
朝の目覚めは最悪だった。何かとてつもない悪夢を見た気がして飛び起きたのだ。
部屋が暗いので枕もとのランプを点けて時計を見ると時計の針はまだ5時前を指している。
(夢・・・何かすごく悪い夢を見たような・・・)
そう思いふと自分の腕に目を落とすとそこには
「「ヨル テキ ディーア マモレ」」と血で描いたような文字があった。
(夜 敵 ディーア 守れ!?!?)
(なんだこれ・・・・?いつ誰がこの文字を書いたんだ?・・・いや、いくら寝ていても誰かが腕にこれを書いたらさすがに気付くだろう。ということはこれはオレが自分で書いたのか・・・? まさかこれは・・・今朝は・・・2回目なのか・・・!?)
(考えられる可能性は7年前と同じように自分が死ぬような重大な何かが起こりオレが今再びの朝を発動して朝に戻ってきたということだ。)
(そして自分に記憶が残らないことを知っているから未来のオレはこうして自分にメッセージが残せるか試し、それに成功した。このメッセージはそう考えるのが妥当だろう。)
(つまり今日の夜に敵の襲撃を受け自分もディーアも命の危機に陥るということだ。想像できないがどこからそんな敵が来るというんだ・・・?)
(・・・!!まさかすでにこの王都に入り込んでいるのか!?各地からの感謝祭見物客に紛れて!)
(とりあえず、すぐに師匠にこのことを知らせないと!)
ヤギウの元へ向かい部屋をノックする
コンコン、「師匠起きてますか?」
「入って良いぞ。」
(さすが年寄り朝が早い!)もちろん口には出さない。心の声だ。
オレは師匠に自分の力のこと、今朝目覚めたら腕に血文字があっておそらく力を使い戻ってきたこと、その内容から今夜何者かの襲撃が予想されること、そしてその敵はすでに王都内に入り込んでいると思われること、を話した。
「未来から?ふむ。にわかには信じがたいが。。。お前ならありえない話ではないか・・・」
「オレなら・・・?」
「いや、そのことは良い。それよりも今は襲撃のことじゃ。すでに我々は囲まれておるのじゃろう?敵の正体は分からんのか?」
「はい、残念ながら。しかしここ最近城の内外で妙な視線を感じることがありました。もしかすると内部に手引きするものがいるかも知れません。」
「・・・そうなるとすでに城内にも敵の手の者がおるかも知れぬということじゃな。」
「可能性は考えておくべきかと。そしてもう一つ。」
「なんじゃ?」
「敵はかなりの強さだと思います。」
「ふむ、お前を殺せるくらいには強いということか。」
「はい。」
「しかし、夜襲をかけてきたということは不意を突かれた可能性が高い。今回は夜襲があることが分かっておるからな。備えることもできよう。それにじゃ・・」
「ディナル様、ゼクタ様と共に築いたこの王都を賊どもに踏みにじらせる訳にはいかぬ。迎え撃つぞ。姫様にもこのことをお伝えして控えの間にお入り頂くのじゃ。護衛はあの2人でよかろう。お前は城内を警戒せい。」
謁見の間の奥に控えの間がある。控えの間にはいざという時に脱出できるように地下通路があるのだ。
「分かりました。今日は明日からの護衛任務に備えてケンが早朝鍛錬に来ることになっていますのでついでに伝えておきます。」
「うむ。ではワシは夜襲に備え騎士団の体制を整える。王城に加えて王都内も警備を増強せねばなるまい。夕刻までには準備を終えて謁見の間に集合じゃ。」
部屋へ戻ると着替えていつも通りに鍛錬に向かう。
今日は予定通りケンが参加していたため2人で模擬戦を行うことになった。
キン!ガン!という打ち合いの音が響いている。
「はっ!」最後のフェイントを入れた一撃でケンの剣を弾き飛ばす。
「いや、まいったよ。」ケンが降参と手を振る。
互いに礼をして朝の鍛錬を終えた。
「ケン、実は話があるんだ。」城に戻る前に話しかける。
「なんだ改まって。ま、まさか今の男同士の熱い戦いに鼓動も高鳴り・・胸キュン♡」
「ちげーよ!そんなBLチックな展開ねーから!」
「需要あるかもよ?」
「そんなこと言ってるとルリ姉に言いつけてやる。」
「冗談だってば。で?」
「実は今日の夜に襲われる。」
「え?ま、まさか夜這い・・・」
「いいかげんそこから離れて!いつからそんなピンクキャラになったんだ。」
「まあまあ。で、襲われるって何?」
「そのことなんだけどあとでヒカリも連れて一緒にディーアの部屋に行こう。全員いた方が話が早い。」
2人で食堂へ向かうとヒカリと合流した。
「ケン兄~。で、どうだったの久しぶりの鍛錬は?」
「まあ、やっぱり僕には剣術の才能は無いみたいだ。」
「ところでヒカリ。」ヒカリが何か言いかけていたがそれを制して話しかける。
「なに?ジン兄。」
「この後一緒に来てくれ。」
「え?まさかようやくアタシの魅力に気付いて・・・」
「分かった。言い方が悪かった。ケンと一緒にディーアに部屋に行こう。みんなに話があるんだ。」
「ああ、明日のことね。分かったわ。」
オレ達は朝食を終えると3人でディーアの部屋へ向かう。
コンコン部屋をノックすると「誰かしら~」とルリ姉の返事が返ってきた。
「ルリ姉もいるのか。ちょうどいい。みんなに話があるんだ、入っていいかな?」
問いかけると部屋の中から声が聞こえてくる
「ディーアちゃ~ん、ジントちゃんがお話がしたいんだって入れてあげてもいいかしら~?」・・・少し間があって扉が開いた。「どうぞ~あら?ケンシーちゃんとヒカリちゃんもいたのね~まあみんなどうぞ~」
部屋に入るとルリ姉を含めた全員に今日の夜に襲撃がある可能性があること。ディーアを夕方から控えの間でみんなで護衛してほしいことを話した。
今再びの朝のことは伏せて話しているので「どうしてそう思うのかしら~」と襲撃の根拠を聞かれたが師匠が襲撃の情報を掴んだ、ということにしておいた。
ヤギウ団長がそう言うのだったら、とういうことになり夕方には全員で控えに間に行くことに決まった。
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